著者 : 武川佑
恨むな。憎むな。あらゆる声へ耳を傾けよ。そしてーーとこしえの和をなせ。 時は戦国、北の大地。謎多きアイヌの壮年・シラウキが人喰いクマの襲撃から助けた少女はなんと、蠣崎氏当主の娘・稲姫だった。礼として居城に招かれるが、それが思わぬ和人とアイヌの戦の引き金を引いてしまう。 稲は己の無知が招いた惨状を目の当たりにして、和睦には自ら打って出ることを決意する。 一方シラウキも稲姫の姿に心打たれ、少年期の惨劇の清算を和睦へと託すのであった。無頼の女傑、女真族、恐山の怪僧……二人は心強い協力者とともに和睦の中人となりうる出羽国・安東氏のもとへ向かう。 果たして二人は、「とこしえの和」を実現することができるのか。 いま最も注目を集めるヒストリーテラーが贈る、乾坤一擲の本格歴史エンターテイメント。
「武士を生かすも殺すも、わしらの腕一本や」--こう言い放つ気概ある具足師たちが、真田信繁を日の本一の兵(つわもの)にした! 本作の主人公・岩井与左衛門は、南都奈良の具足師(甲冑師)の家に生まれ、修業を積んでいたが、あるとき「ズクを打った」(不良品を作った)と言われ、勘当される。 その才能を惜しみ、目をつけたのが徳川家康。徳川軍が信濃の国衆・真田との戦いに惨敗した理由は、真田兵が身に着けている「不死身(しなず)の具足」にあり、と考えた家康は、与左衛門に真田潜入を命じる。 甲賀の忍びの女と夫婦を装い、真田の本拠地・上田に入った与左衛門だったが、そこで思いがけない光景を目にする。 赤備えをつくった具足師たちの命がけの闘いを描いた、戦国エンタテインメント。真田vs徳川のもう一つの死闘に、手に汗握る傑作長編小説。
2022年の大河ドラマで描かれた、いくつもの野望と愛が交差する鎌倉時代。そんな武士の世への転換点を駆け抜けた人々--源頼朝、北条政子、後鳥羽上皇、和田義盛、そして北条義時。歴史小説の名手たちが彼らの面影を丹念に描き上げた珠玉の小説集! 義時の恋が、政子の激情が、鎌倉の光景をありありと蘇らせる。 朝井まかて 「恋ぞ荒ぶる」 謀略と戦乱の時代に咲いた、北条義時の恋。 諸田玲子 「人も愛し」 若き日の後鳥羽上皇が出会った、悲恋の姫の行く末。 澤田瞳子 「さくり姫」 一幅の仏画に託された、源頼朝の妹・有子の切なる願い。 武川佑 「誰が悪」 猛将・和田義盛が突き止めた、討つべき「真の悪」とは。 葉室麟 「女人入眼」 尼将軍・北条政子が作り上げた、鎌倉という時代の実像。
関ヶ原前夜。東西勢力の境目に位置する越前もまた、混乱のさなかにあった。山深い田舎で育った十三歳の於くらは、越前府中城の炊飯場で下女働きを始める。ある晩、一人夜中まで働く於くらのもとに、城仕えと思しき初老の男がつまみ食いをしにやって来る。於くらの作った夜食を美味そうに頬張るその男は、なんと城主・堀尾吉晴だった。吉晴に料理の才を見出された於くらは、持ち前の機転と思いやりで、天下人の心までをも動かしていくー。越前の田舎娘から、城の台所衆へ。料理の才に恵まれた少女・於くらが、戦乱の世に出会いと別れを繰り返しながら成長していく時代グルメ絵巻!
人の運命を踏みにじろうとする本当の敵は誰か? 峠で茶屋の給仕をする娘・小鼓は、ある日すべてを失うことになる。 都から来た高僧・青蓮院義圓(のちの義教)が、故郷坂本の町を焼き払ったのだ。 義圓は小鼓の父を追って、坂本までやってきたらしい。 なぜしがない足軽にすぎない父の命が狙われるのか? しかも父は「良兼」という小鼓の知らぬ名前で呼ばれていた。 義圓が父に向って刀を振り下ろす寸前、小鼓は父の前に飛び出したーー。 その後の意識は小鼓にはない。 目を覚ました小鼓は、左の肩から先を失っていた。あのとき腕を切り落とされてしまったのだ。 なぜ私が腕を失わなければならなかったのか? 父親は何者なのか? この腕でどうやって生きていけばいいのか。 小鼓は、突如としてこの世の理不尽の渦に巻き込まれることになる。 だが、途方に暮れる小鼓が生き残る道を探る中で、父に手ほどきされた軍略の才能が自らにあることに気づく。 そうだ、誰も助けてくれないのなら、私は与えられたこの「力」で私を助ける! 小鼓は自らの力で戦場を渡り歩きながら父の謎を追い、そしてその謎の解明が、義圓への復讐心を育てていく……。 デビュー作『虎の牙』で歴史時代作家クラブ新人賞を受賞した気鋭の書き手が放つ、渾身の書き下ろし長編。
「俺は、武田を食うぞ」戦国最強を誇った甲斐武田家の落日。家を滅ぼす二人の裏切り者が出る。一人は、武田信玄の腹違いの弟、武田六郎信友。そして、一族衆筆頭、穴山梅雪。「武田の海」を任された二人は、なぜ悲劇の引き金を引いたのかーー。歴史小説界で、いま最も注目される「ヒストリーテラー」武川佑の第二作長編。 「俺は、武田を食うぞ」 戦国最強を誇った甲斐武田家の落日。 家を滅ぼす二人の裏切り者が出る。 一人は、武田信玄の腹違いの弟、武田六郎信友。 そして、一族衆筆頭、穴山梅雪。 「武田の海」を任された二人は、なぜ悲劇の引き金を引いたのかーー。 歴史小説界で、いま最も注目される「ヒストリーテラー」武川佑の第二作長編。
累計18万部を突破し、ますます進化を続ける「決戦!」シリーズ。今回の舞台は鉄砲が雌雄を決した「設楽原(長篠)の戦い」。武田軍と織田・徳川軍、両軍はいかに戦ったのか。徳川信康、武田頼勝、朝比奈泰勝、真田昌輝ら七人の武将の戦いに、七名の作家が挑む。
武田信玄の父・信虎の謎の弟、勝沼信友。「山の民」として育てられたその男は、自らに流れる血の運命にのみ込まれていく。一方、罪を犯して流浪の末武田家に仕官した足軽大将の原虎胤は、その武勇から「鬼美濃」と恐れられ、外様ながら家中で重きをなしていく。乱国甲斐の統一を目指す武田信虎を挟んで、二人の男がある「呪」を背負いながら戦場を駆け巡る。最強武田のルーツを描く、女流ヒストリーテラーのデビュー長編。 本当の戦国の風景を、描きたかった。 「合戦のディテールと迫力、謎とどんでん返しというミステリー要素。呪いが信じられる土俗的世界と貨幣が流通する近代的世界がせめぎ合う独自の戦国を見事に作り出した圧巻のデビュー作だ」(末國善己 文芸評論家) 最強武田家のルーツを描く、女流ヒストリーテラーのデビュー長編小説。 兄のために生き、兄のために死ぬ。 信玄以前の武田家に、最強の虎と牙がいた。 武田信玄の父・信虎の謎の弟、勝沼信友。「山の民」として育てられたその男は、自らに流れる血の運命にのみ込まれていく。一方、罪を犯して流浪の末武田家に仕官した足軽大将の原虎胤は、その武勇から「鬼美濃」と恐れられ、外様ながら家中で重きをなしていく。乱国甲斐の統一を目指す武田信虎を挟んで、二人の男がある「呪」を背負いながら戦場を駆け巡るーー。 序 下総国本佐倉城 第一章 第二章 第三章 終章 大善寺