著者 : 平井啓之
「お前を無期懲役の刑に処する」。1931年、パリ。無実の殺人罪で捕まったやくざ者のパピヨンは、脱出不可能と名高い仏領ギアナの流刑地へ送られた。絶望と死が支配する場所で、自由への執念を胸に燃やした彼は囚人仲間と危険な計画を実行に移すー。脱獄冒険小説の金字塔であり、全世界に衝撃を与えた伝説的自伝。同名映画原作。
「脱走できるか、それともくたばるか」-。悪名高き仏領ギアナ徒刑場で無期懲役囚となったパピヨン。度重なる挫折の末ついに悪魔島に送られた彼は、自由への飽くなき憧憬を胸に命を賭して荒海に身を投げた!燃え盛る不屈の精神が魂を揺さぶる、衝撃の自伝。全世界で大ベストセラーとなった脱獄冒険小説の金字塔。同名映画原作。
ランボオ、ヴァレリー、ベルグソン、プルースト、サルトル。著者の炯眼は夙く、孤高に屹立するこれら偉大な単独者たちの言説をつらぬく一筋の潜流に着目し、その系譜を書き上げたー本書である。初め著者だけの孤独な確信に止まっていた潜流は、やがて、現代思想の最も豊かな源泉として地表に湧き出でた。著者の類稀まれな先見と創見は、こうして、最先端の諸問題とリアルタイムの直結を果たしたのである。
「被告を無期懲役の刑に処する」-無実の殺人罪を問われた25歳のやくざパピヨンは、このとき脱獄を心に誓った。脱獄して、自分を罪に落とし入れたやつらに復讐するのだ…。仏領ギアナの流刑地に送られたパピヨンは、寝ても覚めても脱走を考えた。その機会は意外に早くおとずれた。流刑地に来て37日目に、彼は仲間2人とともに、小さなカヌーで、自由を求めて海にのりだした…。
11ヵ月にわたる逃亡生活はみじめにも終りを告げ、パピヨンはふたたび仏領ギアナの徒刑場に送られた。脱走罪による2年の重禁錮刑。孤島に設けられた、牢獄のなかのもう一つの牢獄、〈人食い牢〉と呼ばれ恐れられている苛酷な独房。パピヨンは耐え、2年後出所する。脱走への意欲はいささかも衰えていない。だが4ヵ月かかって準備した次の脱走計画は未遂に終り、またもや重禁錮監獄に…。
パピヨン、35歳。度重なる挫折の後、かつてのドレフュスの流刑地、悪魔島に送られた彼は、9回目の脱走を試みる。ココ椰子の実をつめた袋に身を托して、海にとびこむのだ。7つ目ごとに押し寄せる大波が引いていくとき、この袋を沖合はるかまで運んでくれる。あとは潮と風まかせ。数日間の漂流で、大陸沿岸のどこかにたどりつけるだろう。一か八かの賭けに見えたが、彼には成算があった。