著者 : 平山夢明
地獄の神様、もっと酷いことにしてください。食い詰めて、わるさがバレて、仕事も家も頼る人もいない。そもそも、誰かを信用したこともない。子供の頃には唄が聞こえたこともあったし、物語のなかのような優しい母親やかわいい妹もいた気がするのにー。絶望と哄笑に彩られた詩情。物語の強度を極限まで上げた、瞠目すべき傑作集。
山の麓の売春宿にやってきたオランウータンのポポロと、ヤギの甘汁。動物たちの活躍ぶりに、人間が戦慄する表題作をはじめ、“極限状況”に置かれた人々の悲哀と、そこから見いだした美しい光を、リズミカルな文体と、ぶっとんだユーモアでお届けする“イエロートラッシュ”シリーズ・第二弾の全四編。
“うで”と“デブ”どっちがいい?借金で、首の回らなくなった「俺」の究極の選択とは?予測不能の展開の表題作をはじめ、“泥沼”で咲きみだれる美しい“花”や、極限状況に置かれた底辺の人間の悲哀と希望の光を、リズミカルな文体と、ぶっとんだユーモアでお届けする“イエロートラッシュ”シリーズ全四編。
明智小五郎、少年探偵団、そして怪人二十面相…。いまだ多くの人々を魅了し続ける、江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズ。彼らの対決に胸を躍らせた、現代を代表する豪華ミステリ作家陣が集結し、愛と情熱を込めて書き上げた、珠玉のオマージュ小説アンソロジー第2弾!
泥酔すると豹変して寺の鈴緒にぶら下がる男、露天で買った亀の甲羅に息子が閉じ込められ半狂乱となる父、自らの水子の霊に祟られて大好物の饅頭を絶ち供養する飯盛女、小塚原刑場に曝される生首女の口を吸う男…そこはかとない怖気と滑稽さが背筋を摩る大凶評江戸寄譚、努涛の33連発。
目と耳が不自由な美女と、何の取り柄もない男の純愛を描く表題作。ただの筋肉バカとなってしまった元アメフト選手の兄を持てあます弟の苦悩(「兄弟船」)。過去に人身事故を起こして人生を狂わせた男がたどる不幸の連鎖(「悪口漫才」)。罵倒しあう老夫婦が経営する名物ラーメン店が陥る絶望と希望(「反吐が出るよなお前だけれど…」)他、底辺を這う人々の、救いのない日常を映し出す全10編を収録。
ほんの出来心から携帯闇サイトのバイトに手を出したオオバカナコは、凄惨な拷問に遭遇したあげく、会員制のダイナーに使い捨てのウェイトレスとして売られてしまう。そこは、プロの殺し屋たちが束の間の憩いを求めて集う食堂だったーある日突然落ちた、奈落でのお話。
交通事故に遭った男女を襲う“無関心”という恐怖を描く表題作、引きこもりの果てに家庭内暴力に走った息子の殺害を企てる夫婦の絶望(『倅解体』)。孤独に暮らす女性にふりかかる理不尽な災禍(『仔猫と天然ガス』)。定年を迎えたその日、同僚たちに手のひら返しの仕打ちを受ける男のおののき(『定年忌』)ほか、理解不能な他人たちに囲まれているという日常的不安が生み出す悪夢を描く14編。