著者 : 島田荘司
複数の死亡事件の背後に見え隠れする、ある団体の影ー疑惑の究明に動きながら、御手洗潔は事件関係者の大学助教授とともに、幕末に老中首座を務めた福山藩主阿部正弘と、かつて瀬戸内を制した水軍の秘密に迫っていく。そこに、鞆に暮らす革職人一家が襲われる凄惨な事件が発生。これを糸口に、御手洗の推理で炙り出される事件の全容。そして「潮待ちの港」の歴史に秘された奇跡とはー!?御手洗潔、国内編最終章。
密室で殺された画家が遺した手記には、六人の処女の肉体から完璧な女=アゾートを創る計画が書かれていた。その後、彼の六人の娘たちが行方不明となり、一部を切り取られた惨殺遺体となって発見された。事件から四十数年、迷宮入りした猟奇殺人のトリックとは!?名探偵御手洗潔を生んだ衝撃作の完全版登場!
世界三大肖像画家、写楽。彼は江戸時代を生きた。たった10ヵ月だけ。その前も、その後も、彼が何者だったのか、誰も知らない。歴史すら、覚えていない。残ったのは、謎、謎、謎ー。発見された肉筆画。埋もれていた日記。そして、浮かび上がる「真犯人」。元大学講師が突き止めた写楽の正体とは…。構想20年、美術史上最大の「迷宮事件」を解決へと導く、究極のミステリー小説。
謎の浮世絵師・写楽の正体を追う佐藤貞三は、ある仮説にたどり着く。それは「写楽探し」の常識を根底から覆すものだった…。田沼意次の開放政策と喜多川歌麿の激怒。オランダ人の墓石。東洲斎写楽という号の意味。すべての欠片が揃うとき、世界を、歴史を騙した「天才画家」の真実が白日の下に晒されるー。推理と論理によって現実を超克した、空前絶後の小説。写楽、証明終了。
一九三九年十一月二日、ワシントンDCの森で、娼婦の死体が発見された。被害者は木の枝に吊るされ、女性器の周辺をえぐられたため、股間から内臓が垂れ下がっていた。時をおかず第二の事件も発生。凄惨な猟奇殺人に世間も騒然となる中、意外な男が逮捕され、サンフランシスコ沖に浮かぶ孤島の刑務所、アルカトラズに収監される。やがて心ならずも脱獄した男は、奇妙な地下世界に迷い込むー。
鎌倉の自宅で、異様な姿で死んでいる男が発見された。白いシーツを体にぐるぐる巻き、ヘルメットとゴム手袋という重装備。同じ頃、御手洗潔は、この男の近所に住むラク婆さんの家の前を、UFOが行き交うことを聞き及ぶ。果たして御手洗の推理はいかに!?「遠隔推理」が冴える、中編「傘を折る女」も収録。
空から太陽が消え、世界から風が失われたー世界が復活する日を待ちながら暮らすハロゥウイン・ダンサー市の市民たち。窮屈なルールに縛られながらも生きる喜びを知ったエドとメラニーは、「季節のない街」のミステリーを追求しはじめる。すべての秘密は、絶対に開けてはならない「雲の門」に?人生を賭けた冒険の果てに待ち受ける「運命」とは。
戦局が風雲急を告げ、日本の降伏が濃厚となった昭和二十年。亡国の危機を打開するため、最新鋭の高速度ロケット戦闘機「秋水」の研究開発に携わる「ミツグ伯父さん」を慕い憧れる少年、「ぼく」。しかしその現実は、奇妙に、そして確実にねじれていく…。“ゴッド・オブ・ミステリー”こと島田荘司があの士郎正宗とタッグを組み放つ、超弩級のファンタジー・ワールド。
定年を前に人生に倦んでいた男は、自らの前に現れた美しい虎を、神々しいまでに崇高な野生と感じた。閉塞した都市空間において、その生は奇跡であり忘れていた闘いへと彼を誘うのだった。虎がやがて大きな飛翔を見せるとき、彼は人生最大の決断を迫られた。知的ダイナミズムに富んだ、都市寓話の決定版。
昭和51年に福岡県で発生し、日本列島を震撼させた「一家四人惨殺事件」。満州で生まれ、極貧のなかに育ち、あらゆる辛酸を嘗め尽くしたあげく事件に至った一人の男の姿は、読むものの必を揺さぶらずにはおかない。ミステリー界の雄が渾身の力で対象に肉薄し、その謎と背景とを解き明かした、日本版『冷血』ともいうべき大著。
記憶に障害を持つ男エゴン・マッカートが書いた物語。そこには、蜜柑の樹の上の国、ネジ式の関節を持つ妖精、人工筋肉で羽ばたく飛行機などが描かれていた。御手洗潔がそのファンタジーを読んだ時、エゴンの過去と物語に隠された驚愕の真実が浮かびあがる!圧倒的スケールと複合的な謎の傑作長編ミステリー。
1988年、西ベルリンで起きた謎の連続殺人。五人の娼婦たちは頚動脈を掻き切られ、腹部を裂かれ、内臓を引き出されて惨殺された。19世紀末のロンドンを恐怖の底に陥れた“切り裂きジャック”が、百年後のベルリンに甦ったのか?世界犯罪史上最大の謎「切り裂きジャック事件」を完全に解き明かした、本格ミステリー不朽の傑作。
ネス湖畔の寒村ティモシーで、突如として発生した凄惨な連続バラバラ殺人。空にオーロラが踊り、魔神の咆哮が大地を揺るがすなか、ひきちぎられた人体の一部が、ひとつ、またひとつと発見される。犯人は旧約聖書に描かれた殺戮の魔神なのか?名探偵・御手洗潔の推理がもたらす衝撃と感動…。ロマン溢れる本格ミステリー巨篇。
完全な密室で発見された残虐な刺殺体。周囲のぬかるみに足跡も残さず消えた犯人。そして現場の床に整然と敷き詰められた赤い紙の謎。幾重にも重なる奇怪な状況に警察は立ち往生するが、小二の御手洗少年は真相を看破する。表題作ほか名探偵・御手洗潔の幼少期を描いた「鈴蘭事件」収録。ファン垂涎の一冊。
御手洗潔が日本を去って1年半。彼の友人で推理作家の石岡は、突然訪ねてきた二宮という女性の頼みで、岡山県まで悪霊祓いに出かけた。2人は霊の導くままに、寂しい駅に降り立ち、山中分け入り、龍臥亭という奇怪な旅館に辿り着く。そこで石岡は、世にもおぞましい、大量連続殺人事件に遭遇した。推理界の奇才が、渾身の筆致で描く本格ミステリー超大作。
石岡が遭遇した、岡山県の村での大量連続殺人事件の犠牲者はさらに増え、村は地獄絵の様相に…。村人の言う“村の業”とか“因縁”とは何か?言い知れぬ恐怖が支配する深夜、伝説の男の亡霊が現われた…!?彼による30人殺しとは?現代に甦る昭和史の残忍な悪意とは?御手洗潔の友人・石岡和己が解き明かす五十数年に及ぶ壮大な謎とトリック!傑作巨編。