著者 : 森詠
十五歳の寒九郎が江戸へ逃れて三年。津軽藩士の父は切腹、母は後追いの寒九郎は、叔母が嫁いだ旗本武田作之介の後見で文武の修行に励んでいた。一月十六日の奉納仕合いを前に奇妙な噂が流れた。勝ち抜いた剣士に御上から恐るべき密命が下されるという。かつて寒九郎の祖父らへの密命と同様に…。その祖父は今、津軽藩からの刺客を逃れて魔界白神山地に隠れていると判明。
空母「あかぎ」「しなの」を擁する日本空母機動艦隊は、ジブラルタル海峡を出発し、アフリカ大陸沖を南下。喜望峰まわりで日本に回航しようとしていた。日本は「松」「武」「梅」の三ルートを用意していたが、どれを選ぶかは直前までの極秘事項。しかし、中国軍はこの秘密情報を手に入れ、原子力潜水艦をはじめとした潜水艦群をインド洋に潜ませて迎撃を狙っていた。そんな中、空母機動艦隊は、喜望峰からマダガスカル、モーリシャス沖合に潜む十数隻の敵潜水艦を発見するのであった…。日本空母機動艦隊は、はたして中国原潜包囲網を突破できるのか!?日中最終決戦がついに始まる!
琉球諸島戦争で日本自衛隊に敗北した中国軍は、ロシア製空母「ワリヤーグ」を近代化改造した本格的空母「遼寧」を中心とする第一空母打撃群を出撃させる。時を同じくして、統幕作戦本部がサイバーアタックを仕掛けられ、レーダー・システムがダウン。九州と沖縄の各基地に多数の弾道ミサイルが撃ち込まれた。突如として勃発した第二次琉球戦争。日本自衛隊は、台風で大時化のなか、中国機動艦隊を迎撃するために出撃するのだった。一方、「暁作戦」を決行した日本は、「あかぎ」「しなの」の攻撃型空母二隻によって日本空母機動艦隊を創設。慣熟訓練をしながら日本へ回航しようとしていた。その情報を掴んだ中国海軍は、空母を撃沈させようとするのだが…。
津軽藩士の父は切腹、母は後追い。鹿取寒九郎は藩から追われ単身、江戸へ。叔母が嫁いだ旗本三百石・武田作之介の許で、少年寒九郎の孤独の闘いが始まった。まだ見ぬ祖父仙之助はなぜに谺一刀流を封印したのか?父母はなぜ自害したのか?その父から祖父への文はなんのためか?祖父はいまどこに?なぜ十五歳の寒九郎が謎の侍たちに何度も命を狙われるのか…?書き下ろし長編時代小説。
旗本武田作之介家の門前に行き倒れがあった。まだ前髪も取れぬ侍姿の子ども。小袖も袴もぼろぼろで土や泥塗れ、腹が空いているらしく息も絶え絶えの薄汚い小僧。津軽藩士・鹿取真之助の一子、寒九郎と名乗り、叔母の早苗様にお目通りしたいという。父が切腹して果て、母も後を追ったので、津軽からひとり出てきたと叔母に告げた。こうして寒九郎の孤独の闘いが始まった。
未解決事案を洗い直す、特命捜査対策室7係。係長代理の北郷は、警視総監特命で、赤衛隊による東洋新聞襲撃事件を再捜査することになった。犯行声明を分析し、犯人の目的が金銭だと考えた北郷は、新聞社内に恐喝された痕跡を探す。テロを生き残った元記者から、最近事件を調べていたフリー記者の存在を聞いた北郷は男の行方を追うが、自殺と見せかけ殺されていたことがわかりー。国家を揺るがす闇との戦いが、遂に始まる。
25年前の赤衛隊による東洋新聞襲撃テロを再捜査する特命捜査対策室7係の北郷。関係者が次々に不審な死を遂げていた。聞き込みの中で、電力会社元会長から、東洋新聞が「原発複合体」に逆らったため襲撃されたとの証言が。彼らは自らの権益を守るため、非合法な組織をも持つ団体だというのだ。だが、証拠となるデータが何者かに盗まれてしまいー。巨悪の裏に隠れた黒幕の存在とは!?実力派作家が放つ、壮大な本格警察小説。
殺しのお宮入りは許すな!警視庁捜査一課に異動し、特命捜査対策室7係の班長代理となった北郷の任務は、15年間未解決の女子大生殺人事件の捜査。班に集まったアクは強いが捜査の腕は確かな刑事たちと競うように捜査を進め、見落とされてきた被害者の男女関係をたどる中、犯行動機を持つ新たな容疑者が浮かび上がる。だが、彼にはアリバイがあった。犯罪の決定的証拠は見つかるのか?実力派作家による本格派警察小説。
千丈の堤も蟻の一穴から。一党独裁国家の中国は支配力の弱い周辺部から崩壊をはじめる。はじめは徐々に、だが、台湾戦争で一気に破滅へと突き進む。かつて強大な統一国家だった秦が脆くも崩れ去ったように。だが、台湾戦争は日本にとっても、国家存亡をかけた重大な危機でもある。海洋覇権に活路を求めようとする中国が死にもの狂いで日本、そして米国へ戦いを挑むからだ。中国の魔手は台湾から、次は沖縄へと延びていく。近未来軍事サスペンス、警告の書!
殺しに時効があってたまるか!19年前に恋人が殺された未解決事件の犯人を捜して、強引な捜査を続ける一匹狼の刑事・北郷。そんな彼に川崎署の大村巡査部長や元刑事の武田も協力し、謎を追い続けるが、なぜか公安から不可解な圧力がかかる。そして事件の背後に浮かび上がる大きな闇。警官として法を守るべきか、それとも恋人の無念を晴らすべきか、葛藤する北郷が下した決断とは?実力派作家が放つ本格派警察小説!
幕府と朝廷の公武合体を模索する勝海舟は、半兵衛に一人の密使の護衛を依頼する。朝廷に密書を届ける役目を託されたのは、茜という美しい娘だった。しかし、茜は道中で、謎の一団にさらわれてしまう。茜を救うべく、半兵衛は信州山岳剣法・大文字流開祖である大文字康介を捜して、信州の山奥に向かった。その秘剣谺返しを破った者は、一人としていない。果たして半兵衛は、この秘剣に打ち勝つことができるのか?
剣聖・鬼無神兵衛が秋田藩の招きを受け、江戸を出たことを知った半兵衛は、その後を追った。半兵衛は旅の途中で、謎の一団に追われる名取敬之介という武士と出会う。ひょんなことから、秋田で行われる奉納武術大会に出ることになった半兵衛は、一人の老占い師に呼び止められた。占い師は半兵衛を見るなり、女難、男難、剣難、そして鬼難をはじめとする七難が降りかかるゆえ、気をつけよと予言するのだが…。
西国に武者修行の旅に出た半兵衛は、舟の中で出会った鴻乃森兵馬という浪人者に、長州へ行こうと誘われる。勤王や佐幕という思想に興味を持たない半兵衛は断ろうとしたが、長州に伝説の鬼無剣を遣う幻の剣聖がいると聞き、興味を持った。その時、同じ舟に乗り合わせていた旅芸人と知り合った半兵衛は、お妙という美しい娘に一目惚れする。だが、その旅芸人達には、ある秘密が隠されていた。
謎の素浪人・蟹江又左衛門から、実母の優美が生きているという噂を聞いた大柿半兵衛は、剣の武者修行を兼ねて加賀に向かった。父幸之介の兄夫婦を訪ね、母の生死を確かめようと考えたのだ。加賀に旅する途中で、半兵衛はお絹という美しい娘と出会う。しかし、加賀に入った半兵衛の命を執拗に狙う集団が現れた。果たして半兵衛の母は、本当に生きているのか。加賀藩の御家騒動の裏に隠された真実とは!?
剣客修行の旅に出た大柿半兵衛は、袋井の宿で雲海という奇妙な老人と出会う。売れっ子の絵師でもある雲海は、酔えば酔うほど強くなるという「酔剣」の達人でもあった。雲海の酒乱癖にもめげず、教えを請うた半兵衛の腕は、めきめき上達していく。そんなある日、半兵衛は黒装束の一団に襲われた、西国大藩の綾姫とその一行を救い出した。だが、その裏には、驚くべきお家騒動の陰謀が隠されていた。書き下ろし。
1976年、ニューヨークで三人の日本人商社マンが殺され、冷凍死体が極秘裡に日本へ空輸されてきた。ロッキード事件を追っていたフリー記者の西村勝彦は、その情報を掴み取材を始めるうち、上海コネクションという組織の存在を知る。戦中から戦後にかけて、日本の政財界を裏から動かす上海人脈とは何か。恐るべき力を持つ地下帝国の実態を追う。
プロの運び屋・佐伯研次は、イスラム革命の国イランに降り立った。古代ペルシャ帝国の遺跡から出土した粘出板を国外に持ち出し、その研究者・カシェフィ博士を亡命させる依頼を受けた佐伯は、脱出ルートを確保し、博士への接触を図る。だが、前国王派のカシェフィは革命委員会の厳しい監視下にあり、更に正体不明の組織が博士の暗殺を企てていた。