著者 : 斜線堂有紀
荒城務は、宇宙で最初の長距離ワープを控えていた。地球にいる最愛の妻、琴音とは声のやり取りはできず、その姿をモニターで見るしかできなかった。そんな中、務は琴音が「妹の夫」に殺される映像を目にしてしまう。どうにかしてこのことを地球に知らせなければー。務はワープを終えた後、地球との定期連絡でそのことを伝えようとするが、モニターに現れたのは金髪碧眼のドニという若い男だった。言葉が通じない中、務はどうやって外国人のドニに妻が妹の夫に殺されたことを伝えるのか…驚きの設定に驚きのラスト。前代未聞、空前絶後のミステリ(「妹の夫」)!すべてが斬新、すべてに脱帽。今、本当に読んでおきたい著者の感情を強く揺さぶる5作品。
令和最注目の作家・斜線堂有紀が描く、推しの恋。見ててね。私が最高の人生、使い切るところー。「東京グレーテル」、カリスマ・赤羽瑠璃によって躍進したアイドルグループ。光り輝く彼女たちにも、ステージを降りれば人生が待っているー。彼女たちそれぞれの、恋と生の物語。
「屋上からの脱出」閉じ込められた深夜の学校の屋上から抜け出す方法を探せ。「名とりの森」入ると自分の名前を奪われる森から、親友を助け出せ。「鳥の密室」魔女として処刑される前に、塔の最上階から逃げ出せ。「罪喰の巫女」不可解な仕掛けに囲まれた神社の秘密を解き明かせ。「サマリア人の血潮」謎の研究所の出口を目指し、失った記憶を取り戻せ。全編書き下ろし。没入感あふれる読書体験がここに。5人の人気作家が仕掛けた、謎だらけの物語から脱け出せ。
恋も友情もあった。人生があった。ここだけが私たちの居場所だった。文学フリマ東京36で話題沸騰の合同誌を緊急書籍化。「Twitterが無くなった世界」をめぐる6つの物語。
本を焼くのが最上の娯楽であるように、人を焼くことも至上の愉悦であった。その国では、物語を語る者が「本」と呼ばれる。一冊につき、一つの物語。ところが稀に同じ本に異同が生じる。そこで開かれるのが市井の人々の娯楽、「版重ね」だった。どちらかの「誤植」を見つけるために各々の正当性をぶつけ合う本と本。互いに目を血走らせるほど必死なのはなぜか。誤植と断じられた者は「焚書」、すなわち業火に焼べられ骨しか残らないからである。(表題作) 他「痛妃婚姻譚」「金魚姫の物語」「本は背骨が最初に形成る」など7編収録。
いま最も注目される作家の初SF作品集。真実の愛を証明できる「回樹」をめぐる、ありふれた愛の顛末。骨の表面に文字を刻む技術「骨刻」がもたらした、特別な想い。すべての映画には魂があった。「BTTF葬送」への抵抗の物語。人間の死体が腐らない世界で、あるテロリストが達成した「不滅」。奴隷制度下のニューヨーク、白人と黒人と宇宙人の融和は「奈辺」?回樹に愛を託した人々は、年に一度の「回祭」を催していたー。誰も思いつけないアイデアと、誰でも思いあたる感情の全6篇。
もしも、大好きで、でも手が届かない人が陰謀論にハマったら…?…わたしでもつきあえるかも。-『君の地球が平らになりますように』。結婚してくれない彼氏。ふと魔が差してマッチングアプリで違う男と出会ったら…。-『転ばぬ先の獣道』。握手は1回3,000円の地下アイドルにはとある秘密があった。-『『彼女と握手する』なら無料』。ホストと結婚したい女の前に、生き別れた姉が現れる。ホストを巡り死闘がはじまった。-『大団円の前に死ぬ』。『平らな地球でキスはできない』書き下ろし。5人の女性がたどるそれぞれの恋と地獄。令和最注目の作家が描く恋愛小説集。
『紅蓮館の殺人』『透明人間は密室に潜む』の阿津川辰海と、『楽園とは探偵の不在なり』『廃遊園地の殺人』の斜線堂有紀が「あなたへの挑戦状」というテーマで小説を書いて競い合う!加えて、競作過程を描いたネタバレ満載の「執筆日記」を収録。阿津川辰海「水槽城の殺人」-巨大な水槽のある円柱型の建物「水槽城」で怪死事件が発生。犯行当時、水槽で現場は隔離されていた。斜線堂有紀「ありふれた眠り」-犯人は犯行後、死体の横で一晩眠っていた。才能あふれる妹を持つ凡人の兄は、とある秘密を妹に話せずにいた。
この世界では“カミ”に優れた歌と踊りー『舞奏』を奉じれば、どんな願いでも叶うという。六原三言には叶えたい願いがなかった。類まれなる才能に恵まれ、それ故に孤独でもあったが、ただ“カミ”のために舞奏を極められればそれで良かった。しかし、皋所縁はその違和感を見逃さない。探偵を辞め、とある願いを叶えるため必死に舞奏に喰らいついてきた皋は、三言のような人間を理解できなかったー。斜線堂有紀が挑む「ライフワーク」であり壮大な伝奇ミステリ。謎を秘めた青年達の才能と業、願いをめぐる物語が幕を開ける。
ファンをストーカーする地下アイドル、舞踏会中毒の女、男に合わせて山で死にかける女、男×男×女+etc…斜線堂有紀の恋愛地獄小説集、開帳ー!!彼女たちだけの恋=闘争がはじまる!!
プレオープン中に起きた銃乱射事件のため閉園に追い込まれたテーマパーク・イリュジオンランド。廃墟コレクターの資産家・十嶋庵はかつての夢の国を二十年ぶりに解き放つ。狭き門をくぐり抜け、廃遊園地へと招かれた廃墟マニアのコンビニ店員・眞上永太郎を待っていたのは、『このイリュジオンランドは、宝を見つけたものに譲る』という十嶋からの伝言だった。それぞれに因縁を抱えた招待客たちは宝探しをはじめるが、翌朝串刺しになった血まみれの着ぐるみが見つかる。止まらない殺人、見つからない犯人、最後に真実を見つけ出すのは…2021年最注目の俊英による廃墟×本格ミステリ!
名探偵・皋所縁に解決不可能な事件はない。たとえ起きた悲劇の後始末しか出来ないとしても、自分のやっていることには意味がある。なによりも人間の可能性を信じている。その思いが、彼を動かしていた。しかし、皋所縁はとある事件をきっかけに探偵を辞めた。(「線上の十三階段」)他、全6話を収録。奇縁・約束・代償ー。これは6人の青年がそれぞれの“宿命”と出会い、対峙するまでの物語。
小学生でデビューし、天才の名をほしいままにしていた小説家・綴喜文彰は、ある事件をきっかけに新作を発表出来なくなっていた。孤独と焦りに押し潰されそうになりながら迎えた高校三年生の春、綴喜は『レミントン・プロジェクト』に招待される。それは若き天才を集め交流を図る十一日間のプロジェクトだった。「また傑作を書けるようになる」という言葉に参加を決める綴喜。そして向かった山中の施設には料理人、ヴァイオリニスト、映画監督、日本画家、棋士の、若き五人の天才たちがいた。やがて、参加者たちにプロジェクトの真の目的が明かされる。招かれた全員が世間から見放された元・天才であること。このプロジェクトが人工知能「レミントン」とのセッションを通じた、自分たちの「リサイクル計画」であることをー。
二人以上殺した者は“天使”によって即座に地獄に堕とされるようになった世界。探偵・青岸焦は「天国が存在するか知りたくないか」という大富豪・常木王凱に誘われ、常世島を訪れる。そこで彼を待っていたのは、起きるはずのない連続殺人事件だった。『私が大好きな小説家を殺すまで』『恋に至る病』の俊英が挑む、渾身の本格ミステリ。
英知大学に入学したばかりの祝部は、飲み会の帰りに暴漢に襲われた末、誤って相手を殺してしまう。途方に暮れた祝部を救ってくれたのは、同じ大学の先輩だという織賀だった。しかし死体の始末を申し出てくれた織賀の車には、すでに別の死体が乗っており、祝部は秘密裏に死体の処理を請け負っている織賀の手伝いをする羽目に。そのうえ、織賀が運ぶ“奇妙な死体”がなぜそんな風に死んだのか、織賀を相手に推理を披露させられることになるのだが…。繰り返される『死体遺棄』の末に祝部と織賀を待ち受けるものはいったい何かー。気鋭の作家が描く、異色の青春ミステリー。