小説むすび | 著者 : 嶋田洋一

著者 : 嶋田洋一

雪嵐雪嵐

大雪に見舞われたニューヨーク州の街バッファロー。元私立探偵のジョー・クルツは三人組の男に命を狙われたが、返り討ちにした。やがて、彼らの雇い主が以前手助けをした男であることがわかった。ファリーノ・ファミリーの後継者であるその男リトル・スキャグはいま刑務所で服役中だが、姉のアンジェリーナを介して指令を下したようだった。彼女を脅してそれを確かめたクルツは、そこで意外なことを聞かされる。彼女がゴンザガ・ファミリーのドン、エミリオ・ゴンザガを殺したいと思っていること。そして、ゴンザガがクルツの恋人を殺させた当人だという衝撃の事実も。ファリーノ・ファミリーがゴンザガに乗っ取られようとしていることも、後で判明した。この時クルツは、一人のバイオリニストから、娘を殺した犯人を捕らえてくれという依頼を受けていた。だが、強力な権力を持つその犯人はクルツに追っ手を差し向けてくる。それをかわしながら、クルツはアンジェリーナを利用してゴンザガへの復讐計画を整えていくが…。鋼鉄のハートを持つ男ジョー・クルツと、一筋縄ではいかない者たちの熾烈な闘い。鬼才が『鋼』に続いて放つハード・アクション・シリーズ第2作。

シティ・オブ・アイスシティ・オブ・アイス

クリスマス・イヴ-酷寒のモントリオールでなくとも張り込みには辛い日だ。エンジンを切った車の中で、エミール・センクマルス部長刑事は、若い相棒とともに、降り始めた雪を透かして街路に眼を凝らしていた。やがて、彼らが見張るアパートに奇妙な人影が入って行く。真っ赤な衣裳に白い髭、プレゼントの袋をかついだサンタクロースだ。いくら今日がクリスマス・イヴだといっても…サンタクロースの後を追いアパートの一室に踏み込んだセンクマルスは、そこで無残な光景に出くわした。クロゼットの中に、スチールのフックで吊り下げられたサンタクロースの死体だ。死体の顔を覗き込んだセンクマルスは、息を呑んだ。それは、彼に密かに情報を流していた、密告者の青年だったのだ。そのうえ青年の死体には、残酷な拷問の痕跡、さらにはセンクマルスへの挑戦状が!街ではバイク・ギャングの抗争に巻きこまれた子供が爆死する事件が起きていた。激化する一方の抗争には、ロシア・マフィアの影も落ち、不穏な空気が充満している。そんななかをサンタクロース殺人を追って奔走するセンクマルスだが、事件の背後には信じがたいほど巨大な謀略が潜んでいた-カナダ文壇の大物作家が匿名で放つ、傑作大型警察小説。

フェアリイ・ランドフェアリイ・ランド

大天変と呼ばれる気候の大変動により極地の氷が融け、結果、水没地域のアジア・アフリカからの大量の移民が溢れ返ることになったロンドン。街全体が異国情緒に満ち、ロンドンの裏世界はさまざまな人種によって構成され、毎日騒然とした雰囲気に包まれている。しかも、「ドール」と呼ばれる人工的に合成された肉体に電子チップを埋めこんだ一種のロボットの人権を主張するグループが爆弾テロを繰り返していた。逮捕歴のある遺伝子ハッカーのアレックスは、戦闘用に改造したドールを闘わせる闘技場建設を試みるギャングと、そのギャングに私憤を抱く刑事の間に立っていたが、やがていやおうもなく争いに巻き込まれていった。そして、争いの渦中、現れた謎の美少女ミレーナはアレックスに手伝わせて盗んできたドールのチップを入れ替え、知性を持った「フェアリイ」を造りあげ、フェアリイとともに姿を消してしまった。アレックスはミレーナの後を追ったが…。アーサー・C・クラーク賞/ジョン・W・キャンベル記念賞を受賞した、イギリスSF界最高の有望作家が描く、ナノテクSFの傑作。

ゴ-ルドゴ-ルド

わたしはなんとしても作家になりたい!創作意欲に燃える家事ロボット-キャル-が、様々な機能を付け足し、執筆内容もしだいに上達して、やがては主人の作家を凌駕する作品を書き上げたとき…作家志望のロボットの奮闘を、ブラックな笑いにつつんで見事に描きあげたロボット・シリーズの名作「キャル」。「リア王」のコンピュ・ドラマ化に成功し世界的な名声を得た演出家ウイラードのところに、ひとりの作家が訪れた。自分の作品をコンピュ・ドラマ化してほしいという。しかもひきかえに、十万グロボ・ドル相当のゴールド-黄金を支払おうというのだ!映像化を拒否するような内容の原作を、コンピュータを使っていかに立体映像化するか…息詰まるコンピュ・ドラマ作成現場を描きヒューゴー賞を受賞した「ゴールド-黄金-」。そのほか、作家志望の若者たちにSF小説作法を伝授する「SF作家になるためのヒント」、著者みずからがロボット・シリーズについて解説する「ロボット年代記」など、愉快でためになるエッセーの数々をあわせて収録した、アシモフ最後のヴァラエティ溢れるSF作品集。

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