著者 : 森雅裕
戦国の世に終止符を打つ徳川政権誕生、その前夜。勇猛無比の武将本多忠勝の娘稲姫と、西軍の知将真田昌幸の息子にして徳川につく信幸の結婚。疾風怒濤の歴史のうねりを生きる人間ドラマを、止まった蜻蛉(とんぼ)が切り落とされる名槍「蜻蛉切り」の数奇な運命に託して描ききる大作。
モーツァルトの子守唄が世に出た時、“魔笛”作家が幽閉され、楽譜屋は奇怪な死を遂げる-。その陰に策動するウィーン宮廷、フリーメーソンの脅しにもめげず、ベートーヴェン、チェルニー師弟は子守唄に秘められたメッセージを解読。一七九一年の楽聖の死にまつわる陰謀は明らかとなるか。85年度江戸川乱歩賞受賞作。
聖ジョン大聖堂で育てられていた幼いメシアが悪魔に誘拐された。悪魔を倒すことができるのは、聖なる音楽と聖なる剣のみだという。そこで時空の彼方から二人の男がニューヨークに呼び寄せられる。現代楽器を手にしたベートーヴェンと流星刀をもつ土方歳三、そしてメシアの母親ジュネ。風変わりな三人組が悪魔と戦う痛快無比の冒険譚。
マリア・カラスがその音楽活動を終えたのは1974年11月11日の札幌であった。15年後、この街に若きプリマ、タルガ・パルフェッタ、鮎村尋深が登場した。“カルメン”公演の夜、カラスの遺品、金の十字架が奪われた。カラスの“愛”を秘めた十字架。それは彼女の不可解な死の謎を解く鍵となるのかー。
隕鉄は誰かの恋をかなえて落ちた流れ星ー。ロマンチックを気取っても、一尺八寸環は女子大生にあるまじき刀鍛治。念願かなって入手した隕鉄に職人生命を賭け、難行苦行の末に一振りの流星刀を生み出す。その時から学園は風雲急。修羅の巷で争奪が始まる。流星光底、鉄骨の美術系アクション。
ついに自衛隊特殊部隊によるクーデターが勃発した。伊神達夫へ復讐を誓う梨羽五月香は、緊急集会の国会に彼を襲うが、罠に陥る。傷つきながらも彼女は、内閣情報室特務部、GRU特殊部隊の精鋭がことごとく壊滅した最後の戦場へ向かうー。“飛ぶ虎”の血を移く少女戦士、完結篇。
梨羽五月香は虎の化身伝説をもつ台湾・飛虎族と飛騨忍軍末裔の間に生まれた少女である。自衛隊反乱子によって姉を人質にとられ、日本クーデターと台湾革命計画の渦中に巻き込まれる。旧日本軍埋宝をめぐる残雪の旅路は、陰謀の背後に潜む“鎌倉法王”との対決へ。そこには自衛隊特殊部隊が立ちはだかるー。
スマートさからほど遠かった青春の終わりに、男はただ一人愛した娘の面影を抱いてシチリアへ、伝説のロードレースに漕ぎ出す-。かたくななまでに一途な男と、無気力なほど屈託ない箱入娘。’80年代を悼む少数派恋愛小説。
注目の“椿姫”が大学オペラ練習中に毒死し、実在の“椿姫”を描いたマリー・デュプレシ像贋作事件が23年ぶりに浮上する。鍵を握る画家は日本画学生守泉音彦と気まぐれプリマ鮎村尋深の目前で息絶え、第二の“椿姫”も公演初日に斃れた。そして、第三の“椿姫”尋深が死を仕掛けられた舞台に上がるー。
モーツァルトの子守唄が世に出た時、“魔笛”作家が幽閉され、楽譜屋は奇怪な死に様をさらすー。その陰に策動するウィーン宮廷、フリーメーソンの脅しにもめげず、ベートーヴェン、チェルニー師弟は子守唄が秘めたメッセージを解読。1791年の楽聖の死にまつわる陰謀は明らかとなるか。乱歩賞受賞作。