著者 : 川上ともこ
幼いころ里子になり、養父に疎まれても尽くしてきたケイティ。だがある日、養父の借金を肩代わりする好色な老富豪に花嫁として差し出されると知って、絶望の底に落とされた。このまま言いなりになるほかないの?ケイティは途方にくれ、少女時代を共に過ごしたアレッサンドロを10年ぶりに訪ねた。放蕩者で鳴らす裕福な投資家となった彼は、とびきりセクシーで危険な香りを放っている。だめよ、甘美な思い出は封印するの。今日は色恋とは無縁の突拍子もない頼み事をするのだから。ケイティは深く息を吸った。「わたしと結婚してほしいの」
連絡の途絶えた弟を捜しにサンタラ国を訪れた教師のリーガン。写真を手に尋ね歩く途中、バーで全身黒ずくめの男から、弟が婚礼間近の王女と消えたと聞かされて驚く。この男こそ、国王ジェイグだった!妹を奪われ激怒する彼の王宮にリーガンは囚われるが、ある取り引きを持ちかけられた。舞踏会に婚約者として同伴すれば、弟の罪は問わないというのだ。私を“婚約者”という名の罪人として扱うつもり?怯えながら引き受けたリーガンだったが、彼の男性的な魅力や、紳士的な心遣いに、思いがけず心を揺り動かされて…。
「君を我がスイートへ連れていこうと考えている」ザジニア国の美しき王太子ケダの熱い視線に、臨時秘書のフェリシアは服をはぎ取られたような気分になった。私の仕事は彼を反対勢力の画策から守り、王位継承に導くこと。愛の営みなど、契約には含まれていない…。だが、彼女がケダの強烈な魅力に屈するのは時間の問題だった。無上の喜びの果てに小さな命を授かったフェリシアは、ふさわしい花嫁を娶る身のケダを思い、彼のもとを黙って去った。見返りのない愛に疲れ果て、深く傷ついた心を抱えて。
女性なら誰もが羨むハンサムな富豪の夫を持つアダラは、度重なる流産を経験し、さらに夫の不倫疑惑が持ちあがったことですっかり自信を失い、とうとう離婚を申し出た。もともと双方のビジネスのための結婚ではあったが、アダラはいつの間にか、夫を愛し始めていたのだった。だがギデオンのほうは名ばかりの妻を手放すつもりはないようで、アダラは愛も子も得られぬ結婚のつらさに絶望する。そんな折、妊娠が判明ー。今度こそ、と希望が芽生えかけたとき、アダラが知りもしなかった夫の過去と正体が明らかになる。