著者 : 水野衛子
河南省の延津には、夢に現れて笑い話をせがむ"花二娘"の伝説があり、彼女を笑わせられない者は死んでしまうという。そんな延津で伝統劇『白蛇伝』を演じた三人の男女の運命が、花二娘の伝説と絡み合う。中国の茅盾文学賞作家が上質なユーモアで描く最新長篇
終わりなき ネット時代の から騒ぎ 2017年11月に刊行(初版90万部!)されるや 中国で大きな反響を呼んだ最新作、早々に日本語訳が登場! ここ数年、中国のネットを騒がせた事件をまとめて、 実はすべて一人の人物につながっていたとする小説である。 旅先でコールガールになった女性、 手抜き工事で崩落した橋の責任者、元省庁夫人、 美人局をする自警団などなど…。 住む場所も身分も貧富もまったく違う見ず知らずの 四人の男女が描く悲喜劇。 彼らが織り成す荒唐無稽な阿鼻叫喚は、 やじ馬にとってはこの上ない楽しみとなる。 原タイトル「吃瓜時代的児女們」は、 ネット時代に他人の騒ぎを見物して楽しむ人々を意味する。 現代中国髄一のユーモア作家・劉震雲が 辛辣な筆致で現代中国の問題をえぐり出す! 原書については邦訳前からも大注目で、 『週刊 エコノミスト』(2018年5月22日号)の 「海外出版事情」コーナーにて、 元獨協大学教授・辻康吾氏による書評が出ています。
著者の最大の代表作にして、 中国で最も権威ある文学賞の一つである 茅盾(ぼうじゅん)文学賞受賞作! 「出延津記」「回延津記」の全後篇で 70年の歳月を隔てて描かれる大河ドラマは、 中国でテレビドラマ化、 2016年11月には映画も公開されるほどの人気作品。 原タイトル『一句頂一万句』は、 一万句に相当する一句、 つまりは「ひと言の重み」という意味で、 小説中、その「ひと言」が何を示しているのか、 探してみてください。 「前篇の主人公の楊百順こと呉モーゼも後篇の主人公、 牛愛国も妻とは話が合わず、話の合う友人、 あるいは養女、あるいは情人を捜し求めてさすらいます。 他の登場人物たちにとっても話が合う相手を求めることが どんなに難しいことかが描かれています。 人の一生はそういう相手を捜し求める旅なのだというのが 劉さんの言いたいことなのだと思います。 中国の批評家が、この小説は中国人の「千年の孤独」を 描いていると評したのも、なるほどと深くうなずきました。」 (訳者あとがきより)
中国きってのユーモア作家が描く現代中国の素顔! 「潘金蓮」とは? 『水滸伝』『金瓶梅』に登場する、通説では架空とされている女性。 『水滸伝』では、炊餅(蒸し饅頭)売り・武大の妻として登場。 絶世の美女だが性欲・物欲・向上心が強く、 夫を殺して情夫との淫蕩にふける典型的な悪女・淫婦である。 『金瓶梅』では副主人公として描かれ、彼女の名の頭文字が 作品の題名の一文字目として使われている。 本作は、范氷々(ファン・ビンビン) 主演で、 9月に中国で公開予定の映画『私は李雪蓮』の原作です! 本作のヒロイン、李雪蓮は、一介の農村婦人でありながら、 権力にも世俗的な成功者にもまったく臆することなく、 自分が納得いかないことには決して巻かれず、 理不尽な夫や地域の権力者たちに立ち向かう。 あの手この手で彼女を懐柔しようとしたり丸め込もうと する自分の利益しか考えないせこい役人たちの思惑を しっかり見抜き、 自分は、「潘金蓮じゃない」と言って、 自分の足でしっかり生きていくそのたくましさに、 読者は思わず喝采を浴びせたくなる。 独りっ子政策の行き詰まりや、保身に走る役人たちの 滑稽さなど、現代中国の抱える問題点をユーモラスに描く、 劉震雲の傑作長編小説、ついに翻訳なる! 前作『盗みは人のためならず』も併せてお読みください。
台湾中部の山岳地帯に暮らす誇り高き狩猟民族・セデック族。1895年、日清戦争で清が敗れると、彼らの住む土地にも日本の統治は拡大。部族たちの平穏な生活は日々奪われていく。それから35年、部族の有志たちがついに立ち上がる。集落を統べる頭目、モーナ・ルダオは一族の尊厳を胸に秘め、仲間たちとともに日本軍に抗戦する。だが、蜂起軍は日本軍が誇る近代兵器の前に桜の花びらのように次々と散っていき…。台湾全土を席巻した稀代の歴史小説ーついに邦訳化!
罪深い思いから孫を出家させようとする一族の長老、楊万生の話(「賀家堡」)。一家で果樹園の塀を作っているとき、誤って子供を死なせた男のとった行動とは(「塀を作る」)。回族の生活習慣に題材をとった不思議な味わいの2篇。