著者 : 楡周平
鳩レースは、麻薬。 巨額飛び交う違法ギャンブル。 元締めのマフィアが闇ビジネスを拡大させる、 真の狙いとはーー? 賭け続けるしか、勝ちはない。 仁義なき賭博小説! 男のメンツと意地を賭けた、桁外れの闇賭博。 その日暮らしのしがない中年・上田安治は、テキ屋の元締めだった亡父・松吉から、違法賭博用の「レース鳩」を相続する。松吉のコンサルタントを名乗る堂上によれば、鳩は名鳩ぞろい。プライベートクラブのレースに参加しないのならば、台湾人の楊志偉に売却してはと提案される。博打よりも堅実な生活を求める安治は、勧められるままに鳩を売り、自らはクラブの鳩の世話をする鳩務員の職を得て、手堅く暮らしはじめる。ところが楊の入会をきっかけに、クラブには台湾人が激増。彼らがマフィアだと知った安治は、日本人メンバーらの不審死と退会ににわかに恐怖を覚える。だが新たな胴元による鳩レースは、開催間近にせまっていた……。
EV(電気自動車)全盛の時代が目前に迫っていた。大手自動車メーカー・トミタの社長、村雨克明は、後世に残るガソリンエンジン車として、最高級車種「エンペラー」の新型モデル開発を決意する。村雨は、イタリアの老舗自動車メーカー・ガルバルディで働く篠宮凛にプロジェクトリーダーを打診するが、凛からはある条件が。それはEV時代のトミタを救うかもしれない、前代未聞の提案であった。日本車の輝かしい歴史を未来に繋ぐため、自動車に人生を捧げた者たちの挑戦が始まる。クルマの無限大の可能性を切り拓く、新時代の自動車ビジネス小説。
悪質なプロ経営者に潰された父の仇を討つ。彼らが再び暗躍を始めたことを知った投資ファンド女性副社長・樋熊令は、信頼する仲間と共に、世界経済のトレンドと矛盾を利用した一世一代の経済ゲリラ戦を仕掛ける。リンクし膨張を続ける各国のマーケットで、何が起こるのか?
これは本当に小説なのか!? 30年後の日本社会がどうなっているか調査をすると……仕事はAIにより「人間は不要」になり、働きたくても働けない人たちが続出。また、地方の過疎化は深刻化の一方だという。誰がこんな国にしたのか?そして、この国に明日はあるのか? 経済小説のトップランナーが描く、日本の未来。そしてそれを担う若者の生きる道とは!? 老いも若きも男も女も、全世代必読の未来予想小説。
明治期に日本橋で創業の老舗マルトミ百貨店は、コロナ禍でメインバンクから追加融資を止められ、倒産の危機に瀕していた。憔悴しきった社長の富島栄二郎は、偶然にも四井商事の専務・徳田創と再会する。富島は若い頃四井で修業したことがあり、二人は同期だった。富島の窮状を聞いた徳田は同じく同期でプラチナタウンを作った山崎鉄郎を紹介する。藁にもすがる思いで山崎を頼る富島。同様の相談を複数受けていた山崎の中でそれらは化学反応を示し、再建案は思わぬ方向に向かい始めー苦況の日本を救う、目から鱗の再生構想とは!
在宅勤務なら「お試し移住」してみよっかな? 選んだ場所は魅惑の“楽園”だった! 地方創生は「行政任せ」から「ビジネスモデル」へ 初代地方創生担当大臣 石破茂 三陸の食と空家と人情が、日本を救います 岩手県知事 達増拓也 築9年、3LDK、家具家電付きーーなのに家賃8万円!? 大手電気機器メーカー「シンバル」に勤務する西尾晋作は、海釣りが大好き。 コロナ禍でテレワークが当たり前になったことを機に、海に近い田舎に移住を考え始めると、宮城県に家具家電付きの神物件を発見する。家賃の安さに惹かれ、「お試し移住」を始め、夢のような山海の幸に大満足。地域民とのいざこざを経験し、晋作はこの楽園で、ある新事業を思いつくーー。
「会社は、経営者が金儲けをするためにあるのではありません。従業員を幸せにするために、ひいては幸せな社会をつくるためにあるんです」明治七年。十五歳の服部金太郎は、成長著しい東京の洋品問屋「辻屋」の丁稚として働いていた。主人の粂吉は、金太郎の商人としての資質を高く評価し、ゆくゆくは妹の浪子と結婚させ、金太郎を辻屋に迎え入れようと考えている。だがそんな思いとは裏腹に、金太郎は、高価ゆえに持つ人の限られていた「時計」に目をつける。鉄道網の発達により、今後「正確な時間」を知ることの重要性が高まると見抜いていたのだ。いずれは時計商になりたいという熱い想いを粂吉に伝えるがー。経済小説の名手が贈る世界的時計メーカー「セイコー」創業者服部金太郎の一代記。
日本屈指の総合商社に勤める是枝昭憲は、老舗総合食品メーカーMGFのオーナー社長・堂面乗定の長女・三津子と見合いし、結婚。三津子は無事に息子を出産。しかし、それが苦難の始まりだった。生まれたばかりの息子は堂面家の跡取りとして義父・乗定の養子に取られ、用済みの昭憲は強制離婚!堂面家追放!ところがMGFに絶体絶命の危機がー。それを機に、三津子の妹・華子たちの協力で昭憲の反撃が始まる!果たして種馬の明日は?負けてたまるか!最後のチャンスをものにしろ!
“断じて許されません。商道徳に悖る社会への裏切り、背信行為です。”家電製品の発火で死亡事故が発生し、マスコミから経営体質を非難された世界的電気機器メーカー・ニシハマ。ハーバード大を卒業し、創業家一族に婿入りした梶原賢太は、ニシハマが窮地を脱するための極秘計画に携わることになる。それは、モンゴルでの使用済み核燃料の最終処分場建設という、政官財を巻き込む一大プロジェクトだった!交錯する利権と思惑。賢太はある賭けに打って出るがー。粉飾、癒着、学閥…。大企業病に立ち向かえ!旧態依然の経営陣と対峙する中間管理職の奮闘を描く、極上経済エンタメ小説!
商売人として最後の闘いを挑んだ男の常識破りの秘策とは?築地の社長衆に命を救われた外食チェーンの経営者が、効率優先の閉塞日本に義理と人情でカツを入れる!麻布の呪われた立地のビルを最注目ビルに!働きがい改革・地方創生のヒントが満載の熱きビジネス小説!
認知症になった親が 死を望んでいたら あなたはどうしますか。 認知症の父の突然死。医師同士による、ある密約。 医師の兄と、弁護士の弟は、真相にたどり着けるのか。 楡周平史上、最大の問題作。 次に挑むテーマは“安楽死" ある晩、内科医の輝彦は、妻・慶子の絶叫で跳ね起きた。父の久が慶子の入浴を覗いていたというのだ。久の部屋へ行くと、妻に似た裸婦と男女の性交が描かれたカンバスで埋め尽くされていた。久が認知症だと確信した輝彦は、久が残した事前指示書「認知症になったら専門の病院に入院させる。延命治療の類も一切拒否する」に従い、父の旧友が経営する病院に入院させることに。弁護士をしている弟の真也にも、事前指示書の存在を伝えた。父の長い介護生活を覚悟した輝彦だったが、ほどなくして久は突然死する。死因は心不全。しかし、あまりに急な久の死に、疑惑を抱く者もいてーー。 【著者略歴】 楡周平(にれ・しゅうへい) 1957年、岩手県生まれ。米国系企業在職中の96年に書いた『Cの福音』がベストセラーとなり、翌年より作家業に専念する。ハードボイルド、ミステリーから時事問題を反映させた経済小説まで幅広く手がける。著書に「朝倉恭介」シリーズ、「有川崇」シリーズ、『再生巨流』『プラチナタウン』『修羅の宴』『レイク・クローバー』『象の墓場』『スリーパー』『ミッション建国』『砂の王宮』『ぷろぼの』『サリエルの命題』『鉄の楽園』等多数。
かつては鉄道の専門学校として名を馳せた海東学園。過疎高齢化のあおりで経営破綻寸前のなか、リゾート開発を目論む中国企業への身売り話が舞い込む。一方、東南アジアの新興国・R国の高速鉄道受注に向け、中国と熾烈な競争を繰り広げる四葉商事は、莫大な資金力の差で劣勢を強いられていた。その渦中、次期首相候補のキャサリンと面会。「国を変えるのは教育」と説かれ、ついには海東、四葉、そして経産省を巻き込んだ前代未聞の一大プロジェクトへと発展していく。しかし、その間にも中国による土地の買い占めは着々と進んでいた…。日本の未来を見通す痛快エンタメ企業小説!
物流の雄、コンゴウ陸送経営企画部の郡司は、入社18年目にしてはじめて営業部へ異動した。担当となったネット通販大手スイフトの合理的すぎる企業姿勢に反抗心を抱いた郡司は、新企画を立ち上げ打倒スイフトへと動き出す。そのために考え抜いた秘策は、買い物難民を救い、商店街を活性化するとともに、世界に通ずるものだったーー。運輸界最大手企業と世界的通販会社、物流の覇権を巡る戦いの火ぶたが、いま切られる!
悪魔のウイルスの名は「サリエル」。医療に通じ、癒す者とされる一方で、一瞥で相手を死に至らしめる強大な魔力、『邪視』の力を持つ堕天使ー。日本海に浮かぶ孤島で強毒性の新型インフルエンザが発生し、瞬く間に島民全員が死亡した。それはアメリカの極秘の研究データが流出して人工的に作られたという疑いが。テロの可能性が囁かれるうちに、本州でさらに変異したウイルスの罹患者が現れる。ワクチンもなく、副作用が懸念される治療薬が政府の判断で緊急製造されるが、感染が拡大しても全国民にはとうてい行き渡らない。刻々と事態が変化していくなか、果たしてパンデミックは回避できるのか?
貧しい家に生まれた一郎は、山中の事故で、密かに人を殺めてしまう。罪悪感を胸に集団就職で上京、劣悪な労働環境で絶望を味わった一郎。だが、偶然にも他人と入れ替わることに。自分を捨て生きていくことを決意し、自らの才覚だけを武器に運送事業でのし上がっていった。バブル期に不動産売買で財を成した一郎は、劣等感を埋めるため、旧華族令嬢と再婚するがー。数奇な人生に翻弄された男の光と影を描いた傑作長編。
戦後の動乱期、横浜のドヤ街で当たり屋をしていた「テン」こと小柴俊太は、幼馴染の麻生寛司と偶然再会した縁で、料亭の下足番に雇われる。ある日、寛司の上司でムーンヒルホテルの次期社長・月岡光隆に見出され、彼の運転手を務めることに。やがて月岡の会社に就職した俊太は、“異物”と扱われながらも独創的なアイデアと度胸で次々と実績を挙げ、異例の出世をする。ところが、ある事件が発覚し、会社は上場廃止の危機に陥ってしまう。一連の騒動の背後には、思いもよらぬ人物の裏切りが…!?仕事に夢を持てるかどうかで、サラリーマンの人生は大きく変わるー!!
カジノ計画が動き出した東京。元商社マンの杉田義英は、その運営権を獲得したカイザー社に転職。プロジェクトマネージャーのオリバーが、ジャパニーズカジノ成功の秘策は「飲む・打つ・買う」と確信、遊び好きの彼を見込んだのだ。杉田は、世界の超VIPが金を落とす夢のカジノを実現すべく、切れ者でミステリアスな美女・柏木とともに掟破りの作戦に奔走する!
世界最大ネット通販会社《スロット》は、極限に達した物流システムに支えられていた。生命線の宅配便トラックがテロの標的になった時、日本中が機能不全に陥る。格差社会への不満を抱えた「バルス」と名乗る人物による犯行声明がマスコミに届き、次の犯行予告が伝えられた。宅配会社は荷物の受け付けを中止すると、それに伴いネット通販会社の出荷も停止、あらゆる産業で事業が滞りはじめた。バルスは予想外の要求を突きつける!
戦後、闇市で薬屋を営んでいた塙太吉。持ち前の商才で流通業界最大の企業を造り上げるが、ある事件に巻き込まれ……。高度経済成長を支えた流通王の栄枯盛衰を描く傑作経済小説!(解説/香山二三郎)
日本を代表する総合電機の巨大メーカー・コクデンは、巨額損失に端を発した不正会計の発覚から壊滅的な危機に追い詰められ、高性能の新型電池を使った市場開発のためにEV(電気自動車)の事業の可能性を探る。一方、経営不振にあえぐ軽自動車メーカー・イナズミでも新たな市場を求めて、EV開発へ動き出す。さらに、世界的自動車メーカー・タカバの専務・野中は次世代車として、EVを打ち出すことで社内のイニシアティブをとるべく、そのイナズミに照準を合わせて動き出すー。世界の状況が一斉にEVに向かって動きだしたいま、先手を取らねば生き残れない!めまぐるしく変動する市場とテクノロジーの激流の中、企業の生死をかけて戦う男たち!ビジネスの熾烈な世界を知り尽くした著者が活写するビジネス・エンターテインメントの決定版。