著者 : 新野剛志
戦後、東京。 暗闇の底に灯る一瞬の生の輝き。 占領と復興の十年、名もなき人々の 人生と犯罪を描破する珠玉の六編。 ある男は、上海から空輸されたダイヤモンドの行方をめぐって追手から逃げるーー飛行士として空を駆けた日々に思いを馳せながら。 ある少年は、みずからと似た境遇の浮浪児を集めて地方の農家に身売りするーーそれが彼らにとっての幸福に違いないと信じながら。 ある女は、紙芝居の出版社で働く傍ら許婚とともに義兄の帰りを待ち続けるーー父のいなくなったこの国で自由とは何か悩みながら。 一九四五年、第二次世界大戦の終結とともに被占領国となった日本の状況は一変した。あらゆるものを失い、時に犯罪に手を染めてもなお、生きるために人々はもがく。惨めにも、時に気高く。占領と復興の十年を駆け抜けた名もなき人々の生を描破する珠玉の六編。 ■収録作品 「幽霊とダイヤモンド」 「少年の街」 「手紙」 「軍人の娘」 「幸運な男」 「何度でも」
■第34回鮎川哲也賞選評、および第2回創元ミステリ短編賞選評&受賞作・歳内沙都「桜越しに空を撮る」掲載。■本邦初訳短編掲載などで贈る、特集「美しくも歪(ゆが)んだ世界へようこそー ジョン・コナリーの物語」。■気鋭による傑作読切 古矢永塔子「私たちの愛の巣」、嶋津輝「稲子のカフェー」掲載。■新野剛志が贈る、終戦まもない東京を活写する連作『粒と棘』、堂々の連載最終回ほか。
【受賞作決定!】 第33回鮎川哲也賞 選評 辻 真先・東川篤哉・麻耶雄嵩 第1回創元ミステリ短編賞 選評 大倉崇裕・辻堂ゆめ・米澤穂信 【第1回創元ミステリ短編賞受賞作】 嘘つきたちへ 小倉千明 ●小学校卒業以来、久方ぶりに東京で再会した三人。自然とあの日、あの事件を思い出す…… 朝からブルマンの男 水見はがね ●喫茶店で週三回、一杯二千円のコーヒーを注文する奇妙な客。彼の目的とは一体何か? 【新連載】 粒と棘 第1話 幽霊とダイヤモンド 新野剛志 ●元飛行士の担ぎ屋を尋ねて闇市には怪しい男の姿が。終戦から間もない東京を活写する連作 【小説】 泥酔肌着切り裂き事件 今村昌弘 ●明智恭介からの電話着信は、厄介な事件が持ち込まれる前兆だ。ただ今朝はいつもと様子が違って…… 明治殺人法廷 第6回 芦辺 拓 ●一家大量殺人の容疑者の弁護に立つ決意を固めた迫丸。かくして法廷の扉が開くーー きみのかたち 第9回 坂木 司 ●シュンの自宅であるマンションを訪れた大地とイリコ。だが、小学生にとっては問題は山積みで…… 名探偵の有害性 第3回 桜庭一樹 ●第三の事件で絶体絶命の危機に陥った名探偵。三十年後の今、その場面を私たちはテレビで見ているーー 記憶の対位法 第6回 高田大介 ●紙片の謎を調べる一方、新聞記者としても飛び回るジャンゴ。そして友人の身に思わぬ事件が…… 神の目 フランシス・ハーディング 児玉敦子 訳 ●ロンドン上空の気球から画家が不審な落下死を遂げた。容疑をかけられたメイドを助けようと下働きの少年は調査をはじめる 【コミック】 第3回 レーザービーム・ステッチ 熊倉 献 ●「パーカーの袖を、4本にして欲しいの」奇妙な頼みごとに想像は膨らんで…… 【特別企画】 日本推理作家協会賞2023年 翻訳小説部門賞 受賞記念翻訳者インタビュー 【ESSAY】 私の小さな地図帖 その三 子供たちの旅 山崎佳代子 装幀の森 第8回 柳川貴代 翻訳のはなし 第11回 『失われたものたちの本』 田内志文 ホームズ書録 パリの実録であるかのようなホームズ翻訳 北原尚彦 【COLUMN】 みすてりあーな・のーと その1 フィルポッツとクリスティ 戸川安宣 ひみつのおやつ*芋けんぴ 市川哲也 私の必需品*古本あれこれ 柳川 一 【INTERVIEW 期待の新人】 岡本好貴 【INTERVIEW 注目の新刊】 『ヴァンプドッグは叫ばない』 市川憂人 『でぃすぺる』 今村昌弘 【BOOKREVIEW】
昭和11年夏、満洲国・奉天の街。新聞社の飛行士・鷲尾順之介は、殺人事件に端を発した銃撃戦に遭遇し、謎めいた美貌の歌手・宋麗琳を偶然助けた。それは運命の出会いだった。一方、関東軍参謀部の梶清剛大尉は、同志とともに「ある計画」を遂行していた。そして、彼らの運命の糸は複雑に絡み始めるー。ライバル社の行方不明機を発見した順之介は、突如現れた梶から銃を突きつけられる。内蒙古で「荷物」を引き取り、空輸しろと命令されるのだが…。否応なく操縦桿を握り、空へ上がった彼を待つ運命とは?そして、次々と明らかになる、驚愕の真実と迫り来る危機とは!?壮大なスケールで描く冒険巨篇。
私立保育園「みつばち園」で、開園以来初の男性保育士として働き始めた星野親。女性ばかりの職場や、保護者からの偏見に戸惑いながらも、体当たりで子どもたちと向き合っていく。心温まる青春お仕事小説。
乱歩賞作家、戦慄のランニングミステリー! 平凡な公園ランナーであるインテリア会社「ワンダーケース」の社長・高木雅弘は、所属するランニングサークルの仲間たちと行なっている「レース」にハマっていた。 ある日、高木のもとに「明日のレースには負けなさい。さもなければ、ひとが死にます」と書かれた一通の郵便が届く。そして翌日、高木がレースに勝つと、さっきまで走っていた公園内で本当に男の死体が発見される。しかもその男は大学時代の同級生だったーー。 これは偶然なのか、それとも・・・・・・。 走れば走るほど、日常は壊れ、運命は狂っていくーー。 江戸川乱歩賞作家が放つ、戦慄のランニングミステリー!
きっといいことあるんだよ、絶対に。スカイツリーの町で生まれ育った吾郎。低額宿泊所の所長だったが、社長と喧嘩してクビ。バツイチで、可愛い息子にはほとんど会えず、元妻は再婚するという……。多難な毎日だけど元ホームレスの青年・魁多に絵の才能を感じて、ギャラリストになろうと決意した。めげない男の奮闘が痛快・爽快な下町人情物語! きっといいことあるんだよ、絶対に。 バツイチ職なし、でもここは俺の生まれた町だ。 『あぽやん』の著者が描く〔東京下町〕めげない男の爽快奮闘記! 東京スカイツリーのお膝元。小さな小さな商店街を舞台に、 超前向き男が人生に風穴を開けてゆく傑作長編小説! スカイツリーの町で生まれ育った吾郎。低額宿泊所の所長だったが、社長と喧嘩してクビ。バツイチで、可愛い息子にはほとんど会えず、元妻は再婚するという……。多難な毎日だけど元ホームレスの青年・魁太に絵の才能を感じて、ギャラリストになろうと決意した。めげない男の奮闘が痛快・爽快な下町人情物語!
航空業界に吹き荒れる逆風の中、遠藤や森尾が働く成田空港の大航ツーリストにもリストラの圧力が。さらに、エリート本社出向社員・星名の不可解な言動にも翻弄され、人のいい遠藤が遂に出社拒否!?「常にお客様のため」にトラブルを解決してきた空港スタッフたちの奮闘ぶりに胸が熱くなる大人気シリーズ第3弾!
妻子と別れ一人で暮らす作家の中谷は、ある夜、コンビニの前で酔った女を助ける。連れて帰った部屋で女が語ったのは幼いころの不可思議な記憶。中谷はその過去を辿ることになる。同じころ一人の青年が幼少期の「恩人」を探し出そうとしていた。三人の孤独が交錯し「家族」の真の意味を問い直す傑作ミステリー! 第一章 スパイ学校の子供達 第二章 殺人の記憶 第三章 ハーレムの親子 第四章 黄金の里
「視聴率が十二パーセントを超えたら、無差別に人を殺す」。国民的人気番組に届いた前代未聞の脅迫状が、バブルに沸く日本を揺るがせる。これは単なるいたずらか、それとも全視聴者への挑戦なのか。そして、背後に秘められた哀しい純愛物語とは?乱歩賞作家が、バブルの狂乱と、その中で生きる人々の葛藤を描く傑作ミステリー。
宗介とは半年前、街で偶然再会を果たした。学生時代の友人で、ひとから見下されるような仕事をしている僕と違って、将来を嘱望された秀才だ。その彼が、大手コンサルタントを辞めて、行くあてもないと言う。仕方なく一晩だけ泊めるつもりが、その後も居着いてしまって、今ではうちの居候に。そうして普段は一日ヨガの修行をして過ごす彼が、ひとたび仕事で遭遇した事件を持ち帰ると、瞬く間に解決していく探偵へ姿を変えるのだ。だけど、僕は知っている。宗介自身が誰より深い悩みを抱えていることを……。暗い過去を持つふたりの青年が、五つの事件を通して経験していく出会いと別れ。(『素人がいっぱい』を文庫化にあたって改題)
私立保育園「みつばち園」で、開園以来初の男性保育士として働き始めた星野親。女性ばかりの職場や、保護者からの偏見に戸惑いながらも、体当たりで子どもたちやその家族と向き合っていく。心温まる青春お仕事小説。
乱歩賞作家が放つ疾走ランニングミステリー 平凡な公園ランナーの自分が、大勢の見も知らぬひとから見つめられているなんて・・・・・・。 インテリア会社社長の高木雅弘は、所属するランニングサークルの仲間との「レース」にはまっていた。 ある日、高木のもとに一通の郵便が届く。そこには「明日のレースには負けなさい。さもなければ、ひとが死にます」と書かれていた。 翌日のレースに高木が勝つと、レースが行なわれた公園内で、本当に男の死体が発見されるーー。 江戸川乱歩賞作家が放つ 疾走!狂走!ランニングミステリー!!
20歳の夏休み。新しい自分になれるかもと海外旅行を計画したが、直前になって旅行会社に騙されて出発できなかった僕。仕方なく地元で中学時代の同級生と過ごすが…。覚えのないいじめを赦してくれと言われたり、訳ありだった女の子と再会したり、次から次に起こる事件。しまいには「ひとを殺しちゃったみたいだ」と携帯電話が鳴る始末。いったい僕の夏休みはどうなるんだ!?恋も友情も笑いも涙も入り乱れ。何が何だかわからないが“何か”だけは確かにあったあの頃を、まるごと描いた青春小説。
スカイツリーに踊る下町に起きる奇跡。 妻子に逃げられたダメ男の起死回生の一手は「絵画ビジネス」だった。ひょんなことから後見人になった若者の才能は、本物なのか。 人生の大事なことが詰まった、元ホームレス作家ならではの人情物語!
なんだって、あの遠藤が出社拒否!?--航空業界の低迷に親会社の危機。人員削減の重圧とエリート出向社員の思惑に翻弄され、人のいい遠藤が遂に、折れた。感動の空港物語。 航空業界に吹き荒れる逆風のなか、遠藤たち空港で働く大航ツーリストの現場にも人員削減の圧力がかかってきた。あと三か月後には成田空港所が閉まり、グランドホステス業務は大航エアポートサービスに委託される。その時点で半数がリストラされてしまうのだ。本社出向組のカスタマー事業部部長の星名は、感じよく丁寧に理詰めで苦境を乗り切ろうと何かと遠藤にも声を掛けるのだがーー。OGの復帰とセンディング業務で立て続くミス、これはいったい何が原因なのか。「常にお客様のため」にトラブルを奇跡的に解決させてきたスタッフたちの奮闘に胸が熱くなる連作短編。
その3人は誰も、「家族」を持たなかった。重なり合った孤独の先にあるのは光か、それともー。高校時代に姿を消した姉の行方を捜しつづけている作家の中谷。「あたしが関わるひと、みんな死んでいく」という26歳の亜樹。子供のころに“教授”と目指した黄金の里に行きたいと願う友幸。一人で生きていながら、いつも誰かを求めていた。乱歩賞作家が喪われた「家族」を描く衝撃のミステリー。
空港勤務のエキスパート『あぽやん』の活躍を描く第二弾! 空港で働く男“あぽやん”の活躍を描く第二弾。後輩教育を任された遠藤だが気儘な旅客やトラブルに右往左往。しかも恋の波乱まで!?
遠藤慶太は29歳。大航ツーリスト本社から成田空港所に「飛ばされて」きた。返り咲きを誓う遠藤だったがーパスポートの不所持、予約消滅といった旅客のトラブル解決に奮闘するうちに空港勤務のエキスパート「あぽやん」へと成長してゆく、個性豊かな同僚たちと仕事への情熱を爽やかに描いた空港物語。