著者 : 樋口卓治
売れない脚本家・三林草生介は、人気大物監督に頼まれ、内田裕也・樹木希林夫妻を主人公にしたホームドラマの脚本を書くことになった。執筆は難渋。なんとか書き上げるも監督からはダメ出しが。失意の底に沈み街中をさまよう草生介がたどりついたのは、希林の旧宅。誰もいないはずの家からは、なんと希林が現れる。「あんたが私たちのホームドラマを書くのに協力してあげる。代わりに手伝ってほしいことがあるの」その日から、希林と草生介の不思議な共同生活が始まったー。
天国行きは、生前の善行と、笑った回数で決まる。病に倒れ、この世とあの世の狭間でそう聞かされた修治は、息子の陽一郎に会うために天国行きを諦めて一週間この世に戻る。陽一郎に笑いのコツを伝え、人生を笑顔で満ちたものにするー姿を小学生に変えた修治は、転校生として陽一郎と再会した。
離婚を切り出された脚本家の野田隆介は、夫婦円満なホームドラマのシナリオを書きながら悩む。二人の子供は十分に育ち、手はかからない。だが自分は妻と別れたくない。その理由は何だ。世間体か?お金か?妻を愛しているからか?ドラマは高視聴率のまま最終回に向かい、離婚期日は刻一刻と近づく。
心を込めて娘を育ててきた。そこに突然届いた「お父さん検定」。差出人は亡き妻の母。合格しなければ親権を奪われるという。健康か?家事はできるか?娘の気持ちをわかっているか?数々の審査項目に細野一郎は四苦八苦。世のお父さんに届けたい、家族の物語。
目がさめると、三村修治はこの世とあの世の狭間にいた。行き先は生前に積んだ善行で貯まる「天国マイレージ」で決定する。なんて修治は3万マイル以上貯まっていて、天国に行けるという。人は笑うたびに0.1マイルが貯まる。修治は生前、35万回も笑っていた。しかし、そのことを知った修治は悩んだ。妻の彩子は明るく、よく笑う女性だった。だが息子の陽一郎はどうか?腹を抱えて笑っている姿をみた記憶がない…。かくして修治は、天国行きを中止した。すべてのマイルを使ってこの世に1週間だけ戻り、陽一郎を笑わせるために。笑いと涙の感動長編!『ボク妻』続編!
余命6ヵ月を宣告された放送作家の修治。死を前に思うのは最愛の家族のこと。みんなを笑顔にしたくて22年間バラエティ番組を作ってきた。妻と息子にも、ずっと笑顔でいてほしい。修治は人生最後の企画を考え抜き、決めた。妻に、最高の結婚相手を遺そう。笑い泣きが止まらない家族小説。