著者 : 横光利一
セレナード 横光利一 モダニズム幻想集セレナード 横光利一 モダニズム幻想集
多くの理想を抱えた作家であり知識人だった横光利一の今読んでも眩しいぐらいの傑作群!溢れんばかりの新しさ、純粋知性、真心、清廉、高潔が、現代仮名遣いによって甦る!横光利一の名前は新感覚派というレッテルと共に語られることが多く、日本の文壇、文学史では異端の刻印という側面もあった。モダニズム文学は当時の文壇文学の重鎮たちからは若者による奇を衒った一時的流行と見られがちだった一方、プロレタリア文学派からはブルジョワ的であると非難された。横光はそうした両面の無理解を真正面から受けて立ち、真に新しい文学の王道を拓くべく、実作と文学理論の双方で苦闘していたのである。
上海上海
一九二五年五・三〇事件とは?日系紡績工場ストライキで出会う在留邦人と中国共産党の職女芳秋蘭。金融界から風俗業まで轟く排日排英の足音、露地に軋む亡命ロシア人や湯女の嘆き。国際都市を新感覚派の手法で多声的に描く問題作。
紋章紋章
自意識の分裂に悩み戸惑う知識人の久内と、狂気のような熱情をこめて醸造技術の発明に没頭する一途な男雁金。ふたりの対照的な成り行きに、近代の合理的な人間認識と“日本精神というもの”との相剋を見る。漱石、芥川以来の「西欧的近代と向き合う人間」というテーマを内包しつつ、“第四人称”の「私」という独自のスタイルで物語る。晩年の『旅愁』へと向う前の著者中頃の代表的長篇小説。
上海上海
1925年、中国・上海で起きた反日民族運動を背景に、そこに住み、浮遊し彷徨する一人の日本人の苦悩を描く。死を想う日々、ダンスホールの踊子や湯女との接触。中国共産党の女性闘士芳秋蘭との劇的な邂逅と別れ。視覚・心理両面から作中人物を追う斬新な文体により不穏な戦争前夜の国際都市上海の深い息づかいを伝える。昭和初期新感覚派文学を代表する、先駆的都会小説。
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