著者 : 岸本佐知子
時は17世紀、舞台は疫病とピューリタン革命うず巻くロンドン。象をも空にふっ飛ばす未曽有の大女“ドッグウーマン”と彼女の拾い子ジョーダンは、自由の天地を目ざし、幻の女フォーチュナータを捜して時空を超えた冒険の旅に出る。英国の新鋭ウィンターソンが放つ奇想天外なベストセラー小説。
11歳で夭折した天才作家、エドウィン・マルハウス。友人のジェフリー・カートライトは、彼の伝記を執筆するのだが…。現代アメリカ文学の旗手による二重三重に仕掛けがほどこされた異色のパロディ小説。
暗黒街とのスキャンダルにも屈せず、舞台女優として一作ごとに大きく羽ばたきながら、ジャフィはエージェントの弁護士マットに惹かれ続けていた。妻のあるマットを諦めて結婚した興行プロデューサーのポールは、資金繰りに犯罪組織の手を借りて、過去を断ち切ろうとするジャフィを幾度となく苦しめる。やがて、マットと真実の愛を確かめあったジャフィに運命の転機が訪れる…。芸能史を飾った多くの人々を実名で登場させ、ブロードウェイ・ヒストリーを辿りながら美貌の女優の光と影で彩られた人生を雄大なスケールで描く、愛と野望のロマン。
ホールデン・コールフィールドが大人になったら、こんなふうに語るかもしれない。ブロードウェイの売れない役者サンディ君が、ニューヨークの街をさまよいながら語る、とびきりファニーで、ちょっぴりさびしいラヴ・ストーリー。「ライ麦畑でつかまえて」のアダルト版登場。
1920年代、ジャズの鳴り響く黄金時代のパリ。冬霧に濡れたモンパルナスの石畳に、紫煙たなびくカフェに、アールデコの衣裳をまとった人々が群れ集う。そんな華やぎをよそに、ひっそりとパリに流れてきた女マリヤは、ある日突然ささやかな安寧をも奪われた。ポーランド人の夫ステファンが、美術品窃盗の罪で逮捕され、刑務所に入れられたのだ。そこへ手を差しのべてきたのは、同じ英国人のハイドラー夫妻-パリの芸術家のパトロンとして有名だった。マリヤは夫妻の自宅へ引き取られ、カフェへ、ナイトクラブへ、三人で繰り出す夜が続いた。やがて、ハイドラーがマリヤに言い寄ってきた。はじめは拒絶して出て行こうとしたマリヤだが、夫の浮気を黙認する妻ロイスに引きとめられ、よるべなさについハイドラーに身をまかせてしまう。そして引きずりこまれていく愛の罠-。ジェイムズ・アイヴォリイ監督が惚れこんで映像化した、英国女流作家の秀作。