著者 : 新宮正春
どんなにカードが揃っていても、エースは1枚しか存在しない。その“頂点”を目指して、因縁の二人と目されるライバルたちのパワフルでスリリングな戦いのドラマが展開される。心優しき男たちの生きざまと、幾多の名勝負、名場面を熱くさめた観察眼によって浮き彫りにする。-本書に収められたヒューマンな作品群には外からは窺い知れない“裸の選手”たちが息づいている。-プロ野球ノンフィクション・ノベル。
昭和60年、低迷を続ける王巨人軍に彗星のように現れた球世主2人ー投手・嘉手納宗七と代打・飯村勇司。それぞれ古琉拳と剣道の達人で、嘉手納は相手バッターを思い通りの場所に打たせ、一方、飯村は必ず狙った所へ打ち返せるという。2人の大活躍で王巨人軍にペナントの光が射しかけたある日、嘉手納は投球動作のさなか、原因不明の目まいを感じた。ハイテク野球ミステリー快作。
ときには弟と妹のため、ときには愛しき女のために、古流・流球拳法が唸る!炸裂する!L・Aのリトル・トーキョーで保安主任をつとめる「おれ」に、ある日、悲しい知らせがとどいた。旅行代理店につとめている弟が、植物人間にされてしまったというのだ。いったい誰の仕業なのか?何のために?「おれ」は見えない敵を追って、徒手空拳で立ち向かう決心をした…。シアトル、バンクーバー、香港などを舞台に、気鋭の著者が乾いた文体で男の情念を描く、ハードボイルドタッチの連作推理。
寛永11年、河合又五郎一行に上意討ちを仕掛ける荒木又右衛門は、上野城下に近い「鍵屋の辻こそ死に場所」と決めた。周りには義父服部采女が指揮する黒党が取り囲んでいる。手出しは無用。又右衛門の剛刀が走る。決闘から5年後、鳥取池田家へ身柄を移された又右衛門の身になにが起きたのかー。表現作他に暗躍する忍者の策略と濃厚なエロスが躍動する時代短編小説集。
日本人傭兵たちの愛憎と死闘!鎖国下の17世紀半ば、台湾のゼーランジャ城をめぐって戦いを繰り広げるオランダ軍と鄭成功軍。故国を捨て、それぞれの軍に雇われている日本人傭兵たちの相剋と生きざまを描く気鋭の長篇力作!
木辺勤は、「ハイテク球場の裏表」の取材で、エアドームにやってきた。スコアラーの片山との久しぶりの再会。片山は怯えた目でまわりを気にしながらいった。「ぼくらの商売はね、何かあると、スコアカードに書きこむ癖がつくものなんですよ」そしてその夜、彼はドーム内で死んだ。自殺か、他殺か-。木辺は、死体のそばに落ちていたスコアカードに、考えられないような間違いを発見した。そこから浮かびあがった“49-N”という記号は何を意味するのか。いま球場に、殺意の香りが漂いはじめる。野球ミステリー集。
有明の海辺で漁師として暮らすげんざは、むつごろう獲りの名人だった。6種類の竿と6個の釣針を使い分け、ひと振りで釣りあげる。そのげんざが、兄・仁錫と対決した…(「不知火殺法」)。少林寺拳法、銛打ちの殺法、跳躍術など、奇妙な武器と、恐るべき必殺技の数々。ユニークな発想が、時代伝奇小説の面白さを倍加させる傑作集。
フリーライターの木辺勤とカメラマンの太田俊五のコンビが、グラウンド内外で起こる難事件にアタックする、殺しの連作小説。デッドボールが打者に与える衝撃力は、東京タワーの展望台からボールを落下させるくらいの破壊力を秘め,ヘルメットがなければ頭の骨は粉みじんになってします。牽制球だって、狙えば、凶器になる。ロイヤルズのエース田尻浩二がそのお得意とする剃刀シュートを内角高目に…。誰が見ても、打者を大きくのけぞらせておいて、外角に勝負球を投げこむブラッシュ・オフのテクニックだと思ったが、故意にか、スッポヌケか?速球は打者に向かって吼えた…。
奥州街道沿いで、柳生の嫡流、権右衛門の死骸が打ち捨てられていた。胸をひと突きにした傷口は異様に丸く、左手の小指は砕かれていた。何者の仕業なのか?柳生十兵衛は、父、宗矩の命令で狭間新三郎を連れて、みちのくへ旅立つ。白石城下へ向かう途中、柳生の諜者、道哲の出迎えを受け、風流な家に案内される。だが、それは罠だった!火薬が床下に仕掛けられており、家はふっとんだ。道哲を装った男は、十兵衛もろとも死のうとしたのだ。それは真田者のやり口だった。伊達藩に真田の残党が入り込んでいる!彼らが死を覚悟で守らねばならない秘密とは、何なのか?伊達政宗の青葉城、西ノ館で驚くべき秘事が繰り広げられる長編時代小説!