著者 : 岸川由美
英国でただひとりの女性医師であるガレット・ギブソンは、下町の救貧院での診察の帰り道、たちの悪い男たちに付け狙われる。そのときスコットランド・ヤードの元刑事で現在は内務省の諜報員イーサン・ランサムが現れ、彼女を助けた。2年前に彼女がレディ・ヘレンと共に治安の悪い地区を訪れたときと同じように。ガレットの危機を察したように現れるランサムだが、なぜか彼女と深く関わろうとはしない。振舞いは謎めいていて、アイルランドの過激な民族主義勢力が起こしたとされる爆破事件に関わりがあるという噂もあった。真実を知りたいと願うガレットだが…。ヒストリカル・ロマンスの女王リサ・クレイパスの筆致がますます冴え渡る“レイヴネル家”シリーズ最新刊。
生まれてから一度も故郷のハンプシャーを離れたことがなく、結婚して家を出た兄や姉たちに代わって、高齢の両親の世話をひとりでしてきたアビーは、社交界デビューもせぬまま大人になった。両親がそろって他界してからも、きょうだいはなおも彼女に家事手伝いを求めてくることに愕然とした彼女は、自分の人生を送るために自立しようと決意する。隣家のロスウェル公爵の妹の家庭教師になるが、実は公爵とは、少女のころに結婚を誓いあった仲だった。しかし彼がロンドンに居を移してからは放蕩の噂ばかりが聞こえるようになり、ふたりは何年も顔をあわせることさえなくなっていて…初恋のゆくえは?“シンデレラの赤い靴”シリーズで人気をさらったオリヴィア・ドレイクの待望の新シリーズ“公爵の花嫁”第一弾!
ピアノが得意な伯爵家の次女ローズは、姉の結婚祝賀会でワルツを演奏する役目をひきうけた。その日のために特別に曲を作ることを依頼された作曲家キャメロンと彼女は、音楽室でともに過ごし、徐々に惹かれ合っていく。しかし貴族の令嬢と一介の領民である作曲家は身分違いだ。彼はローズを遠ざけるような言葉ばかりを口にする。祝賀舞踏会のあと、ローズがテラスに出ると、夜の庭にはキャメロンがたたずんでいた。そして彼は「もしぼくがダンスを申し込んでいたら、あなたは応じてくれましたか?」と言うのだった。ふたりは頭の中で流れる音楽だけを頼りにワルツを踊り、互いの気持ちを確かめあうが…想いは壁を乗り越えられるのか?NYタイムズ&USAトゥデイのベストセラーリスト作家が描く、せつなくも美しい愛の調べ。
18世紀末のイングランド。世界中を周遊し、冒険譚を次々に出版している貴族アラリック・ワイルドが5年ぶりに帰国した。著作や彼を主人公にした芝居は大流行し、出迎えのために貴婦人たちが波止場にひしめき合うほど、彼はいまや女性の憧れのまとだった。兄の婚約披露のために開かれたパーティーでアラリックは、社交界にデビューしたばかりの愛らしい淑女ウィラと出会う。聡明で心やさしく、それでいて自分を表に出さない彼女にミステリアスな魅力を感じて夢中になるが、ウィラのほうは及び腰だ。彼女は奔放な両親のせいで悲しい思いをしてきたため、平穏な生活を望んでおり、華やかなアラリックに警戒の気持ちを抱いていて…ヒストリカルロマンスのトップ作家が描く注目の新シリーズ“ワイルド家”第一弾!
伯爵令嬢リリーは兄妹とともに、悪名高い放蕩者のライブルック公爵ダニエルの屋敷に招待されていた。絵を描くことが好きなリリーは、ライブルック邸が所蔵するフェルメールの絵を見ることを何より楽しみにしていたので、絵を探して邸内をさまよっていたところ、物陰でいきなり抱き寄せられ、キスされる。驚き、はねのけた相手はダニエルだった。彼はリリーを別の女性と間違えたのだ。あわてて逃げ出すリリー。ダニエルは彼女の純粋な反応に心うたれ、すっかり魅了されてしまった。そして翌朝、彼女が絵を描いているところを訪れ、「きみが見たいフェルメールの絵は寝室に飾ってある」と言う。どうしてもその絵を見たいリリーは…「ヴィクトリア朝版『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』」とレビューされた大ヒット作、ついに日本上陸!
芸術家でエキセントリックな両親のせいで、貴族社会からは変わり者あつかいされているデンヴァーズ家。令嬢エマは周囲から浮くのをおそれ、いつも地味な服を着て堅苦しくふるまっていた。ほんとうは絵を描くことに情熱をもっているけれど、若い娘がそんな熱意を持つことが人に知られれば、やはり変わり者だと言われかねないので隠している。会うたびにエマをからかってくる、兄の親友のラスバーン子爵は独身主義だが、結婚しないと財産を相続させないと祖母に言い渡された。困った彼は、祖母が社交シーズンでロンドンに滞在しているあいだだけでいいので婚約したふりをしてほしいとエマに頼み込む。そして、承諾したつもりはないのに、いつのまにか周りには、婚約者同士として扱われて…。思わず微笑みがこぼれる、チャーミングな愛の物語。
19世紀英国。5年前に差出人不明の恋文を受け取った日から、カリオペはずっとひとりのまま。男爵からの求婚を断るほど、情熱的な文面に心奪われた彼女だったが、同様の手紙が何人もの女性たちに届いていたことを知り、想いは打ち砕かれた。それでも今も、社交界で「カサノヴァの手紙」と呼ばれたその恋文を、時折読み返している。ある日、怪我で療養中の従妹を見舞ったカリオペは、「カサノヴァの手紙」らしき恋文を最近もらったと従妹から打ち明けられ、動揺する。ちょうどその時、従妹の屋敷に滞在していた子爵ゲイブリエルがカリオペに熱い視線を送っていた。実は彼は、かつてカリオペに焦がれて恋文をしたためたが、名乗り出ることができなかったのだ。その理由は…。USAトゥデイ紙のベストセラーリスト常連作家が描く、繊細な愛の物語。