著者 : 水野麗子
知的好奇心旺盛な侯爵令嬢クララは、「女性らしくない」と興味をおさえつけられ、周囲からは美人なばかりに中身がないと見られて、窮屈な思いをしてきた。結婚に興味がもてず、貧困女性向けの学校の支援に力をそそいでいるなかで、ある生徒から弟がギャング団に誘い込まれたと相談される。 彼女は助けを求めて幼なじみの弁護士ラドフォードを訪ねた。最初は本業が忙しいと断ったラドフォードだったが、一人でギャング団のアジトに乗り込みかねない勢いのクララに押され、引き受けてしまう。冷静で合理的であろうとつとめてきた彼は、自由闊達な彼女に魅了され、隠していた情熱や優しさを解放していく。クララも傲慢な彼に反発しながらも、正面から彼女と向き合ってくれる彼に惹かれていく。
誰とも恋愛したことのない女優のマディが、自分を愛人にする権利をオークションにかけるという大胆な行動に出たのは、ある理由があった。 その噂を聞きつけた貴婦人が彼女をたずねてきて、赤い靴を手渡し、自分の名付け子ネイサンに入札させるので彼を選んでほしいと言う。 ネイサンは愛人契約ではなく結婚したい、ただし貴族に嫌われるようなはすっぱな女を演じてほしいと言うのだが、彼の目的は……
准男爵令嬢ベラは、考古学者である父親に連れられて、中近東で育った。父が病に倒れ、「エイルウィンを探しだせ。地図を見つけるんだ。半分はおまえのもの……ファラオの宝」と言い残し、この世を去ったのは1年前。やっとの思いで英国へ帰郷したが、エイルウィンなる人物は見つからず、弟妹を学校に通わせるためお金を稼がねばと職さがしをするも、英国式のマナーが身についていないためうまくいかない。 意気消沈して過ごしていたある日、ベラの家に亡き父の古い知り合いだという貴婦人レディ・ミルフォードが訪ねてきた。そしてエイルウィンは父の考古学仲間で、かつて発掘場所で墓荒らしに襲われて亡くなったと知らされる。また、エイルウィン公爵の息子、五代目公爵マイルズがエジプト学者になっており、資料を整理するキュレーターを必要としているので志願してはどうかと勧めてくれ、面接用のドレスときれいな赤い靴を持たせてくれた。 こうしてロンドンの公爵邸を訪ねたベラは、社交嫌いで気難しいマイルズに最初は追い返されそうになるが、彼は幼いころ彼女と出会っていたことを思いだした。また、父の死についてベラがなにか手がかりを持っているのではと考えて雇うことを決める。ベラは公爵邸で住み込みで仕事をしながら、ファラオの宝の地図を探そうとするのだが……果たして地図は見つかるのか? マイルズはベラに心を開くのか?大好評、《シンデレラの赤い靴》シリーズ第四弾。
エリザベスは亡き夫の莫大な借金を抱え、人知れず窮地に立たされていた。愛情深く責任感の強い彼女は、領民や使用人の生活を守るため、裕福な貴族との再婚をいったんは決心したが、求婚者に裏切られる。打ちひしがれた矢先に、目の前に現われたのは医師マイケル。上流階級の男性にはない思いやりと行動力に溢れる彼にエリザベスは心惹かれるが、今の窮状を脱するには彼と一緒の未来を夢見るわけにはいかないと、自分の想いから目をそらそうとする。一方でマイケルも、エリザベスの目を見張るような美しさ以上に、身分のわけ隔てなく見せる優しさや機知に富んだ会話に魅了されていた。実は、彼は公爵家の次男で、兄とのいざこざからロンドンを離れ、身分を隠して暮らしているのだがー募る想いとはうらはらに、抱えた秘密のせいで素直になれない二人は…。