著者 : 槙由子
仕事先で野性味溢れる完璧な美貌の男性を見かけたリーサは、 その夜、兄が設けた会食の席に思いがけず彼が現れ、驚く。 彼の名はリック・アンドレス。 巨万の富を誇る金融界の大物らしい圧倒的な存在感に、 リーサは強く惹きつけられる一方、尊大な態度には辟易した。 翌日、兄の会社が破産寸前だと聞かされ、リーサは愕然とする。 そのうえ、誰あろうリック・アンドレスが、兄の会社を救うため 持ちかけてきたという買収話には、信じ難い条件が。 彼はリーサを花嫁に望んでいるというのだ。 ありえないわ……。あんな野蛮な人と結婚する以外、道はないの? 絶体絶命の淵で泣く泣く結婚を承諾するや、ヒロインは強引なヒーローに容赦なく唇を奪われてしまい……。ハーレクイン文庫でも絶大な人気を誇る、ベテラン作家ヘレン・ビアンチン。セクシーなラテンヒーローとのめくるめく恋絵巻をお楽しみください。
オナーはその日、見上げるほど豪奢なマローン家の門をくぐった。 かつて誘拐されたマローン財閥の令嬢と判明し、 26年ぶりに帰ってきたのだ。代理人トレースとともに。 だが、オナーを高慢な親族たちが歓迎するわけもなく、 あまつさえ財産目当ての偽物と拒絶した。 冷え冷えとした屋敷のなかで、味方はトレースだけだったが、 彼の出張中、オナーは暗闇のエレベーターに閉じ込められる。 闇を引き裂き、「このあま」と吐き捨てるような声が響きーー そして落下してゆくなか、思い浮かぶのはトレースの黒い瞳……。
親友の恋人の城で開かれた仮装パーティで、リリーは巨万の富を持つスペイン侯爵、トリスタン・ロメロに出会った。抗い難い彼の魅力にとらわれ、城のはずれの塔で一夜をともにしたあと、それは単なる束の間の戯れだと冷たく宣告されてしまう。リリーは翌朝、彼が目を覚ます前に城をあとにした。ひと月半後、彼女は予想外の妊娠に気づく。この子はひとりで育てよう。でも、父親の愛を知らずに育った私と同じ思いは味あわせたくない…。妊娠を打ち明けたリリーのそんなささやかな願いを嘲けるように、トリスタンの冷たいブルーの瞳がリリーを射貫く。「認知をする条件は結婚ーいやなら子供との関わりは一切持たない」
ギリシア人大富豪の愛人となった母に連れられ、 ルイーズは少女のころからよくエーゲ海の小島にある邸宅を訪れた。 富豪の息子ディミトリは家庭を壊した彼女の母を憎み、 冴えない娘のルイーズにいたっては目もくれなかった。 彼の甘い言葉に誘われて身を捧げた、19歳のあの日までは。 喜びも束の間、あなたは復讐の道具にされたのよと母に教えられ、 ショックを受けたルイーズはお腹に宿った命にも気づかず、 一刻も早く島から逃げようとボートに飛び乗ったのだった。 7年後、ルイーズは重い病をわずらった母を助けるため、 二度と会いたくなかったディミトリのもとへと向かう……。 母のことを娼婦と蔑む悪魔のような男性、そして、少女のころから密かに想いを寄せていた初恋の人ーールイーズにとっては、ディミトリは時を経てもなお心をかき乱す大きな存在でした。
砂漠の国の王妃となった姉に代理母になってほしいと頼まれ、 クロエは国王夫妻の子アデンをひそかに出産した。 だがその直後に夫妻が事故死し、事情を知る者がいなくなる。 貧しい学生のクロエに子どもを育てる余裕などない。 途方に暮れながら必死に赤ん坊の世話をしているところへ、 代理母の契約書を発見したという亡き王の弟サイードが現れた。 「契約どおり、子どもは我が国に属する」 冷たく宣言する彼に、クロエは懇願した。 乳母でも召し使いでもいい、甥と一緒にいたいと。 まさかサイードの名目だけの妻にさせられるとは、思いもせず。 ロマンスの申し子メイシー・イエーツ。国のために感情を排し生きてきた冷酷なシークと、貧しくも懸命に幼い命を育てるヒロインが赤ん坊を巡って散らす火花はやがて恋の炎となり……。
エマは、父親の親友の息子ザリオスと6年ぶりに再会する。彼は10歳年上のハンサムな企業経営者だが、悪名高いプレイボーイでもある。惹かれてはいけない人ーそうわかっていながら、彼の突然のキスには抗えなかった。ずっと抑えていた想いが溢れ、エマはすべてを捧げてしまう。彼との再会からほどなくして、むごい悲劇がエマを襲った。両親の事故死、そして兄がギャンブルで負った多額の借金が、いっきにエマにのしかかってきたのだ。それだけではない。彼女は、ザリオスと元恋人との復縁を新聞で知る。茫然自失のなか、エマは小さな命を宿していることに気づく。
3年前、父が作った多額の借金を肩代わりしてもらう見返りに、マクシーはやむなく祖父ほども年の離れた富豪の愛人となった。実は見せかけだけなのに、周囲からは白い目で見られる日々…。老富豪が病に倒れた今、妻に返済を求められたマクシーに、彼らの甥であるアンゲロスから悪魔のささやきがもたらされる。代理返済しておいたと告げ、欲望の瞳で代償を求めてきたのだ!金のために身を売る女と蔑まれた屈辱に震えながら、夫となる人にしか身は捧げないとマクシーが断ると、彼は言った。「結婚しよう。但し、公の場で妻と認めることはできないが」
あれはセリーナが15歳、ニコラスが18歳のときだった。卒業パーティの夜、ふたりは初めての幼い愛を確かめ合った。だが彼はイギリスへ留学してしまい、やがて連絡は途絶えた。幾年かが過ぎ、セリーナは愛娘とふたりで幸せに暮らしていた。ある日、娘がもたらしたニュースにセリーナは愕然とする。「ニコラス・デュプレが、わたしたちの学校に来てくれるの!」小学校のチャリティ・イベントのため、娘みずから手紙を書き、地元出身の世界的億万長者である彼に出演を依頼したのだという。ニコラスと、彼を招待した娘の対面は避けられないだろう。お互い、父と娘であることも知らないまま…。
冷徹なシークの口づけは、 泣きたくなるほど優しかった。 生き別れた弟が無実の罪を着せられて逮捕されたと知り、 アマリアは13年ぶりに母国カリージュの壮麗な宮殿を訪れた。 執務室に迷いこんだ彼女は、玉座のような椅子に座る男性の 琥珀色の瞳に射すくめられた。若き国王シーク・ゼインーー その威厳に満ちた貴族的な美貌と尊大な言葉に圧倒されながら、 アマリアはこれがゼインの花嫁選びの面接であることに気づく。 事情を話して窮状を訴え、弟のためなら国王を脅迫することも 辞さないという彼女に対し、ゼインは不快感もあらわに命じた。 「君に選択肢はない。期間限定で王妃の役を務めてもらおう」 それぞれに個性的でゴージャスなプレイボーイ富豪たちの魅力に思わずため息が出てしまう、〈四富豪の華麗なる醜聞〉の第3話をお届けします! 妃を娶る必要に迫られたシークと、窮地に陥った無垢な乙女の熱く切ないシンデレラストーリーをご堪能ください。
「あなたはいったい何者なの?」 「君の夫ーーそして主人だ」 “君は僕のもの。僕の島へ来て妻となる。髪に花、首には宝石” ギリシア富豪レオンの言葉が、いま現実になろうとしている。 9日前、看護師のタラは患者のレオンにいきなり唇を奪われた。 ふたたび唇を奪われた夜、タラは我知らず結婚を承諾していた。 しかしほどなく、巧みな口づけと愛撫の呪縛が解けると、 タラは恥ずかしさで死にたくなった。彼女には婚約者がいた。 レオンを避け続け、予定どおり結婚の日を迎えたタラだったが、 何者かに拉致され、抵抗も空しくギリシア行きの船に乗せられた。 いまだ花嫁姿のまま、レオンへの憎悪を胸にたぎらせながら。 結婚式の直前にさらわれ、囚われ、ウエディングドレスを海に捨てられて……。無力なヒロインとザ・暴君ヒーローが織りなす怒濤の愛憎劇。1980年に書かれた幻の名作、満を持しての初邦訳です!
ジェシカは父親から信じがたい話を聞かされ、頭を抱えた。雇い主から貴重な美術品を盗んだ疑いをかけられたというのだ。父は大富豪セザリオ・ディ・シルベストリのもとで働いている。このまま誤解を解かなければ、解雇されてしまうだろう…。実は2年前、ジェシカはセザリオに誘われ、食事をともにしていた。だがそのあと当然のごとくベッドへ誘ってきた彼に驚き、逃げだしたのだった。もう二度と会いたくなかったが、父の汚名を晴らすため、ジェシカは勇気を振り絞って彼を訪ねた。セザリオは相変わらず傲慢な笑みを浮かべると、こう言い放った。「父親を許そう、僕の跡継ぎを産むという取引に応じるなら」
母親の押しつける結婚から逃れる手助けをしてほしい。広告代理店に勤めるローラは顧客からそう懇願され、言われるままに恋人を装って、イタリアを訪れた。ローラを待っていたのは、息子の恋人に敵意を抱く母親と、滞在先の館の主で、顧客の従兄にあたるラモンテッラ伯爵だった。伯爵は到着直後から何くれとなくローラの世話をやき、観光へも連れだしてくれた。黒い瞳に黒い髪。なんて神秘的なの?すっかり伯爵に夢中になったローラは彼の誘惑の罠に落ちるが、彼女がバージンだと気づいた伯爵にベッドから追いだされてしまう。いったいなぜ?伯爵の企みを知らないローラは困惑し…。