著者 : 木内重子
裏切りのゆくえ裏切りのゆくえ
傷心のままミリーが夫レアンドロのもとを去ってから、1年。夫の子を身ごもっていると姉に告げられたのも記憶に新しい。だが、その姉も今は亡く、ミリーは遺された赤ん坊のことで、久しぶりに自宅に戻り、銀行家の夫の帰りを待ちわびている。姉が欲しかったのなら、姉と結婚すればよかったのに、なぜ私と結婚したの…胸に渦巻く哀しみを消せないままに。そこへ、以前と変わらぬセクシーさで現れた夫は、ミリーが赤ん坊を引き取りたいと知るや、平然と答えた。「子どもの母親になりたいなら、僕の妻としてここに留まるんだ」
意外な求婚者意外な求婚者
大家族の長女として育ったセアラは真面目なしっかり者で通っている。そんな彼女は先祖代々の土地と幼い弟妹たちを守るため、借金のかたに変態的な趣味を持つ悪名高き准男爵に嫁ごうとしていた。一方、そうと知ったエングルメア侯爵ニコラスは一計を案じた。家政を取り仕切る能力に長けたセアラをこの自分がめとれば、安定した家庭を礎に自由に暮らせるし、跡継ぎも手に入るというものだ。薄汚い准男爵との暗い未来から不憫な娘を救ってやろうではないか。気の利いた思いつきに、ニコラスは自尊心をくすぐられた。だが、不遜な侯爵の計画に誤算が生じるーたかが便宜結婚のはずが、無垢な花嫁の口づけに、思いがけず心をかき乱されて…。
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