著者 : 斉藤数衛
戒律を冒した神父はそれでも神聖なのか?酒を手放せず、農家の女と関係を持ち私生児までもうけてしまう通称「ウィスキー坊主」は、教会を悪と信じる警部の執拗な追跡を受け、道なき道を行く必死の逃亡を続けていた。だが、逮捕を焦る警部が、なじみの神父を匿う信心深い村人を見せしめに射殺し始めた時、神父は大きな決断を迫られるー共産主義革命の嵐が吹き荒れる灼熱の1930年代メキシコを舞台にした巨匠の最高傑作。
歴史小説家である「僕」には、ウィーンで数奇な育ちをしたウチという妻がいる。一方、「僕」の友人で大学でレスリングのコーチをしているセイヴァリンは、ウィーンで知り合ったヤンキー娘のイーディスと結婚した。これら2組のカップルのユーモラスで鮮烈な夫婦交換の物語を通して浮かびあるがる現代人の内面風景とは?『熊を放つ』と『ガープの世界』をつなぐJ・アーヴィング会心の力編。
ロスでも有数の美術品店を経営する老婦人マリア・アタベリーが殺された。難病で余命いくばくもない彼女が、巨額の財産の行方を決する遺言書を書きかえたという噂が出た直後の惨劇だった…。『殺人詩篇』の事件の後、新婚旅行を楽しんでいたクリフ・ダンバーは、マリアの肖像画を描いていたため事件に巻き込まれた妹の頼みで、急遽ロスへ戻ってくる。だが、事件の解明に乗り出した彼の背後にも、狡猾な犯人の魔手が迫る。風光明媚なカリフォルニアを舞台に、軽快な冒険アクションの筆致で、ヴェトナム帰りのもと大学教授の活躍を描く第二弾。
新任の犯罪捜査部長ニムロド・フロストがレストレイドに命じたのは、なんとも不可解な事件の捜査だった。なぜか60歳以上の老人ばかりが次々に殺されていくのだ。ガス灯のロンドンから霧に覆われたコーンウォールの荒地へ、さらには煤煙のたちこめる紡績都市マンチェスターへー。レストレイドは姿なき殺人者を追い、隠密捜査を続ける。はたして殺人者の狙いは何か?やがて、殺された老人たちをつなぐ糸が見えはじめるが…。犯罪とロマンの香り豊かな時代、19世紀末のイギリスを舞台に、レストレイド警部の新たな冒険を描く、著者会心の第2弾。