著者 : 朝松健
一休シリーズ五年ぶりの新刊! 応仁の乱前夜の京の都には、魑魅魍魎が跋扈していた。牛車で女を攫う吸血鬼、人を呑み込む路地、霞の中から現れる神出鬼没の切り裂き魔、過去と現在をつなぐ古井戸ーーご存じ風狂の僧・一休宗純のもとに持ち込まれる、奇妙な怪事件の数々。一休は霊視能力を持つ盲目の侍女の森とともに、都を、人を、国を祟る怪異の正体を暴き打ち払う。怪奇小説の異才・朝松健が贈る、痛快時代伝奇ロマン! 序幕 一休葛籠 かはほり検校 魔経海 白巾 たそかれの宿 人食い小路 殺生鉤の春霞 迷い風 むまたま暮色 しろがね浄土 井戸底の星空 魔仏来迎 口寄せの夜 外法経 終幕 朽木の花
======== クトゥルー神話をベースに カルトに支配された社会の恐怖を描いた 朝松健の代表作が、完全版として登場! ======== 一分の隙きもない緻密な物語ーー林 譲治 作者にしか書き得ない技法で綴られた〈クトゥルー神話〉--井上 雅彦 差別や暴力を肯定する“闇”が、“光”に見えている人間が増えている時代に、 “闇”の恐怖を暴いた朝松健の代表作ーー末國 善己 ======== クトゥルフ神話をベースにしながら、 ナチズムの勃興から没落までの歴史的事実を描きながらも、 一分の隙きもない緻密な物語が組み上げられている。 どこをとっても善良な人たちが、民族絶滅の歯車となり、 規律正しく動いてゆく。 この『邪神帝国』で描かれる怖さとは、 まさにそうしたカルトに支配された社会の自律性にある。 ーー林 譲治(解説より抜粋) ここに一冊の綺書が誕生した。 まぎれもなく、作者にしか書き得ない技法で綴られた 〈クトゥルー神話〉である。 魔書と呼ぶべきかもしれない。 しかし、なにより重要なことは、 これが、ホラー小説であるということなのだ。 ーー井上 雅彦(解説より抜粋) ======== カバー使用オブジェ/制作:マンタム “伍長”の自画像 ヨス=トラゴンの仮面 狂気大陸 1889年4月20日 夜の子の宴 ギガントマキア1945 怒りの日 魔術的註釈 参考文献 初出一覧 邪神帝国 関係年表 邪神帝国 構想メモ 解説/林譲治 解説──遊び。彼には命懸けの。/井上雅彦 解説/末國善己
「坊さん、よう生きとったな」 様々な怪異や妖かしに立ち向かう 一休宗純の壮絶な生涯を描いた 傑作 室町伝奇小説! 宮部みゆき氏に絶賛された 日本推理作家協会賞候補作「東山殿御庭」から 書き下ろし「朽木の花」まで、 朝松健が描く一休ものの集大成! ======== 世は室町ブームである。 しかし約二十年前から、室町時代を題材にした伝奇小説を、ひたすら書き続けている作家がいる。朝松健である。 「朽木の花」に登場した時点の一休は、大切な人を失い、この世のすべてに絶望している。本作が書き下ろしであることを考えると、実に興味深い。 一休の絶望は、平成が終わろうとしている現在の日本に対する絶望ではないのか。 本書は一休の年齢順に作品が並べられており、この物語の彼は七十七歳である。あまたの壮絶な体験を経てきた一休の行き着く先が絶望かと思えば、なんともやりきれないではないか。 だが作者は、瑞輪寺での出会いにより、一休に希望と未来を与える。年齢も時代相も関係ない。人は生きている限り、希望を抱いて未来に向かっていくべきなのだ。 世は室町ブームである。ようやく時代が、作者に追いついたといっていい。だから、本書が出版される意義がある。 伝奇小説でなければ表現できなかった室町時代が、ここに屹立しているのだ。 ーー細谷正充(解説より抜粋)
“神”か。結構だな。 俺は前から神さまって奴に会いたかったんだ。 ラヴクラフトへの想いに満ちた初期作品から、 ウィリアム・バロウズに捧げた書き下ろし作品まで。 クトゥルー神話を先導しつづける 朝松健の粋を集めた傑作短篇集、遂に刊行! 言語はウィルスだ……このページを開いたとき、 あなたもおぞましき呪文に感染する。 ーー柳下毅一郎(特殊翻訳家) 朝松ホラーに特有の、 現実が悪夢に侵食されていく不気味な崩壊感覚は、 どの作品を読んでもたっぷりと味わえるだろう。=解説より ーー日下三蔵(文芸評論家) 星の乱れる夜 闇に輝くもの ゾスの足音 十死街 空のメデューサ 球面三角 Acid Void in New Fungi City
御家人の次男坊・杉野伸吾は、立派な戯作者になるのが夢だ。だが、師匠には、真面目すぎて話に艶がないと叱られてばかり。そんなとき、役者まがいの美貌を持つ謎の男・夕星と知り合う。兄さんと懐いてくる夕星は、伸吾の長屋に転がり込んできて…。「お助け屋」の仕事に巻き込まれた伸吾を待っていたのは、波瀾万丈の日々だった!爽やかで温かな人情活劇。
時は宝暦。相次ぐ地震や飢饉で不安にとらわれた人々の心が妖怪やもののけを呼ぶ。そんなこんなでお江戸に巣食ってしまった魑魅魍魎と、時には共に闘い、時には祓って鎮める腕利き拝み屋のろくヱもん。猫神の「ちま又」との迷コンビで、お江戸の怪異をブッタ斬る。此度の敵は謎の妖怪師・和田塚式部。捕らわれのお鈴を救い出せ!妖怪ものの第一人者が贈る大江戸もののけ活劇第二弾!
飛鳥山で暢気に紅葉狩りを楽しむ妖怪たち。その上に天から一人の仙人が降ってきた。可愛がっていた妖怪・袋貉が逃げてしまったので、探してほしいという。一方、江戸では不思議な仕事をする盗賊一味が世を騒がせていた。錠前を破りもせず、蔵の中のお宝を根こそぎ盗むのだ。どんな壁や扉も擦りぬけられる袋貉も仲間なのか?愉快、痛快、妖怪活劇シリーズ第四弾!
時は宝暦。花のお江戸の辻に立ち、頼まれたらいかなる妖怪・魔物・祟り神でも必ず祓うー辻風の六、通称拝み屋ろくヱもんはある日の夕暮れ、逢魔ヶ辻に見台を出した。夢が「ここに立て」と教えてくれたのだ。果たして現れたのは、いま話題の看板女形とひとりの少女。そして少女の背中にいたのは侍姿の猫神さま!?猫神さまの依頼を受けて、ろくヱもんはとんでもない妖怪と戦うことに!
神代より伝わる秘呪具“天の瓊矛”が大内裏から強奪されたのが怪異の始まりだった。局地的な大地震が起き、太陽は二つに分かれ、熱海沖には一夜にして魔神の横顔にも似た島“真仏島”が隆起する。強奪に巻き込まれ惨殺された辻君の無念を晴らすため、瓊矛奪引に立ち上がった一休宗純の前に、神、仏、魔王を超えた存在“魔仏”たらんとする六代将軍足利義教、魔少年赤松貞村、謎の神官吉田憲法らが立ちふさがる-!中世神話の異様な世界を舞台に展開する怒涛のストーリー。誰が味方かはたまた敵か?巻を措く能わざる面白さ、ここに極まる。
青墨色の闇の中、“邪宝剣”八支刀三柄剣が十賊色に輝き、殺戮と焼尽の幕が切って落とされた-。終わらない旱天に流行病、続発する民衆の暴動。時は正長元年、南朝復興を叫ぶ伊勢国司・北畠満雅は、伊勢裡宮に伝わる秘法により次代の帝・彦仁王の魂魄を抜き取った!彦仁王の魂は、“器”と定められた虚丸の肉体に憑依する。放浪の僧・一休宗純は二人の少年を救うべく、伊勢裡宮へと旅立つ。“黒衣の宰相”三宝院満斎、北畠満雅、“旧司等”の神々を祀る裡宮の血族…。それぞれの陰謀と一休の戦いを壮大なスケールで描く、シリーズ最高傑作ここに誕生。
伝奇ホラー作家、朝松健を襲った奇怪な災厄。失踪した編集者、那須蔵人の手記が、忌まわしい世界への扉を開く。突然目の前に現われ、不可解な警告を発する黒衣の男たち。その正体は?その目的は?著者自らが封印した暗黒の書が、大幅な加筆と、牧野修の解説を得て、13年ぶりに闇底からよみがえる。
札幌市郊外の学園都市が謎の爆発を起こし、瀬田寒原野に犬頭状の陥没が現れてから半年余り。今は立入り禁止となっているその周辺で、またも怪事件が発生していた。オカルトライター兼占い師の稲村虹子は、その事件の霊査を依頼され、札幌へ向かうが、彼女を待ち受けていたのは、黒魔術によって三たび目覚め、札幌に向かって首をのばす巨大な犬の顎であった。忌まわしき凶獣は甦るのか!?『魔犬召喚』から『屍食回廊』までの謎がここに明かされる!傑作オカルト・ホラー長篇。
最も残虐な人間と、最も邪悪な神々が手を組み、史上最悪の軍隊が誕生した。とどまるところを知らぬ悪鬼の所業は世界を震えあがらせる。激動の時代、急激な勢力拡大を果たしたナチスドイツ。しかしその背後には、知られざる闇の力が存在していた。その禁断の力にふれたものはみな奇怪な運命に翻弄されてゆく…史実と虚構をたくみに織りまぜ、異形のものどもの存在を描き出した戦慄の魔術的連作集。邪悪なる七篇を収録。
ベンが消えた!「騎士」連続殺人犯GOGを追跡中、アルトゥラとボーンの目の前からベンは突然、姿を消してしまった。ベンはマッシュルームギャングスのボス、トードストゥールの罠にはまり、「向こう側」に送られてしまったのだ。北の監獄にいる科学信者たちの煽動、アジト移動となにやらまた不穏な動きをしはじめるマッシュルームギャングス。マジカル・シティに、はじまって以来の最大の危機が訪れようとしていたー。
禁忌の愛に取り憑かれた兄と弟の地獄絵…。誰をもその人外の官能の虜にする謎の少年の正体…。血まみれ芝居の一座で繰り広げられる愛憎の惨劇…。薄紫色に閉ざされた異次元の扉の向こうに足を踏み入れてしまった僕ら-。背徳の召喚歌に惹かれて魔術師の庭園に迷いこんだ、美しき生贄たちの六編の物語。
コスプレ星人と名乗る絶世の美女軍団が襲来した。彼女らは地球上のすべての糖分と男性の高タンパク質を要求してきた。とんでもない要求をつきつけられた日本は政府、マスコミ等を巻き込んで上を下への大騒ぎ。そのころ本編最大の主人公・小仏逸美(美青年)はコスプレ星人に襲われ、宇宙人相手に童貞喪失の大ピンチ…。爆笑保証の長篇スラップスティック。
20世紀も終わりに近いある秋の日の夕方-遠い宇宙の彼方から発せられた謎の怪光線が日本全土に降り注いだ…。その直後、日本中の墓地や病院の死体安置所から美女の死体だけが次々と甦り、手当り次第に男たちを凌辱しはじめた…。怪力無双、淫乱極致の美女の群-これは謎の怪光線のせいなのか?同じ頃、本編最大の主人公である小仏逸美(葬儀社勤務)もまた、自分が運んでいた美女の死体に股間のモノ(末使用)を淫靡に弄られながら恐怖に打ち震えていた…。新感覚スラプスティック・ホラー(爆笑保証)登場。
札幌市郊外の大学で不幸な出来事が続発した。合格発表を見にきた受験生の長蛇の列に、大型トラックが突っ込み、多数の死傷者を出したり、大学院の学生が化学実験中に爆発事故を起こして死亡したり-。やがて“不幸な出来事”は、“おぞましい怪事件”に発展する。それは深夜、警備中のガードマンが巨大な黒犬獣に襲われ、下半身を食いちぎられるというものだ。-悪魔に魅せられた学園を救うべく、屈強な青年と、オカルト・ライターが事件の解明に乗り出すが。魔術に造詣の深い注目の新人が放つ、本格マジカルホラー小説の力作!