著者 : 柳瀬尚紀
高い木に家を構える思慮深いリス君、蜜が大好きな奥ゆかしいアリさん、ダンスと木登りを愛する象君、蜂蜜ケーキが好きな熊君、バラの木の下の隠れ家に住む恥ずかしがりのアリマキ君…。一癖も二癖もある動物たちが繰り広げるオフビートな物語。『ハリネズミの願い』の著者が贈る、自由で喜びに満ちたユートピア。
死の宣告、魔法による創造、死者と生者の邂逅、予測しえない悲劇、夢の中の処刑、王の約束、不滅の種族…古代ローマ、中国、インドの故事や、千夜一夜物語、カフカ、ポオなど、古今東西の書物から選びぬかれた92の短くて途方もない話。
「ブルームの日」の大穴馬券や12章の「発犬伝」など、ジョイスが仕掛けた謎を精緻に読み解き、正解の翻訳を追究した著者の航跡を集大成。だれも気づかなかった細部や、未完部分の翻訳も含め、ダブリンの一日を小説に描きこんだ『ユリシーズ』全体像に迫る最良の設計図。この一冊で『ユリシーズ』が断然面白くなる!!
お祝いなんてまっぴらごめん!100歳の誕生日パーティの当日、アラン・カールソンは老人ホームの窓から逃走した。ひょんなことからギャング団の大金を奪ってしまい、アランの追っ手は増えていく。けれども、当の本人はなるようになるさとどこ吹く風。それもそのはず、アランは爆弾つくりの専門家として、フランコ将軍やトルーマン、スターリン、毛沢東ら各国要人と渡り合い、数々の修羅場をくぐり抜けてきた過去の持ち主だったのだ。20世紀の歴史的事件の陰にアランあり!過去と現在が交錯するなか、次々展開するハチャメチャ老人の笑撃・爆弾コメディ、日本初上陸!
アイルランドの首都ダブリン、この地に生れた世界的作家ジョイスが、「半身不随もしくは中風」と呼んだ20世紀初頭の都市。その「魂」を、恋心と性欲の芽生える少年、酒びたりの父親、下宿屋のやり手女将など、そこに住まうダブリナーたちを通して描いた15編。最後の大作『フィネガンズ・ウェイク』の訳者が、そこからこの各編を逆照射して日本語にした画期的新訳。
「かわいそうに、ディグナム!」-リアポウルド・ブルームは長い一日の放浪に旅立つ!6月16日の朝、ブルーム氏は猫にミルクをやり、肉屋の店頭で隣家の女の尻に見蕩れ、妻のモリーに朝食を作り、密かな文通相手マーサの手紙を受け取り、友人ディグナムの葬儀に加わる。-最も偉大な平凡人ブルームがそのリアルな姿を現す、スリリングな旋律に満ちた第二部冒頭三挿話の正確無比の演奏。
「簒奪者め」-スティーヴンは長い一日を歩き始める!『ユリシーズ』の第一巻、『スティーヴン・デッダラスの巻』とも言える三挿話「テレマコス」「ネストール」「プロテウス」の全訳。一字一句の驚くべき洗い直しと彫琢を通して顕れる、全く新しいスリリングな作品世界。
1907年、一組の夫婦がコーンフレークで有名なあのケロッグ博士経営の療養所を訪れた。博士の健康法を信奉する妻が、胃痛と不眠に悩む夫を連れてきたのだ。オオバコの種子とヒジキの食事、菌の排出のための一日5回の浣腸、電気風呂やら泥風呂、振動ベルトに電気毛布、そして厳格な禁欲生活…。過酷な科学的治療に夫は疲れ果てるーいまアメリカで最も笑える作家が贈る抱腹絶倒本。
『フィネガンズ・ウェイク』から『ユリシーズ』へ、全十八章の新訳抜粋(原文対訳)と豊富なダブリンの写真で構成するジョイス-ダブリン-ユリシリーズをヴィジュアルに読み解く本。
第二次世界大戦のさなか、アーサー王と王妃グィネヴィア、円卓の騎士ラーンスロットらが疾駆し、ナチがパリを占領してヒトラーがナポレオンの墓を訪れ、エズラ・パウンドがローマから反ユダヤの宣伝放送する。アメリカ小説の鬼才が遺した、史実と英雄騎士伝説を超えた物語、待望の翻訳。
「でもあたし誰を愛したらよいのかしら」倦怠と不安の現代に生きる雪白姫とその7人の恋人たちが巻きおこす、スーパー前衛ファンタジー。アンダーグラウンド・ディズニーのポップな小説空間を縦横に行き交うユーモアあふれるイメージ。
難攻不落の大作を世界で初めて翻訳した著者の、6年余の辛苦と歓笑の航跡を克明にたどる。進行中の後半部分訳出過程の実践的な解析もおさめて、世紀の大傑作の深さと広がりが実際にわかる、フィネガン正嫡の解読書。
現代の侍になるんだ-。武士道精神に生きる混血児ヒロの父親を求める無垢な心情と行動と破滅。東西文化の融和は果たして可能か?軽いタッチで永遠のテーマに挑む異才の最新長編。