著者 : 望月芳郎
大洪水大洪水
万物の死の予感から逃れ、生の中に遍在する死を逃れて錯乱と狂気のうちに太陽で眼を焼くにいたる青年ベッソン(プロヴァンス語で双子の意)の13日間の物語。ひりひりする緊張感を孕みつつ、叙事詩的な世界を生み出してきたル・クレジオは、2008年、ノーベル文学賞を受賞。その彼のデビュー作『調書』以前に書き始められた長編の、待望の文庫化。
覗くひと覗くひと
時計の行商をするために生まれ育った離島にやってきたマチアスは、直前ヴィオレットという若い女性を殺していたー外界とマチアスの意識との有機的な関係を、事物そのものに迫る数学的にまで昇華された文体で描くことによって、青年の荒廃した深層心理をうかび上らせたヌーヴォー・ロマンの傑作。
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