著者 : 楊逸
居酒屋で時給900円のバイトをしながら法律の勉強に励む中国人女子留学生・林杏は、ある日通訳を頼まれ、1万5千円もの報酬を手にする。「おせん」と名づけられた5千円札の女性は、財布から財布へあてのない旅へ出て、金銭欲まみれの世界の裏側を覗き見るが…。ユニークな構成でお金の魔性を描いた傑作長篇!
居酒屋で時給900円のバイトをしながら、法律の勉強にはげむ中国人女子留学生・林杏は、ある日同級生に、弁護士である父親が中国人容疑者の弁護をすることになったので通訳をしてほしい、と頼まれる。合計3時間50分の「労働」で得た報酬は、1万5千円!「わぁ、う、おぇ」驚きの声を発しながら、林杏はお札のなかで口を一の字に結ぶ着物姿の女性をしげしげと見つめたー。
高級すきやき屋でアルバイトをはじめた中国人留学生・虹智(ココちゃん)は、何本もの紐で縛られた着物姿の我が身を「束ねられた長ネギ」に準える。「いらーっしゃいっまーせ」「かしむかりました」…慣れない習慣や日本語と格闘しながら観察する老若男女の人間模様。あこがれの店長と留学生仲間・柳賢哲との間で揺れる気持ちも描かれる、比較文化的笑いに満ちた、やさしい物語。
中国人女性の「王愛勤」ことワンちゃんは、名前のとおりの働き者。女好きの前夫に愛想を尽かし、見合いで愛媛の旦那のもとへ。姑の面倒をみながら、独身男性を中国への「お見合いツアー」に誘うのだったー。日本語を母語としない作家として初めて芥川賞を受賞した著者による、文學界新人賞を受賞した衝撃のデビュー作。
中国の東北部、とあるレストランに勤める林玉玲は、店長から金魚の世話を頼まれる。あるとき、日本に嫁いだ娘の出産のため来日した玉玲は、日本人との再婚を勧められて…。日本と中国、異なる文化の狭間で、玉玲の心は言葉を超える。衝撃の芥川賞受賞から半年、日本と中国をめぐる新たなる感動の恋愛ストーリー。
芥川賞候補作!初の中国人作家登場。「王愛勤」ことワンちゃんは、名前のとおりの働きもの。女好きの前夫に愛想をつかし、見合いで四国の旦那のもとへ。姑の面倒をみながら、独身男たちを中国へ連れていき、お見合いツアーを仕切るのだ。各紙絶賛の文學界新人賞受賞作。