著者 : 東山彰良
独裁者が治めるベラシア連邦のルガレ自治州で、独立を求め反乱軍が決起した。この自治州では古くから、死者を歩かせる呪術を使う邪行師の存在が知られている。赤い髪の邪行少女ビビウは、田舎の村で、師匠でもある大叔父のワンダ・ニエとふたり暮らし。邪行に出る日以外は、小麦づくりに精を出したり、マンガに没頭しすぎる大叔父をたしなめたりと、おだやかな日々を過ごしていたが…。
鹿康平が怪物を撃ったのは一九六二年のことだった。わたしが書いた小説の冒頭だ。広東省上空で撃墜された台湾空軍B-17偵察機に乗っていた叔父が主人公のモデル。彼は敵国から奇跡の生還を果たしたのだー。台北出身の作家・柏山康平が執筆した長編『怪物』は高い評価を受ける。故郷に凱旋した柏山はその夜、同行した出版社社員椎葉リサと関係を持ってしまう。運命の女。乱舞する青い鳥。中世の王のごとく君臨する“怪物”との対決。恋そして冒険。唯一無二の圧倒的エンターテインメント!
九州の温泉街、小さな街の団地、ニューヨーク、台北、東京ー残酷さと優しさが隣り合わせるパッとしない世界、それでも生きていくむき出しの人間たち。直木賞作家・東山彰良が新たに挑む、自由でボーダレスな短編集!
宮部みゆきさんの書き下ろし短編「人・で・なし」を読んだ辻村深月さんが「ママ・はは」を書き下ろし、その辻村さんの短編を読んだ薬丸岳さんが「わたし・わたし」を書き下ろし…バトンは東山彰良さん、宮内悠介さんへ。超人気作家5人のちょっぴり怖いリレーミステリーアンソロジー!
紋身街は世界中のどの街にも一本はある、細くて小汚い、猥雑な通り。大人たちは狡くていけしゃあしゃあと嘘をつくけど、大切なことも教えてくれる。少年が見つめる台湾の原風景。東山ワールドの到達点。
脱獄すれば目玉が飛び出す“アイポッパー”というマイクロ・チップが埋め込まれ、逃亡不可能と言われる囚人収容施設“キャンプ”の囚人たちに、千載一遇のチャンスが!?ツバメは囚人仲間のミユキ、モモと、なぜかついてきた連続少女暴行殺害犯の川原昇とともに、自由を求めて駆け出すがー。『流』で直木賞を受賞以後、破竹の勢いの著者、伝説のデビュー作!!
「マニヒュレイテッド」と呼ばれる人型AIの射撃手・ユマ。“魂”を得るために、聖書型の悪魔・アグリと契約し、“地獄の扉”の手がかりを追っている。ユマとアグリは、魂に迫るような悲しい歌声を持つ歌姫・シオリと関わるうちに、人とAIと悪魔の、悲劇的事件に遭遇し…。心を理解し始めるAIと、魂を堕落させようとする悪魔。人ならざる者たちの、地獄を探し求める冒険が幕を開ける。
文久三年。やくざ者の蓮八は、苦界に沈んだ幼馴染み・八穂を救うため、やくざの賭場から大金をせしめた。報復として蓮八に差し向けられたのは、凄腕の殺し屋・夜汐。京で新選組の一員となり、身を隠すことにした蓮八だが、ある日八穂からの文を受け取る。帰ってきてほしい…その想いを読み取った蓮八は、組から脱走することを決意。土方や沖田からも追われながら、八穂の待つ小仏峠に向かうべく、必死で山中を進む。だが、夢で蓮八に語りかけ、折りに触れ彼を導くのは、命を狙っているはずの夜汐だったー。
どん底に生を受け、殺人を犯し、脱獄を果たした、ナサニエル・ヘイレン。奇妙なシリアル・キラーと旅を共にし、新たな倫理を打ち立てながら悩める者を解き放つ。彼らを追うのは白聖書派の使徒、ネイサン・バラード。文明崩壊後の北米を駆ける傑作ロードノベルにして、“食人の神”黒騎士の穢土降臨を描く、未来世紀の神話。頁を開けー物語の奔流にその身を任せよ。中央公論文芸賞受賞作。
この本の主成分は、これまで恋に関して沈黙するしかなかった有象無象たちの涙なのだ。モテ、という人類最大のテーマ。男たちよ泣け、女たちよ笑えー有象無象たちの哀歌、誕生。
人生は走ることに似て、走ることは人生に似ているー。芥川・直木賞作家から青春エンタメ小説の名手まで、類を見ない豪華メンバーが“走る”をテーマに競作した短編14作、ここに集合!人が次の一歩を踏みだそうとする時、その背中をそっと押してくれる、バラエティー豊かな作品が目白押し。異色のアンソロジーをご堪能あれ。
一九七五年、台北。内戦で敗れ、台湾に渡った不死身の祖父は殺された。誰に、どんな理由で?無軌道に過ごす十七歳の葉秋生は、自らのルーツをたどる旅に出る。台湾から日本、そしてすべての答えが待つ大陸へ。激動の歴史に刻まれた一家の流浪と決断の軌跡をダイナミックに描く一大青春小説。直木賞受賞作。
現代を代表する人気作家たちが猫への愛をこめて書き下ろす猫の小説、全7編。作家の家の庭に住みついた野良猫。同じマンションの女の猫が迷い込んできたことで揺れる孤独な女の心。猫にまつわる名作絵本に秘められた悲しみ…ミステリアスな猫たちに翻弄される文庫オリジナルアンソロジー。巻末にオールタイム猫小説傑作選も収録。
1984年。13歳だった。夏休みが終わる2日前、ぼくたちの人生はここから大きく狂いはじめたんだ。少年時代は儚く、切なく、きらめいている。台湾が舞台の青春小説
キッド・ラビットが昏睡から目覚めると辺りには人っ子ひとりーというか、兎っ子一匹いなかった。そう、ぼくたちは人間じゃない。兎だ。人間たちはまだ気づいていないけど、兎社会を脅かす大事件が勃発した。死者が甦り生者を襲ってむしゃむしゃ喰っているんだ。いまや森は屍兎どもの天下で、この兎史上最悪の事件を終わらせるには、死の山に棲む人喰い熊を狩らなければいけないという魔女ラビットのお告げなんだが…いったいなんてこった!『ジョニー・ザ・ラビット』から2年3カ月後の世界を描く、スラップスティック兎ゾンビ小説。
なにが善で、なにが悪か。決めるのは、誰だ?崩壊した世界。恐怖や暴力が蔓延し、他人を信じることも難しい。罪だけ増え続けていた。そんな時代に、黒騎士は降り立つ。罪の浄化。悩める者の救済。数々の奇跡、圧倒的な力。神と呼ばれた男。命を狙う影。すべてが壊れた場所で、価値観をめぐる闘争が始まる。
弁当工場でバイトしながら、三流大学に通う高良伸晃19歳。教室で、陸安娜という中国人女子学生に惹かれる。しかし、安娜に恋心をずたずたに引き裂かれ、中国に短期の語学研修へ。その後、上海で偶然出会ったバイト先の先輩に頼まれ、盗難車の移送のため、一緒に上海から西安、そして黄土原原の沙漠へと向かう。切ない恋と水漏れした心を抱えて、中国大陸を疾駆する長篇青春小説!