著者 : 岸川由美
英国でただひとりの女性医師ガレットは、救貧院での診察の帰り道、たちの悪い男たちに付け狙われる。するとスコットランド・ヤードの元刑事イーサンに助けられた。彼はガレットを心配し、隠れてあとをつけていたのだ。謎めいたイーサンは、アイルランドの自治運動に関わりがあるという噂があるが、彼は危険な人物なのか。それとも……リサ・クレイパスの筆致がますます冴え渡る最新刊。
少女の頃から両親の世話に明け暮れ、社交界に出る機会を逸して大人になってしまったアビー。きょうだいたちがなおも彼女を家事手伝いに使おうとするのに愕然として、自分で身を立てると決意する。隣家のロズウェル公爵の妹の家庭教師になるが、実は公爵とは、若き日に結婚を誓いあった仲だった。しかし彼はロンドンに居を移して放蕩の噂ばかりが聞こえるようになり、何年も会うことさえなかったのだが……
ワルツの作曲を通して、心の奥底で結ばれていく伯爵家の次女ローズと作曲家のキャメロン。しかし身分違いのふたりゆえに、彼はローズを遠ざけるような言葉ばかりを口にする。やがて、ローズに結婚を申し込もうとしている貴族のゼイヴィアがキャメロンに、「ローズに捧げる曲を作曲してほしい」と依頼する。キャメロンは胸が引き裂かれる想いで引き受けるが・・・・。
世界中を周遊し、様々な冒険談を次々に刊行している貴族アラリック・ワイルドは英国中の令嬢の憧れのまと。久しぶりに故郷のリンドウ城に帰ったアラリックは、社交界デビューしたばかりのウィルヘミナに出会い、強く惹かれる。ウィルヘミナの方は、アラリックの精悍な魅力に圧倒されながらも、自分とは違う世界の人だと感じていた。しかしアラリックは彼女にどんどん近づいてきて・・・・・
ライブルック公爵低に招かれた伯爵家のきょうだい。絵を描くことが好きな長女リリーは、屋敷に所蔵されている名画を見たいと廷内をさまよっていたところ、物陰で突然抱き寄せられ、キスされた。放蕩者のライブルック公爵が、密会の相手と間違えたのだ。驚き逃げ出したリリーだが、公爵は純真な彼女に魅了される。そして翌日、自分の部屋にあるフェルメールの絵を見にこないかと誘い……
エマの両親は芸術家で、愉快だがエキセントリックな人たち。貴族社会からは変わり者の一家として疎外されているのがコンプレックスで、エマはいつも地味な服を着て、堅苦しくふるまっていた。ほんとうは絵を描くことに情熱をもっているが、若い娘がそのような熱意を持つことが人に知られると、また変わり者扱いされるので隠している。 会うたびにエマをからかってくる、兄の友人の子爵オリヴァーは独身主義だが、結婚しないと財産を相続させないと祖母に言い渡された。困った彼は、祖母が社交シーズンでロンドンに滞在しているあいだだけでいいので婚約したふりをしてほしいとエマに頼み込む。そして、承諾したつもりはないのに、いつのまにか周りには、婚約者扱いされてしまい……
USAトゥデイ紙のベストセラーリスト常連作家、ついに邦訳登場! 19世紀英国。カリオペは5年前に差出人不明のラブレターを受け取った。そのときプロポーズされていたが、ラブレターに心奪われるあまり、断ってしまう。その後、他の女性たちにもラブレターが送られていたことを知って傷つくが、今なお謎の差出人を忘れることができず、独身でいた。 ある日カリオペは、馬車の事故でけがを負った従妹パメラの見舞いでファローホール屋敷に行くことになった。パメラはかつてカリオペが求婚を断ったミルトンと結婚したばかりだ。彼と再会するのは気が重い。 屋敷にはミルトンの友人のエバハート卿ガブリエルと、他に二人の男性が滞在していた。カリオペは、パメラから最近ラブレターを受け取ったと聞かされ、もしや謎の差出人がこの屋敷にいるのではないかと疑う。そしてしばらくファローホールに滞在し、差出人を捜そうと考える。 一方、5年前にカリオペに一目惚れしていたガブリエルは、ある秘密を抱えていた。自分の熱い想いをカリオペに打ち明けることもできず、苦しむガブリエル。そしてカリオペはついに差出人の正体を知るのだが……。