著者 : 日影丈吉
むかし澁澤龍彦と多田智満子を経由してシュオッブを識った。「睡れる市」「大地炎上」の眠りと滅び、ほの暗い架空世界の有り様はその後ながく私の創作の指標となった。シュオッブの名を密かに識る者は幸いである。その名は書物の森のもっとも秘密めく径の最奥手、ポオやボルヘスやコルタサルやーーの隆々たる奥津城が火影を伸ばすあたりの行き止まりにある。(山尾悠子) 空前絶後の豪華翻訳陣による、マルセル・シュオッブの絢爛たる幻想短篇20数編。 初の単行本化となる渡辺一夫訳の『架空の伝記』をはじめ、上田敏、堀口大學、日夏耿之介、日影丈吉、澁澤龍彥、種村季弘ほか12人の訳者。 バルビエやジョルジュ・ド・フールのカラー装画ほか、挿絵も多数収録した豪華愛蔵版。 【目次】 絵師パオロ・ウッチェロ 渡辺一夫訳 犬儒哲人クラテース 渡辺一夫訳 神となつたエンペドクレス 渡辺一夫訳 小説家ペトロニウス 渡辺一夫訳 土占師スフラア 矢野目源一訳 大地炎上 矢野目源一訳 モッフレエヌの魔宴 矢野目源一訳 卵物語 矢野目源一訳 尊者 矢野目源一訳 081号列車 鈴木信太郎訳 黄金仮面の王 松室三郎訳 骸骨 青柳瑞穂訳 木乃伊つくる女 日影丈吉訳 ミレーの女達 日影丈吉訳 睡れる市 日影丈吉訳 吸血鳥 種村季弘訳 浮浪学生の話 上田敏訳 遊行僧の話 堀口大學訳 癩病やみの話 上田敏訳 法王の祈禱 上田敏訳 三人の子供の話 山内義雄訳 三人童子の話 日夏耿之介訳 エンペドクレス(抄) 澁澤龍彦訳 パオロ・ウッチェロ(抄) 澁澤龍彦訳 解題 絵師パオロ・ウッチェロ 渡辺一夫訳 犬儒哲人クラテース 渡辺一夫訳 神となつたエンペドクレス 渡辺一夫訳 小説家ペトロニウス 渡辺一夫訳 土占師スフラア 矢野目源一訳 大地炎上 矢野目源一訳 モッフレエヌの魔宴 矢野目源一訳 卵物語 矢野目源一訳 尊者 矢野目源一訳 081号列車 鈴木信太郎訳 黄金仮面の王 松室三郎訳 骸骨 青柳瑞穂訳 木乃伊つくる女 日影丈吉訳 ミレーの女達 日影丈吉訳 睡れる市 日影丈吉訳 吸血鳥 種村季弘訳 浮浪学生の話 上田敏訳 遊行僧の話 堀口大學訳 癩病やみの話 上田敏訳 法王の祈禱 上田敏訳 三人の子供の話 山内義雄訳 三人童子の話 日夏耿之介訳 エンペドクレス(抄) 澁澤龍彦訳 パオロ・ウッチェロ(抄) 澁澤龍彦訳 解題
世界初、書き下ろし暗号小説を暗号化した幻の奇書! 激レアな「解答編」小冊子付きで復刻!! 泡坂妻夫、中井英夫、日影丈吉という異色ミステリー作家3人による共著として1979年に刊行された『秘文字』。それぞれが「暗号を題材とした短編推理小説」を1本ずつ持ち寄り、さらにその本文全体を丸ごと暗号化してしまったという前代未聞の内容で、読者に二重の謎解きを挑んだ、知的遊戯の極致とも言える奇書中の奇書です。 帯に推薦文を寄せた寺山修司が「耽美的な陰翳をもつ『月蝕文学』の揃いぶみ」と評した著者3人の愛読者のみならず、ミステリーファンならば誰しも心惹かれずにはいられないことでしょう。 一見しただけではまるで不可解な文字や記号が果てしなく続く本文には、本書の装丁家でもある画家・建石修志による幻想的な挿画が2色刷りであしらわれており、「暗号」という仕掛けそのものが薫らす妖しげな香りをいっそう引き立てています。 巻末には『暗号大全』などの著書でも知られる暗号研究の第一人者・長田順行による「暗号法とその解き方」を収録。さまざまな暗号の種類とその解読法を、豊富な例図とともに紹介した論考で、それ自体が独立した1編の読み物として興味深い内容ですが、まずは本文の小説3作がそれぞれどの方式によって暗号化されたものなのかを、この論考を参照しながら見当をつけるところから『秘文字』への挑戦は始まります。 また、原本には読者ハガキが付属しており、これを出版社へ送ると、暗号を解読することで現れる短編小説の原文を収めた「解答編」小冊子が郵送で折り返しプレゼントされることになっていました。現在では『秘文字』の本体そのものが稀覯書となっていますが、とりわけこの小冊子も完備したものは、古書店やオークションなどでも入手困難になっています。 こうした事情もあって『秘文字』は、各著者の熱心なファンの間でも「噂には聞いたことがあるが実物は見たことがない」「見たことはあるが買えなかった」「そのような本の存在自体を知らなかった」といった声の高い“幻の本”となっています。今回、この珍無類の書物を、原本の2色刷り再現+「解答編」小冊子付きの仕様で復刻版として刊行いたします。 ※1979年刊行の初版(B5判/函入り/ハードカバー)の復刻であり、1983年刊行の普及版(A5判/ソフトカバー)とは仕様が異なります。 ▼収録内容 泡坂妻夫「かげろう飛車」 中井英夫「薔薇への遺言」 日影丈吉「こわいはずだよ狐が通る」 長田順行「暗号法とその解き方」
五ツ木守男は自殺のために準備万端、毒入りステーキを用意した。いざ!その前にトイレ……戻ると、なんと食いしん坊の国務大臣がステーキを頬張っているではないか!慌てた守男は四階から転落死。現場に駆け付けた四道警部は、真赤な犬を見たという女中の証言が気になっていたーーそんな犬、存在する?さらに雪山で扼殺死体まで見つかってさあ大変!ハイカラで流麗な本格ミステリ復刊。(解説:千街晶之)
同居の老人の奇行に悩まされ追い詰められた主婦が、一線を越えた末に信じがたい事実を知ることになる(「厭な老人」)。静かな部屋で時を告げる古い鳩啼時計には、遠く離れた恋人との悲劇の結末が隠されていた(「鳩啼時計」)など、歴史ある日本推理作家協会賞を受賞し、ミステリー界が誇る作家六名による、幻想と怪奇に彩られた物語を収録した珠玉作短編集シリーズ第五弾。
折口信夫が、江戸川乱歩が、そして澁澤龍彦が種村季弘が絶賛した、郷愁の作家の最高傑作集。「オウボエを吹く馬」「変身」「匂う女」「異邦の人」「歩く木」「ふかい穴」「崩壊」「蟻の道」「冥府の犬」…下町物、明治大正エロティシズム、“春日検事の事件簿”シリーズより、台湾物…の、多様な読み味の全11篇。異色の幻想・ミステリ作家の面目躍如!
折口信夫、乱歩も絶賛した「かむなぎうた」、ほの暗く、ほの明るい幻想怪奇「東天紅」、民俗的ミステリ風味「吉備津の釜」、得意の台湾物「消えた家」、呪いの家「ひこばえ」、泉鏡花賞「泥汽車」、ハイカラ右京番外篇「明治吸血鬼」…澁澤龍彦も種村季弘も賛美した異端のダンディズム作家の、傑作全十三篇。
山高帽に針のような口髭、鹿革の手袋に細身の杖、フランス好みの洋服に身を包み、突如登場する怪紳士は、元国際スパイと噂も高い外務省嘱託で探偵・右京慎策。変幻自在の行動と推理で、警視庁随一の腕利き吾来警部を相手に、時には挑発、時には助力、文明開化が惹き起こす難事件を次々に解く。単行本未収録二編を加えた「ハイカラ右京シリーズ」決定版。
若い日に遊んだフランス、ヨーロッパ、兵として戦時下を暮した南国・台湾…通りすがりの、エトランジェの眼に映る異国に潜むミステリー-本巻では、日影丈吉なららではのエグゾティシズム溢れる11編を集録。待望の短篇傑作選。
日影丈吉の紡ぎ出す妖しくも豊かな幻想は深甚広大な博物誌的知に裏打ちされている-。本巻では、動・植物の楽園を融通無碍に闊歩した著者が“生きもの”達の怪を絶妙な色糸に織り上げた作品群を集録。
光と闇、現世と幻想、冥府と天上の垣をかるがると越え、自在に異界へ踏み込みながら、淡い郷愁を漂わせる唯一無比の作品世界-本巻では、幼・少年のなかにひそむ無垢とその怖さをモチーフとしたものを集録。
本書は、戦後最高の幻想作家、日影丈吉の最晩年の作品を中心に編んだもの。死後も選挙通知が届くために律儀に投票所に通う大男の話「墓碣市民」、病室の壁のマンガめいた顔が患者たちと交わる「壁の男」、天使性と悪魔性を備えた新米看護婦たちを描く表題作「鳩」などユーモアと恐怖の絶妙の混交を示す最新作7篇。さらに日影文学を知るうえで貴重な資料となるばかりでなく、内容的にもきわめて質の高い未発表の初期短篇「ヨハンの大きな時計」「硝子の章」と日記抄「三冊の日記帳から」を収録した。