著者 : 森谷明子
藤原道長の別荘で毒殺未遂!? 都を離れ、宇治の庵にて紫式部最後の謎解き 『宇治十帖』の秘密に迫る、王朝推理絵巻 完結編 東京創元社創立70周年記念文庫書き下ろし 西国でのちに「刀伊の入寇」と呼ばれる騒乱が起こり、それを発端としたはやり病の広がりが都でも噂された寛仁三年。紫式部(香子)は出家し、宇治の庵で一人で暮らしている。小一条院妃延子より『源氏物語』の続きを促す便りをもらうも、手指の痛みで筆をとることができずにいた。そんなある日、庵のそばで毒を盛られたとみられる猫の死体が見つかり……。王朝推理絵巻、完結篇。著者あとがき=森谷明子 ■目次 序章 第一章『その頃』 第二章 刀伊の夏 第三章『その頃、藤壺と聞こゆるは』 第四章『その頃、横川に』 第五章『とぞ本にはべめる』 第六章『その頃、按察使(あぜち)大納言と聞こゆるは』 終章
『風と共に去りぬ』やアガサ・クリスティー『春にして君を離れ』 はたまた、『ながいかみのラプンツェル』から『枕草子』、谷川俊太郎の詩まで 図書館の本が、謎と心のしこりを解きほぐす! 名探偵ばりの司書が、悩める利用者にそっと寄り添います。 図書館開設準備の舞台裏、曾祖母の残した謎の文箱、 失踪したブックカフェの猫・・・・・・ 元司書の著者ならではの、ほんわか図書館ミステリ れんげ野原の中にある秋葉図書館には名探偵ばりの司書がいる。曾祖母の残した開かずの文箱、失踪したブックカフェの猫、図書館開設準備中に発覚した旧家の秘密……。そんな謎を抱える利用者を、誰もが知る古典や名作や、知る人ぞ知る本をそっと差し出して、解決までやさしく導きます。 「どこにいたの?」をテーマに描く、六篇の謎。ほんわか図書館ミステリのちょっぴり番外編。 ■目次 「良夜(りょうや)」 「事始(ことはじめ)」 「聖樹(せいじゅ)」 「春嵐(はるあらし)」 「星合(ほしあい)」 「人日(じんじつ)」
安倍益材の息子、葛丸(後の晴明)は、幼き頃から人の死を『先見』してしまう力を持っていた。 災いが降り掛からぬように、屋敷から出ずに育てられてきた葛丸。 彼が七歳になった時、陰陽師の修業を目前に控える少年・津久毛と、先帝の孫である鶴君だった。 ともに人に馴染めぬがゆえに親しくなる三人。しかし葛丸の先見のせいで、宮中での毒殺の疑いが益材にかかる。 その疑惑を晴らすべく、葛丸は平安の都に潜む数々の謎へと挑み始めるーー。 著者渾身の平安時代ミステリーの登場!
「父は、姿を消したのよ。私が九歳の夏に。それ以上のことを言わない、誰にも」。1964年オリンピック決定に沸く東京で、競技場近くに住む一人の男が失踪した。娘は自分の居場所と夢を守るため、偶然と幸運と犠牲を味方につけ生き抜いてゆくことを誓う。時代の空気感を濃密に取り込みながら描いた蠱惑の長編ミステリー!
この夏の課題は、民俗学の巨人・南方熊楠の『十二支考』!? 干支にちなむ神々に守られた街なのに、なぜ「丑」の方角にだけ神社がないのか? おんぼろ研究室を飛び出した〈教授〉の純粋推理! 「ネズミの靴も忘れないで持って来てよ」 教授然とした風貌を持つ非常勤講師・矢上〈教授〉は、理系学部で日本古典文学を教える変わり種にして、筋金入りのミステリ愛好家。その教え子の女子大生・御牧咲は、〈教授〉から出された夏休みのレポートの課題にこぶし野町を選んだ。この町は、十二支にちなむ神々に各方角を守られているのに、なぜか「丑」の方角だけ神社がない。そしてなぜか、南方熊楠の民俗学随筆集『十二支考』にも「丑」の章だけがないのだ。何か理由があるのか? 勇躍フィールドワークに出た咲は、降り立ったこぶし野駅で、さっそく“ネズミ”に纏わる不思議な会話を耳にするが…… 第一話 ネズミの靴 第二話 「虎」の武勇伝 第三話 卯塚の君 第四話 サル、トリ、イヌの三社祭 第五話 未の門 第六話 亥の子餅遁走曲 第七話 辰巳の水門 第八話 空隙としての丑の方 エピローグ 午の方にある駅で
平安の都は盗賊や付け火が横行し、乱れはじめていた。紫式部は『源氏物語』の人気に困惑気味の日々。そんななか訪れたお屋敷で、栄華を極める藤原道長が、瑠璃という姫をひそかに住まわせているのを知る。式部はこの瑠璃姫と道長になぞらえて物語を書きはじめるが……。瑠璃姫は何者なのか? 式部が道長に仕掛けた雅な意趣返しとは? 平安王朝推理絵巻その三。著者あとがき=森谷明子/解説=荻原規子
れんげ野原のまんなかにある秋葉図書館は、今日ものんびりのどか。新人司書の文子の仕事ぶりも、板についてきた。けれど、図書館を訪れる人たちには、人知れぬ悩みがあるようで……やっぱり、毎日ふとした謎が湧きおこる。そんななか、図書館の近隣で大事件が! 季節のうつろいを感じながら、またまた頼もしい先輩司書の助けを借りて、文子は謎解きに挑むが……。すべての本好き、図書館好きに捧げる、やさしいミステリ!
小市航太は瀬戸内海に浮かぶ五木島の分校に通う高校三年生。球技部を引退した航太は、ひょんなことから俳句甲子園出場を目指す日向子のメンバー探しを手伝うことになる。メンバー五人が揃い、本格的に俳句甲子園出場を目指すため動き始めたある日、航太の祖母が倒れてしまい…。島で生まれ育った少年少女たちが俳句甲子園に新風を巻き起こす!
俳句の価値を主張して国語教師と対立した茜。友人の東子に顛末を話すうち、その悔しさを晴らすため、俳句甲子園出場を目指すことに。ふたりのもとには、鋭い音感の持ち主の理香や、論理的な弁舌に長けた夏樹らの個性的な生徒が集う。そして、大会の日はやって来た!少女たちのひたむきな情熱と、十七音で多彩な表現を創り出す俳句の魅力に満ちた青春エンタテインメント!
時は平安。人々の注目を集めるひとりの女性がいた──その名は紫式部。かの『源氏物語』の著者だ。実は彼女は都に潜む謎を鮮やかに解く名探偵でもあった。折しも、帝が寵愛する女性が待望の親王を出産、それを祝う白一色の華やかな宴のさなかに怪盗が忍びこみ、姿を消した。式部は執筆のかたわら怪盗の正体と行方に得意の推理をめぐらすが……。鮎川賞受賞作家による王朝推理絵巻。著者あとがき=森谷明子/解説=細谷正充
須崎茜は私立藤ヶ丘女子高校に通う俳句好きの女の子。ある日、俳句に否定的な国語教師と授業で対立したことをきっかけに、俳句の趣味を理解してくれるトーコという友人ができる。2人は「俳句甲子園」を目指して俳句同好会を設立するが、出場に必要な人数は5人。メンバーを集めるため、茜とトーコは校内を駆け回る。俳句経験者の茜、切れ者のトーコ、書道有段者の真名、音感の鋭い理香、口達者な夏樹、情緒豊かな瑞穂…初めはばらばらだった6人の個性が“俳句バトル”で輝きを増す!少女たちの友情と成長がまばゆい、圧倒的青春小説!!
今日はマサルにとって小学校最後の運動会。張り切るマサルだが、優勝杯の中に薬の空シートを見つけたことから状況は一変する。頭のいいヒロシが言うには「殺人の証拠」かもしれないのだ。一方、マサルの父親・真樹夫は、学校でドラッグが出回っていると耳にする。携帯には差出人不明の曰くありげなメール、そして昨夜は、ある児童の母親が死んだ。学校で今、何が起きているのか?特殊な空間に集った大勢の人々が、プログラムに沿って行動する一日。小学校の校庭が、ミステリの格好の舞台に変貌する!
桓武帝に始まる平安京。帝に縁を持つ多治比の女の一族は、遠くから帝を見守り、長く都に想いを寄せ続けた。300年後、桓武平氏が歴史の表舞台に躍り出て、多治比一族に再び希望の光が射したのも束の間ー。栄枯盛衰を繰り返す人間たち。ただ平安京のみが、変わらず栄え続けたが…。桓武天皇から平氏滅亡までを、都という存在に託して語る一大叙事詩。