著者 : 桜庭一樹
わたしたちは、何をしたのか。 名探偵、五狐焚風。助手、わたし、鳴宮夕暮。 20年ぶりの再開を経て、かつての名探偵と助手は、 過去の推理を検証する旅に出るーー 桜庭一樹の新たな代表作、誕生! かつて、名探偵の時代があった。ひとたび難事件が発生すれば、どこからともなく現れて、警察やマスコミの影響を受けることなく、論理的に謎を解いて去っていく正義の人、名探偵。そんな彼らは脚光を浴び、黄金時代を築き上げるに至ったが、平成中期以降は急速に忘れられていった。 ……それから20年あまりの時が過ぎ、令和の世になった今、YouTubeの人気キャンネルで突如、名探偵の弾劾が開始された。その槍玉に挙げられたのは、名探偵四天王の一人、五狐焚風だ。「名探偵に人生を奪われた。私は五狐焚風を絶対に許さない」と語る謎の告発者は誰なのか? かつて名探偵の助手だった鳴宮夕暮ーーわたしは、かつての名探偵ーー風とともに、過去の推理を検証する旅に出る。
誰も“透明な存在”になんかさせない。“幸せそうな若い女”を狙って刺され、SNSから消えた優里亜。向こうの世界にはいない、ラジオでリスナー投稿を読んでくれる大人気の歌手・恋恋。闘病ブログにきなくさい書籍化の話がきた友人の深南。こっちの世界の中川君が漫画で描く、同性愛で売り出されたアイドルデュオ。向こうの私はロンドンに住んでいて、こっちの私はー彼女たちが選んだ沈黙と言葉とは?新たなる桜庭文学が始まる。
【新連載】 名探偵の有害性 第1回 桜庭一樹 ●一世を風靡したかつての名探偵。わたしは彼の、助手だったーー直木賞作家が贈る最新長編! 【特集 舞台(ステージ)!】 ここにいるぼくら 近藤史恵 ●「キャス変」が、いかに大きな波紋を呼ぶか、ぼくはまったく気づいていなかった 宝石さがし 笹原千波 ●夢を諦めたデザイナーと、挫折を経験したバレエダンサー。ふたりが挑む新たなステージはーー おかえり牛魔王 白尾 悠 ●正しく目立つ、美しい同僚。空気を読まず、定時で颯爽と職場から消える彼女が、何より優先するものとは ダンス・デッサン 雛倉さりえ ●劇団に所属し、日々ミュージカルの舞台に立つ瀬木。心にはいつも亡くなった友人、理人の姿があった モコさんというひと 乾 ルカ ●二・五次元の観劇を生きがいにする真美。あるフォロワーの呟きに目が止まって…… 『007/カジノ・ロワイヤル』宝塚歌劇にて舞台化記念 特別インタビュー 宝塚歌劇団 宙組トップスター 真風涼帆 【小特集 読む、味わう、絶対ハマる!〈猟区管理官ジョー・ピケット〉の世界】 発砲あり C・J・ボックス 野口百合子 訳 ●広大な丘陵地帯でハンターの車が撃たれた。猟区管理官のジョー・ピケットが現場に向かうと……。大人気シリーズが短編で登場! 〈猟区管理官ジョー・ピケット〉シリーズの魅力 西部の大自然と心優しき正義の男 三橋 曉 ここだけの訳者あとがき 野口百合子 2023年6月刊行! 新刊 『Off the Grid』紹介 【小説】 明治殺人法廷 第4回 芦辺 拓 きみのかたち 第7回 坂木 司 特撮なんて見ない 第7回 澤村伊智 記憶の対位法 第4回 高田大介 ときときチャンネル#4【近所の異世界散歩してみた】 宮澤伊織 【特別企画】 第23回本格ミステリ大賞候補作決定! 第23回本格ミステリ大賞予選会選評・選考経過 日本推理作家協会賞の新部門「翻訳小説賞」スタート 【ESSAY】 私の小さな地図帖 その一 海へつづく道 山崎佳代子 装幀の森 第6回 アルビレオ 翻訳のはなし 第8回 仕事と締め切り 杉田七重 乱視読者の読んだり見たり 第6回 『ロリータ』と映画 若島 正 ホームズ書録 蔵書の価値に十年以上気づかなかった『怪人魔人』 北原尚彦 【COLUMN】 ひみつのおやつ*取引先からいただくお土産 なみあと 私の必需品*ブックカバー 砂村かいり 【INTERVIEW 期待の新人】 真紀涼介 【INTERVIEW 注目の新刊】 『赤い月の香り』 千早 茜 『花に埋もれる』 彩瀬まる 【BOOKREVIEW】
異国情緒あふれる新大久保に構える「道明寺探偵屋」。真田紅は、事務所に飛び込んできた少女ハイタカにボディガードを依頼される。同じ頃、相棒の黒川橡は公安の追う偽札事件に巻きこまれ…やがて、2つの事件は重なり始める。
出ていかないし、従わない。因習的な故郷に、男性社会からのいわれなき侮蔑に、メディアの暴力に苦しめられた時に、「わたし」はいつも正論を命綱に生き延びてきたー。理不尽で旧弊的な価値観に抗って生きる者に寄り添う、勇気と希望の書。著者初の自伝的小説集。
一九三八年、日本占領下の上海。若く野心的な關東軍将校の間久部緑郎は、中央アジアのシルクロード交易で栄えた楼蘭に生息するという、伝説の「火の鳥」の調査隊長に任命される。資金源は、妻・麗奈の父で、財閥総帥の三田村要造だという。困難な旅路を行く調査隊は、緑郎の弟で共産主義に共鳴する正人、その友で実は上海マフィアと通じるルイ、清王朝の生き残りである川島芳子、西域出身の謎多きマリアと、全員いわく付き。そこに火の鳥の力を兵器に利用しようともくろむ猿田博士も加わる。苦労の末たどり着いた楼蘭で明らかになったのは、驚天動地の事実だった…。漫画『火の鳥』や手塚作品に数多く登場する猿田博士やロック、マサトたちと、東條英機、石原莞爾、山本五十六ら実在の人物たちが歴史を動かしていく!
間久部緑郎の義父で、三田村財閥の総帥でもある要造は、猿田博士が手にした強力な自白剤により、みずからの来歴を緑郎ら「火の鳥調査隊」に語り始める。そこで明かされたのは、火の鳥には現代の科学では考えられない特殊な力が存在しているという驚くべき事実だった!すでに日本国政府は、要造率いる秘密結社「鳳凰機関」の協力のもと、火の鳥の力を利用し、大東亞共栄圏に向けて突き進んでいるという…国家のためか、あるいはみずからの欲望のためか。戦争に邁進する近代日本の姿を描きながら、人間の生と死、愚かさと尊さを余すところなく描いた歴史SF巨編。朝日新聞「be」連載時から話題沸騰。大幅な加筆による完全版!
偉大なるスター、キング・オブ・ポップが51歳で急逝した。子供時代、二人の兄と一人の姉と共にデビュー後、独立して類稀な歌と踊りで世界の救世主となっていた。遺されたのは11歳の娘“傷痕”。だがその出生は謎でイエロージャーナリズムは色めき立つ。彼女は、世界は、カリスマの死をどう乗り越えるのか。
中国の山奥からきた吸血種族バンブーは人間そっくりだが若い姿のまま歳を取らない。マフィアによる一家皆殺しから命を救われた少年は、バンブーとその相棒の3人で暮らし始めるも、人間との同居は彼らの掟では大罪だった。禁断の、だが掛けがえのない日々-。郷愁を誘う計3篇からなる大河的青春吸血鬼小説。
鎌倉で小説家の父と暮らす少女・荒野。「好き」ってどういうことか、まだよくわからない。でも中学入学の日、電車内で見知らぬ少年に窮地を救われたことをきっかけに、彼女に変化が起き始める。少女から大人へー荒野の4年間を瑞々しく描き出した、この上なくいとおしい恋愛“以前”小説。全1冊の合本・新装版。
謎と浪漫の読書倶楽部に貴方もいかが? 東京、山の手に広々とした敷地を誇る名門女学校「聖マリアナ学園」。清楚でたおやかな少女たちが通う学園はしかし、謎と浪漫に満ちていた。転入生・烏丸紅子がその中性的な美貌で皆を虜にした恋愛事件。西の官邸・生徒会と東の宮殿・演劇部の存在。そして、教師に没収された私物を取り戻すブーゲンビリアの君……。事件の背後で活躍した「読書倶楽部」部員たちの、華々しくも可憐な物語。
新大陸に到着した早々、難事件を次々解決したヴィクトリカと一弥。開業したグレイウルフ探偵社には依頼人が殺到。伝説の銀行強盗が脱獄したというが……? 奇跡の名コンビが、またもN.Y.中を巻きこむ大活躍!?
世界一キュートで博覧強記な名探偵、でも相棒の一弥に迷惑かけまくり…のヴィクトリカがニューヨークにやってきた!禁酒法下の街にはジャズの音色が響き、危険な銃声も轟く。ヴィクトリカはさっそく探偵事務所をオープンし、一弥は新聞記者に。だがある日、闇社会の男からギャング連続殺人事件の捜査を頼まれたことから、2人は全米を揺るがす大陰謀に巻きこまれてー!?No.1ゴシックミステリシリーズ。新章、開幕!
死んだ男を囲む、二人の女の情念。ミッションスクールの女子たちの儚く優雅な昼休み。鉄砲薔薇散る中でホテルマンが見た幻。古い猫の毛皮みたいな臭いを放つ男の口笛。ダンボールに隠れていたぼくのひと夏の経験。日常に口を開く異界、奇怪を覗かせる深淵を鮮やかに切り取った桜庭一樹の新世界、6つの短編小説。
お兄ちゃん、なんで死んじゃったの…!?あたし、月夜は18歳のパープル・アイで「もらわれっ子」。誰よりも大好きなお兄ちゃんの奈落に目の前で死なれてから、あたしの存在は宙に浮いてしまった。そんな中、町で年に一度開かれる「無花果UFOフェスティバル」にやってきたのは、不思議な2人連れ男子の密と約。あたしにはどうしても、密がお兄ちゃんに見えて…。少女のかなしみと妄想が世界を塗り替える傑作長篇!
NYに到着後、一弥の姉・瑠璃の家に身を寄せたヴィクトリカと一弥。さっそく外に出てみると、何だか変てこな新大陸の謎たちに遭遇し……。グレイウルフ探偵社が出会った最初の依頼人とは。大人気シリーズ第三弾!
神保町の古書店「泪亭」二階に住む謎の美女・白井沙漠。学生時代に同じ部屋に下宿していたことから彼女と知り合った翻訳家の解は、訝しく思いながらも何度も身体を重ねる。二人が共通して抱える「借金」という恐怖。破滅へのカウントダウンの中、彼らが辿り着いた場所とはー。「消費者金融」全盛の時代を生きる登場人物四人の視点から、お金に翻弄される人々の姿を緻密に描いたサスペンス。
美しい娼婦の四姉妹が遺したものは?(「1、2、3、悠久!」)。愛するその「手」に抱かれて、わたしは天国を見る。(「ジャングリン・パパの愛撫の手」)。死にかけた伝説のロック・スターに会うため、少女たちは旅立つ。(「地球で最後の日」)。エロスと、魔法と、あふれる音楽!-直木賞作家が描く、甘美な滅びの物語集。最初期から最新作までを網羅したインタヴュー集「桜庭一樹クロニクル2006-2012」も同時収録。