著者 : 東江一紀
犯人は頬にからすの足跡のような傷のあるアラブ人!テロで上司の大使とともに恋人の命まで奪われた青年外交官ホルトは、事件の唯一の目撃者として、英国情報部による報復工作に加わった。腕利きの狙撃手とともにテロリストのキャンプ地ベカー渓谷へ潜入して、恋人を殺した男を見つけ出し射殺するのだ。厳重な警戒網の中、撃てる弾丸はただ一発のみ。彼の復讐は成功するか。
モスクワの発電機工場主任技師クズネツォフ、本名マルムードフ。第二次大戦でドイツ軍の補虜となる。祖国での帰国捕虜処刑の噂から、アメリカ側偽造の身元証明を携えスパイとして祖国に潜入。彼が目にしたのは再婚した妻と、初めて見る娘の幸せそうな姿だった。ソ連の革命から現在まで、そしてアメリカの情報戦略の非情さをバックに緻密な筆で綴った、ある名もないスパイの生涯。
かつて禁酒法時代、シカゴはギャング達の街だった。現在、シカゴは猥雑で、心優しい人々が蠢いている。民主党シカゴ27区の地区班長ジミー・フラナリーはマシーン政治の一翼を担って地区住民の面倒をみていたが、堕胎診療所爆破事件で老婆と若い娼婦が犠牲になったために真相解明に乗りだす。爆破事件は政治がらみか、それとも殺しを隠蔽するためか?MWA最優秀ペーパーバック賞受賞作。
大統領候補の系図は呪われている!-潔癖なイメージを売り物にする民主党次期大統領候補・ライデンの家系調査を依頼されたトッドは、図らずもライデンの祖父の忌まわしい過去を知るが、事実の公表を恐れた選挙参謀は彼を追う。調査を続けるトッドはさらに深刻な事実を突きとめ、恋人のロビンと共に候補者に会おうとするが…。大統領選挙の舞台裏に展開する異色の冒険小説。
ミストラル死す。20世紀を代表するこの天才画家の訃報に接した瞬間、ファッション界に君臨する女性実業家マギー・リュネルの前から50年の歳月が消えた。1925年パリ。花の都に出てきた17歳の田舎娘マギーは、持ち前の美貌と活発な性格で、たちまち人気モデルにのしあがる。マチスが、ピカソが、競って彼女の絵を描いた。が、ひとりの無名画家との出会いが彼女の人生を変える…。
心から愛したパトロンの死後、マギーはモデル・クラブを経営しながら、女手ひとつでひとり娘テディを育てあげる。だが皮肉なことにテディは、マギーがかつて愛した男ミストラルと運命的な恋に落ち、私生児フォーブを出産したのだった…。1920年代のパリから現代のニューヨークまで、華麗なファッション・モデルの世界に生きた女性三代の愛と自立の歴史を描く感動の大河ロマン
西ドイツの民間会社が中央アフリカのチャドに、第三国へ貸与するためのスパイ衛星基地を建設した。情報を得たCIA長官ピーターソンは現地で工作を開始するがことごとく失敗。同じころ、あいつぐ工作員の死にKGB議長ペトロフも焦躁を深めていた。このまま事態を放置すれば、世界情勢に重大な変化が及びかねない。CIAとKGBはついに、協同で妨害工作に当たることを決意する。