著者 : 桑原譲太郎
刀剣の鑑定師、また剣の遣い手として江戸にその名を響かす嶋右近。恐喝りの達人・大河内宗達、凄腕の盗人・稲葉小僧、定廻り同心・奥平八郎らと共に、不思議なつながりの男たちが、この世に許されぬ悪を断つ!右近が怪しげな刀売りから預かったのは、右近の先祖が鍛った名刀・左文字だった。その後、左文字の元所有者の浪人と刀売りが何者かによって惨殺される。刺客の狙いは左文字なのか。やがて敵は右近の身辺に迫り来る。
伝説の名刀匠・左文字の末裔として生まれた嶋右近は、刀剣の鑑定を生業としているが、ある日、初老の侍から人を斬って欲しいと頼まれる。侍は丹波亀山藩家老の家臣で、家老の命を奪った仇を追って江戸へ来たのだという。右近に、家老の遺された奥方と子息の仇討ちの助っ人をして欲しいというのだ。報酬は二十両と家宝の名刀・来国行。心を動かされた右近は、仇である葛西新三郎の裏で糸を引く者たちの、さらなる悪辣な企みがあることを知り、怒りの斬撃を炸裂させる。
江戸で始末屋を営む室井十郎太と秀二郎に遅い春が訪れようとしていた。愛するお凛との祝言を控えた十郎太は、忙しい日々を送っていた。だがその矢先、お凛が十郎太に恨みを持つ博徒の一家に攫われてしまう。お凛を人質にとった博徒は、十郎太に香具師の元締と同心の暗殺を要求してきたのだ。卑劣な博徒たちを倒し、お凛を救うため、十郎太は乾坤一擲の策を講じるがー。十郎太とお凛の命運はいかに!?大好評書き下ろし時代長篇。
池ノ端七軒町の長屋に住む嶋右近は、伝説的名刀匠・左文字の末裔として生まれ、その技術を仕込まれる一方で、剣技の習得にも才を見せた。いまや鑑定師として名を馳せていた右近はある日、浅草寺の近くで薄汚い老爺から古錆びた一本を買い求め、それが大業物・孫六兼元であることを知る。折しも江戸の町では噂の盗賊・稲葉小僧が世情を騒がせ、残虐な連続殺人が起きるが、その裏には妖刀村正をめぐる秘密が隠されていた。仇敵との最後の戦いに右近の剛剣が唸りを上げる。
底知れぬ剣の腕前を持ちながら、土佐藩の階級社会の底辺で喘ぐ男がいた。男の名は岡田以蔵。出世が望めずに苦悩する日々を送る以蔵は、大秀才・南海の墨竜として名高い武市半平太によってその才を見出される。だが、以蔵を待ち受けていたのは、残酷非道な暗黒の世界だった。一方、坂本竜馬と出会い、その人間性に惹かれる以蔵。さらに愛する女・津留との邂逅が、以蔵の運命を大きく変えることになるー。人斬りとしてしか知られぬ岡田以蔵の真実を、桑原譲太郎が熱く描く、傑作時代長篇。
新宿歌舞伎町の周辺のビルを倒壊させて一大要塞化し、日本から独立すると宣言した竜とその仲間たち。一緒に理想の国を創りませんか、という竜の呼びかけに数十万の人々が呼応し、新宿歌舞伎町に集まってきたとき、事件はまったく別の様相を呈してくる。独立という言葉が重大な意味を持ちはじめ、そしてそこは政府にとって、もっとも危険な場所になったのだ。四百五十人が守る歌舞伎城を壊滅させるべく、五万の警察が猛然と攻撃を始めたとき、政府もまた自衛隊の治安出動を決定する。どうなる、竜とその仲間たち。名も無き男たちの、まさに超弩級の伝説は、最大のクライマックスと、壮絶なラストを迎える。
永遠のコンプレックスと思っていたものが、実は究極のリーサル・ウエポン『フルメタン・ジャケット』と知った草加平太郎は激変する。凶悪犯罪対策室長(列島保安官)に就任を依頼され、それを快諾した草加は、自らをガスコップと卑下しつつも、独自の武器をズボンの奥に秘め、犯罪界と対決するべく出動する。彼を襲いくる難事件、凶悪事件の数々。悩み傷つき震えながらも、草加は犯罪界を粉砕すべく単身突入して行く。だが、彼の前にはあまりにも巨大な悪が待ち受けていた。暗い世相を吹き飛ばすべく、桑原譲太郎がしたたかに撃ち放つ、小説史上空前のクライム・ファンタジー。
八年という歳月を経て、二人の男が上京した。一人は刑務所から狂気を宿して。一人は山村から愛する一人娘を連れて。かつての仲間に裏切られ復讐に燃える和久井と野獣のようなパワーを持つ桜山は都会の片隅で劇的に出会う。桜山を復讐に利用すべく、娘のあかりを誘拐する和久井。親子は引き裂かれ、父は運命の奴隷となる。火花を散らす男と男。そして生と死。大都会を血に染めて、狂気と愛が激走する。気鋭が放つ衝撃のスーパー・ハードボイルド。
元警視庁の鬼・山城の組織した追跡抹殺部隊、暴力組織・旭道会、警察、自衛隊から成る重厚な包囲網が、マックたちに迫る。絶体絶命の危機のなか、マックたちの反撃と猛烈なる逃走が開始される。追われつつも巨大なる敵を殲滅すべく決意したマックたちに活路はあるのか。次々に倒れゆく犯人の死を乗り越え、雄大な大雪山を舞台に最後の死闘を繰り広げる犯罪小説のバイブル・狼シリーズ第三弾、完結。
前後して銀行を襲った二組の強盗団。都心銀行は大パニックに陥る。強盗団のリーダー上杉は、警察だけではなく現代そのものに戦いを挑んでゆく。事件は事件を呼び、さらなるパニックへと連鎖してゆく。共感する二百万人のやじ馬たち。ついに総理が倒された時、日本は激動する。非常事態宣言が発令され、自衛隊が動きだす。帝都に戦車が走り、大型ヘリが舞う。空前のノンストップ・ハードノベル・完全版、ついに文庫化。
「奴らをこの手で撃ち殺す」-その一念で警視庁を辞した切れ者の元警部山城は、密かに裏社会の悪党20名からなる賞金稼ぎを編成した。賞金は6億。同じ目的の元女刑事荒川由里が、証券会社支店長から貢がせた金である。標的は山城の誇りをズタズタにした悪の天才狼たち。ここに総資金20億と山城の全智全能をかけた極秘追撃作戦が開始された。一方、ハリウッド・スターの名を犯罪コードネームにした狼たちは、北海道富良野で束の間の平和にひたっていた。だが暴力団旭道会が動き出し、さらに、潜伏先を察知した山城の包囲網が狭められ、狼たちに死が迫りつつあった…。迫力、面白さを満載して贈る人気シリーズ第3弾。
悪の天才狼たちは、道警と自衛隊までをも巻き込んだ山城によって、完璧な包囲網を敷かれ絶対絶命の危機を迎えていた。圧倒的人員と武器で狼たちの抹殺がいままさに開始されようとしたとき、抜け駆けを図った賞金稼ぎによって計画は水泡に帰し、熾烈な銃撃戦の幕が切って下ろされた。四面楚歌の中、狼たちは一度脱出に成功するが、修羅と化した山城はアジトを提供した夫婦を人質に取り、その生命と引き換えに無条件降伏を迫った…。万策尽きた狼たちの反撃と脱出はなるか?雄大な大雪山を舞台に繰り広げられる白熱のバイオレンス・サスペンス。異才が渾身の力を込めて放つ傑作ここに誕生。