著者 : 岡崎琢磨
労働を禁止する。生活は保障する。誰も、取りこぼさないために。 HIPS。それは、経済が停滞した日本に生まれた、前代未聞の扶助団体。すべての会員を監視下に置き、経済活動と財産の所有を禁止するかわり、健康で文化的な最低限度の生活を保障するというHIPSは、あらゆる会則をAIに委ねている。人々を惑わせるHIPSの周囲では、数々の不穏な事件が巻き起こる。完璧に見えるAIの管理。待つのは成功か、それとも破滅かーー。
人を罪に陥れる七つの悪徳を 「七」に縁のあるミステリー作家が描く。 驚愕、恐怖、狂気……一気読みの七編! 【七つの大罪】 「傲慢」「嫉妬」「憤怒」「怠惰」「強欲」「暴食」「色欲」を示し、 キリスト教において、人を罪に導くとされる七つの悪徳。 「罪の名は傲慢」中山七里/傲慢 名を馳せ人望も厚い一方で、弟子や秘書に対するパワハラが常態化している人気ジャーナリストに性的暴行された新人ジャーナリストは警察に駆け込む。 「手の中の果実」岡崎琢磨※7月7日生まれ/怠惰 突然不登校になった息子。原因がわからず不安が募る妻と私。私は葡萄農家である妻の実家に、息子と二人で滞在することを提案すると、息子はーー。 「移住クライシス」川瀬七緒/憤怒 自閉スペクトラム症を抱える息子の療育のために山梨の集落へ移住した矢先、息子が池に落ちて死亡した。悲嘆に暮れる夫婦の前に、大鎌を持った老婆が現れた。 「オセロシンドローム」七尾与史/嫉妬 久呂恵は夏目漱石の『こころ』で意気投合したKと交際に発展するが、嫉妬深さが原因で別れを告げられる。Kに言い寄る女がそそのかしていると疑った久呂恵は……。 「十五分」三上幸四郎/強欲 20万人超の登録者数をもつ動画配信者のイッツミーは、同業者であるQRお雪の殺害容疑をかけられていた。週刊誌記者の綺ヶ崎は、判決待ちのイッツミーの取材に訪れる。 「父親は持ってるエロ本を子どもに見つからないようにしろ」カモシダせぶん/色欲 隠しているエロ本を高校生の息子が読んでいた。叱ろうとすると「謝るのは父さんのほうだ」と言い始め……。 「最初で最高のひとくち」若竹七海/暴食 野放図で我儘な公介のため、ママはたくさんの料理をし、掃除をし、後片付けをし、工場で働く。そんなある日、葉村晶という探偵が人捜しにやってきた。
人型のアバター=バタフライが生息するVR空間〈バタフライワールド〉にログインしたアキは、ログアウトせず現実世界に戻らない者たちが暮らす〈紅招館〉に向かう。アキはある事情から〈紅招館〉に住み続けたいと願うのだが、非暴力が徹底されているはずの〈館〉で住人の死体が発見される……。現実世界とVR空間を行き来するパラレルワールド・青春本格ミステリ。
むごくて、いびつ。せつなくて、まっすぐ。 たったひとつの愛なんてない… 1日1話、ただ読むだけーー 世にも奇妙な仕事には、思いもかけない意図が隠されていた! 『珈琲店タレーランの事件簿』の著者が、新たなるミステリーの形に挑んだ野心作 「あなたにぜひともお引き受けいただきたい仕事があるのです」 駅のホームで見知らぬ老紳士から声を掛けられた美織は、「ミスター・コント」という謎の人物が記した短編を18本読み、簡単な感想を書くという仕事をもちかけられる。報酬は1字10円、総額143万円。新手の詐欺かと訝しみつつも押し切られる形で前金を受け取った美織は、1日1話届けられる物語に次第に追い詰められていく……。 世にも奇妙な仕事に隠された、驚くべき真相とは?
「スツールハウス」。それは、崖の上に建つシェアハウスの名前。 腰かけ(スツール)のように、若者たちが一時期を共有する場所。 そこには確かに、青春と謎があった。 元カノの結婚式に送った写真に秘めたメッセージ。 無人のシャワールームで起きた事件。 ともに暮らした仲間からの相談……。 一見バラバラの謎と、15年住み続け、「主(ぬし)」と呼ばれた女性、素子の謎。 全てが解かれたとき明らかになる、切なく優しい真実とは。 心の奥を刺激する青春ミステリ。
狭心症を発症し、突然倒れてしまった珈琲店“タレーラン”のオーナー・藻川又次。すっかり弱気になった彼は、バリスタである又姪の切間美星にとある依頼をする。四年前に亡くなった愛する妻・千恵が、生前一週間も家出するほど激怒した理由を突き止めてほしいと。美星は常連客のアオヤマとともに、大叔父の願いを聞き届けるべく調査を開始したが…。千恵の行動を追い、舞台は天橋立に!
マイは病弱でしょっちゅう何かの病気にかかっており学校も休みがち。ミステリー小説が大好きなマイは、ベッドにいる時間を使って謎を解く史上初(?)の「寝台探偵」。『珈琲店タレーランの事件簿』著者が放つ新たなるミステリー。 「患者」と「病(やまい)」を合わせた貫地谷(かんじや)マイというおめでたい名前の主人公は高校1年生。彼女は病弱でしょっちゅう何かの病気にかかっており学校も休みがち。そして床にふせっている長い時間を使って謎を解く「寝台探偵(ベッド・ディテクティブ)」なのだ。 マイと幼馴染みの同級生、山名井(やまない)ゲンキは「病まない」の名前通りに病気知らずの健康優良児。ひそかに想いを寄せているマイのために、ゲンキは学校で起こった不思議な事件を、今日もベッドサイドに送り届ける。 6つの謎と2人の恋の行く末は?
人気作家が描き出す、五者五様の「父」の姿ー船乗りの父、詐欺師の父、大学教授の父、そして…。「親の心子知らず」というが、子どもの目には見えない父親の本当の姿。その謎が明らかになったとき、あなたはきっと涙なしではいられない。すべての親子に贈る、魅力的な謎と愛すべき父に出会えるとっておきの短編集!
【文学/日本文学小説】福岡の夕筑市にある寺院・道然寺で暮らす中学3年生のランとレン。人の善意を信じるランと悪意を敏感にかぎ取るレン、正反対の視点を持つ双子が活躍するシリーズ第2弾。熊本地震から逃れ、転校してきた少年の秘めた思いが引き起こした事件の謎を解き明かす。
これは、もうすぐ21世紀がやってくる、というころに起きた、愛すべき子どもたちの闘いの物語です。--不可能状況から煙のように消え去ってみせる子どもたちと、そのトリックの解明に挑む大人の知恵比べ。単なる家出と思われた子どもたちの連続失踪事件は、次第に地域全体を巻き込む大事件となっていった! いま最も将来を嘱望される俊英が新境地を切り拓く、渾身の傑作長編。ミステリ・フロンティア100冊刊行記念特別書き下ろし、遂に刊行!
2017年に発表された本格ミステリの短編と評論から、本格ミステリのプロフェッショナルが選びぬいたベスト作品集!--今読むべき、最先端の本格ミステリがこの一冊に! 本格ミステリ作家クラブが選んだ2017年のベスト本格ミステリ短編&評論のすべて! 小説◎ 夜半のちぎり 岡崎琢磨 透明人間は密室に潜む 阿津川辰海 顔のない死体はなぜ顔がないのか 大山誠一郎 首無館の殺人 白井智之 袋小路の猫探偵 松尾由美 葬式がえり 法月綸太郎 カープレッドよりも真っ赤な嘘 東川篤哉 使い勝手のいい女 水生大海 山麓オーベルジュ『ゆきどけ』 西尾維新 ヌシの大蛇は聞いていた 城平京 評論◎ 吠えた犬の問題 有栖川有栖
浦島太郎が龍宮城に来てみれば、待つのは密室殺人?ネット社会、刑期を終えた男の名は半永久的に残る現実が。捜査会議後の刑事たち、会話の中に事件解決の糸口あり?シンガポールで新婚旅行、二組の男女の心理が交錯したすえに…。トロフィー凶器の殺人に、ミステリ史上前代未聞の仕掛けが!包丁研ぎが巧みな女のもとに昔の男が訪れ、切れた二人の関係は一転し…。六編のどんでん返しが、あなたを夢中にさせる。
関東某所、切り立った河岸に建つシェアハウス「スツールハウス」。若者たちがひととき、腰かけるように住み、旅立って行く場所。新築時からの住人で、「スツールハウスの主」と呼ばれる女性、鶴屋素子。彼女がいた様々な時期に、ハウスのいろんな場所で生まれた、様々な謎。それらが解かれたとき、彼女の衝撃の秘密が明かされる…。「戻りたいあの頃」があるあなたへ贈りたい、胸がぎゅっと切なくなる青春ミステリ。
夏樹と冬子は、高校時代、男女だけれど「親友」だった。 お互い、日常の謎を解くことを趣味として、一緒に居て誰よりも心地良い存在だったあの頃。 やがて社会人となった夏樹は、冬子に会いに神戸を訪れる。 町を散策しながら、昔と同じく、冬子と日常の謎ときを楽しむ夏樹だが、 夏樹には心に秘めた想いがあった。 冬子への恋心。もう、ごまかせない。 けれど冬子はなかなか、夏樹の想いを伝えるチャンスをくれなくて……。 もどかしくも、季節はうつる。夏樹の焦り、冬子の戸惑いをのせて。 そして……。 それは、最高で最低の片想い……。 優しく穏やかなな日常の謎ときから一転、驚愕のエンディングに、誰もがきっと目を瞠る。 青春ミステリの名手、岡崎琢磨が送る、究極の青春恋愛ミステリ。
女子高生の貫地谷マイは年中体調不良で学校は欠席続き。ミステリー好きな彼女の唯一の慰めはベッドで謎を解くことである。一方、マイと幼馴染みの同級生、山名井ゲンキは名前通りの健康優良児。ひそかに想いを寄せているマイのために、ゲンキは学校で起こった不思議な事件を、今日もベッドサイドに送り届ける。6つの謎と2人の恋の行く末は?『珈琲店タレーランの事件簿』著者が放つ新たなるミステリー。 「患者」と「病(やまい)」を合わせた貫地谷マイという名前の主人公は高校1年生。彼女は病弱でしょっちゅう何かの病気にかかっており学校も休みがち。そして床にふせっている長い時間を使って謎を解く「寝台探偵(ベッド・ディテクティブ)」なのだ。 マイと幼馴染みの同級生、山名井ゲンキは「病まない」の名前通りに病気知らずの健康優良児。ひそかに想いを寄せているマイのために、ゲンキは学校で起こった不思議な事件を、今日もベッドサイドに送り届ける。 6つの謎と2人の恋の行く末は? 『珈琲店タレーランの事件簿』著者が放つ新たなるミステリー。 夏風邪と《消えた万引き》の謎 熱中症と《持ち去られた短冊》の謎 IBSと《着替えられた浴衣》の謎 偏頭痛と《妨害された応援合戦》の謎 インフルエンザと《借りさせられた図書》の謎 健康体と《作られた音痴》の謎
アオヤマが理想のコーヒーを探し求めるきっかけとなった女性・眞子。11年ぶりに偶然の再会を果たした初恋の彼女は、なにか悩みを抱えているようだった。後ろめたさを覚えながらも、アオヤマは眞子とともに珈琲店“タレーラン”を訪れ、女性バリスタ・切間美星に引き合わせるが…。眞子に隠された秘密を解く鍵はー源氏物語。王朝物語ゆかりの地を舞台に、美星の推理が冴えわたる!
奇妙な出来事に説明をつける、つまり、「キセツ」。夏樹と冬子は高校時代、「キセツ」を同じ趣味とする、唯一無二の存在だった。しかしそれは、夏樹の秘めた恋心の上に成り立つ、微妙な関係でもあった。天真爛漫で、ロマンチストで、頭は切れるのにちょっと鈍感な冬子。彼女への想いを封印したまま大人になった夏樹は、久々に冬子と再会する。冬の神戸。バレンタインのツリーを避けて記念写真に収まるカップルを見て、冬子は言った。「キセツ、しないとね」謎を乗せて、季節はめぐる。はじけるような日常の謎、決して解けない恋愛の謎。夏樹の想いの行方は…。「珈琲店タレーランの事件簿」の著者が描く、究極の片想いミステリ。
五年前に失意の美星を救ったのは、いまは亡き大叔母が仕掛けた小さな“謎”だったー。京都にひっそりとたたずむ珈琲店“タレーラン”の庭に植えられたレモンの樹の秘密を描いた「純喫茶タレーランの庭で」をはじめ、五つの事件と書き下ろしショート・ショートを特別収録したミステリー短編集。