著者 : 森詠
旧式の双発プロペラ機ダグラスDC-3で運び屋をする退役自衛官・北一馬。カサブランカを根城にする彼に破格の仕事が持ち込まれたー。アフリカ大陸を極秘裡に縦断し、ある人物を内戦に燃えるジンバブエまで運ぶ北は、愛機を駆って大空へ舞い上がる。各国謀報機関と謎の組識の巨大ダイヤモンド争奪戦に巻き込まれた男の、誇り高く、胸熱き死闘。
北一馬は米大陸を根城に、愛機DC3を駆る運び屋だが、なぜか事件がついて回る。今回もアマゾンの奥地で、トラブルだ。受け取った運賃と愛機が盗まれ、おまけに日系の少女の父親捜しまで背負い込んでしまった。すべての元凶は、インディオが隠したという黄金都市にあった。その財宝を狙って、諜報組織やシンジケート、それに革命ゲリラや山師までがからんで、局面は予想外な展開に…。長篇冒険シリーズ。
17歳の少年・未来は、白血病の母の死に目に会えなかった。天涯孤独の身となった未来に残した母の遺書から、自分と母を捨てたはずの父にはバスク人の血が流れていることを知る。父の行動の謎を探るため、未来は単身パリへ旅立った。パリで会った不思議な老人から、父の秘密と宿命の血族を知った少年は…。
かつての恋人マリア=ローザを探す風見と、スペイン内戦に参加した日本人の足跡を追う青木。カテドラルの聳える冬のバルセローナに、2人の男の過去が交錯する表題作を始め、戦乱のベイルートに暮らすジャーナリストの憂鬱を描く「ア・フール・オン・ザ・ヒル」、雑誌の記事を頼りに失踪した友人の消息を求める「パロスデームからの旅」など4編を収めたサスペンス短編集。
フリーランスの“運び屋”北一馬は、このところツキに見放されていた。営業機の“キャサリン”を何者かに盗まれた上に、6年間一緒に暮らしたウェンディに逃げられてしまったのだ。そこへある男から「キャサリンと引換えに、ある貴重な文化財を運んで欲しい」と依頼があった。キャサリンを取り戻したい一心の北は、中国奥地タクラマカン砂漠へと飛ぶが…。空を舞台に繰り広げられる長篇アドベンチャー。
パレスチナ解放勢力とイスラエル軍がきびしく対峙するレバノン南部ー、日本人ジャーナリスト峯元彦は、PFLPのコマンド隊の軍事行動に参加。火を吹くカラシンコフ自動小銃、轟く対空砲火。戦争の悲惨と人間解放の困難さを目の当りにした峯は、それでも戦火の中で真の自由を獲得する道を探し求めた。
テレビ局ディレクターを辞職した生沢功治を、元GHQ将校ナヒマンと名乗る男が尋ねてきた。戦後失踪した父の昭吾に逢いにきたという。翌日、ナヒマンは「ザンメルは生きている」という謎の言葉を残して殺害された。ザンメルとは何か?父の失踪に匿された真相は?別れた妻子までが誘拐され、生沢は国際的な謀略の渦中に巻きこまれていった。長篇ハードボイルド・サスペンス。
報道記者の風見孝治は、かつて解放戦線の総攻撃を前に、恋人のビェン一家を国外へ脱出させ、自らはサイゴン陥落の歴史的瞬間を取材するため、アメリカ大使館に篭った。重傷を負った風見が生き残り、ビェンは死んだ。-8年後、神戸でビェンの弟妹に再会した風見は、この2人の後で蠢く陰の男たちの正体を知らされ、ビェンの死の真相を追った(表題作)。他、重い旋律でかなでるサスペンス・ロマン5編。
元M新聞サイゴン特派員の矢沢建彦のもとへ、シエーというベトナム人から1通の手紙が届いた。ベトナム戦争当時、戦闘中に死んだはずの友人でジャーナリストの叶吾郎が生きているというのだ。叶の行方を探すため、矢沢は急遽、バンコックへ向かった。ベトナムに生き、愛し、闘った男たちへのレクイエム。
花は揺れていた。咲いた花が雨に打たれる。雨よ、いつまで降り続くのか。矢沢の耳には、昔の恋人で反戦歌手だったドー・チー・ナウの悲哀に満ちた歌声が今も響く。ナウの悲惨な死には隠された大きな謎があった。ベトナムに潜入し、叶を探すうちに矢沢はナウの死の謎をも図らずも解くことになったのだった。