著者 : 永幡みちこ
それが恋の芽だと、彼女はまだ気づかない。働き者で健気な娘のシンデレラ・アンソロジー!『しあわせな出会い』父亡きあと、意地悪な継母にこき使われる日々を送るクレシダ。父が遺した家や財産はすべて継母が支配していたが、年老いた家政婦モギーの身を案じ、家を出ていく気になれずにいた。そんなある日、捨て犬を助けた拍子に足を怪我したクレシダは、オランダ人医師のオルドリックに助けられた。その後も気にかけてくれる彼に、クレシダは淡い恋心を抱く。やがてモギーが終身年金を受けられることになり、クレシダもさる老婦人の話し相手の仕事を得て自立することになったーすべてはオルドリックの密かな計らいとも知らずに。『億万長者と無垢な花』貧しい牧師の娘タヴィーは、倒壊寸前の教会の仕事を手伝う傍ら、女学校の冷淡な学長に雑用係として薄給で働かされていた。そんなある日、美しい空き屋敷の湖で涼んでいると、すらりと背の高い黒髪の男性が不意に現れた。「ここは私有地よ。あなたの行為は不法侵入だわ」タヴィーが告げると、相手の金色の瞳が楽しげにきらめいた。「お互いさまだと思うが」なんて不遜な不審者なのかしら?そのときのタヴィーには知る由もなかったー彼がジャゴという名の億万長者で、この屋敷とタヴィーの新たな主人になることを!
結婚後に明かされた真実ーー 伯爵の花嫁は、別人だった! 社交界が注目する今年一番の花婿候補、第7代ダーレストン伯爵ピーター。 上背があり、このうえなく優雅でハンサムな彼は全女性の憧れの的で、 ペニーもまた、密かに彼の魅力の虜になっていたけれど、 まさか自分が、借金のかたに彼の花嫁になるとは思わなかった。 本当は双子の妹が嫁ぐはずだったが、妹には愛する人がいたため、 ペニーが身代わりとなったのだーー目がほぼ見えないという事実を隠して。 つつがなく婚姻が整ったあとで、彼女が本来の花嫁ではないこと、 そして目が不自由なことを告げると、伯爵は怒りに任せて言い放った! 「ぺてん師と結婚したわけか。ぼくが目の不自由な跡継ぎを望むとでも?」 部屋に独り取り残されたペニーは、よよと泣き伏すほかなかった……。 怒りのあまり酷い言葉を放ったピーターでしたが、やがて言動を猛省し、ペニーとの結婚を受け入れます。後継者であるどうしようもないいとこに爵位を譲りたくない彼は、跡継ぎをもうけるための愛なき結婚のつもりでしたが……。『道ばたのシンデレラ』の関連作。
この胸の震えは、いったい何? 傲慢な大富豪への恐怖? それとも……。 11年前、タニアは若気の至りで予期せぬ妊娠をし、独りで出産した。 娘のために都会を離れてチェシャーの小さな町に引っ越した今、 念願の子供靴専門店を開き、新生活を始めようとしているところだ。 身寄りのない母と子だけの生活は苦しかった……。でもこれからは、 大事な一人娘に古着以外の服だって買ってあげられるかもしれない。 そこへ、町の有力者で大富豪のジェイムズが現れ、不穏な言葉を放った。 「義弟に手を出すのはやめろ。さもないと、あらゆる手段で店を妨害する」 いったい何のこと? 完全な言いがかりだわ! 身に覚えがないというタニアの抗議に耳も貸さず、 24時間以内に返事をしろと言い置いて、ジェイムズは去っていった。 冷たい瞳の大富豪ジェイムズは、腹違いの妹とその夫の間をタニアが引き裂こうとしていると思い、怒りのあまり彼女を脅迫します。一方、タニアも彼の脅迫には絶対に屈しないと宣言して……。惹かれ合う男女ならではの激しい火花が散る、P・ジョーダンの名作!
男装をして強がってみせたところで、 きみはもう、大人の女性だ……。 今しがた求婚者を得意の剣術で負かしたレディ・ニコラは、 次に手合わせを願い出てきた相手に驚いたーーファーガス! 初めてファーガスと会ったのは、ニコラが11歳のとき。 親が決めた許婚である年上の美少年の彼に憧れていたのに、 彼は垢抜けない彼女に見向きもせず、幼い恋心を踏みにじったのだった。 12年ぶりの再会。いかにも尊大なファーガスはたくましく、 輪郭もシャープになり、片耳に耳飾りをして野性味にあふれている。 余裕でニコラを負かした彼はしかし、誤って彼女の胸を傷つけてしまう。 すると、すかさず彼女を抱き上げてベッドまで運び、宣言した! 「傷も含め、何もかもすべて、きみはぼくのものとなる」 かつて純粋な想いを傷つけられたニコラは、ファーガスとは結婚しないと心に決めていました。一方、美しく成長したニコラを目にしたとたん、ファーガスは絶対に彼女と結婚することを心に誓うのでした。大きくすれ違う二人の思惑。さて、この恋の行方は何処へ?
記憶をなくした麗しのレディと 金の王と呼ばれた公爵の、秘密。 洒落者の公爵ブラントは事業にも成功し、満ち足りた日々を送っていた。 頭の回転が速く、スポーツ万能で、神秘的な雰囲気の彼は学生時代、 “金の王”と呼ばれていたーー数字に強くてカードの才能があり、 彼が手にした賭金の金貨同様、黄金に輝く髪がその名の由来だ。 そんなブラントにとってただ一つの不安は、ある秘密をあばかれること。 どれだけ努力しても、文字が理解できないのだ。 この秘密がある限り、愛する女性とも、結婚とも無縁だと考えていた。 ところがある日、彼は林に倒れている娘を発見する。じつに美しい! その娘はブラントの顔を見ると、さもしおらしげな様子で囁いた。 「わたし……自分の名前がわからないわ」 19世紀初頭の英国が舞台の、ロマンティックなシンデレラ・ストーリーをお贈りします。名前すらわからないというので、持っていたハンカチーフに記されていた“コリンシア”と呼ばれることになったヒロイン。けれど、彼女もまた大きな秘密を抱えていて……。
裕福な会社社長ライアンは女性たちの理想の男性として名高い。顧客の一人である彼のオフィスを、ローラは週に1度訪れる。だが彼と私語を交わすことはなく、格好も地味なものを選ぶー本当は、ライアンの男性的魅力を意識していることを隠すために。そんなある日、ローラは途方に暮れていた。もう先は長くないであろう祖母を喜ばせるため、つい“運命の男性に出会った”と口走ってしまったからだ。心ここにあらずの状態を、いつもは冷淡なライアンに気づかれ、思わず真実を告げてしまったローラは彼の言葉に唖然とした。「では僕がその運命の男性を演じてあげよう」。
ただの料理人が雇い主に恋心を抱く? 身分違いもはなはだしいわ! 夕暮れの田舎道で、フロリナは高級車に乗った父娘と出会った。 背が高くハンサムな男性と、かわいらしい女の子。 それからひと月後、父娘は村の屋敷を買い取り、引っ越してきた。 病みあがりの父をかかえて生活に追われているフロリナは、 料理の腕を買われ、その屋敷で働くことになる。 週末を田舎でのんびりと過ごす医師の主人、 サー・ウィリアムのために心をこめて食事をつくるーー それが彼女のささやかな喜びになった。 雇い主の彼から見れば、フロリナはただの使用人にすぎないし、 彼は再婚相手も決まっていたのだけれど。 大柄で落ち着いた医師への想いはつのるばかり。でも美人で意地悪な婚約者を前にして、ヒロインは初めての恋をそっと胸にしまうのでした。英国の田園地方の雰囲気を楽しめるうえ、ヒロインが腕をふるう料理やお菓子も味わえる、ベティ・ニールズの傑作です!
かわいい息子のことは言えない。 彼にはもう、別の女性がいるのだから。 ローレンはハンサムな上司マット・チャンドラーと恋に落ちた。 彼の所有する豪勢なヨットで初めて体を重ね、愛を誓ったが、 なぜかチャンドラー家を忌み嫌う母に猛反対される。 毒親の巧みな嘘に翻弄されているとは気づきもせず、 若くうぶだったローレンはマットの愛を疑い、別れてしまう。 傷心のまま故郷を離れ、母から彼が結婚したことを聞いた。 再会は3年後ーー。母の葬儀に、なぜかマットが現れたのだ。 彼は別れたときよりさらに魅力的に見え、胸が苦しくなる。 豊かな黒髪とブルーの瞳。3歳の息子と、そっくり同じ……。 S・マートンによる感動のシークレットベビー・ロマンス。冒頭の再会場面から、過去を遡るかたちで二人の愛の軌跡と別れが描かれます。彼が結婚したことも親の嘘と知らないローレンは、息子のことを伝えられるのでしょうか?
修道院の中で夢見ていたのは、 形だけの結婚なんかじゃなく……。 リリスは10年暮らした修道院を出て、故郷に向かっている途中で、 双子の悪童にさらわれ、見知らぬ城へと連れていかれた。 理由もわからぬまま物置部屋に囚われ、リリスは困惑した。 父の決めた許婚と結婚するため実家へ戻るはずが、なぜこんなことに? やがて姿を現した城の主は、ガイアの領主アレクサンダー。 その大柄な美丈夫の騎士を見て、リリスは思わず身を震わせた。 聞けば、リリスの故郷の川下にあるこの地では、彼女の父が上流を 堰き止めたせいで、暮らしが成り立たずに領民が苦しんでいるという。 くだんの上流の土地がリリスの持参金と知ったアレクサンダーは、 断固として宣言した。「結論を出したーー私とそなたは、結婚する!」 修道院を離れてようやく自由になったとたん、囚われの身になる不運に見舞われたリリス。強引なアレクサンダーに反発を覚えながらも、運命を受け入れるしかないと悟った彼女は、花嫁衣装に身を包みますが……。鮮烈かつ伝説的なドラマティック・ヒストリカル!
苦労して育ててくれた母親に楽をさせるため、 キャシーは有名なクォントラル産業の会長秘書に応募した。 会長が長期出張中のあいだに採用が決まり、 母にも喜ばれ、うきうきと働き始めた2週間後、 彼女は初めて会長のエリオット・クォントラルと顔を合わせる。 すると彼は若く可憐なキャシーが新しい秘書と知るや、 怒りをあらわにし、玉の輿狙いと決めつけてきた! そしていわれのない非難に青ざめる彼女に告げたーー もし少しでも僕に色目を使ったら、すぐに辞めてもらう、と
住み込みの子守りに応募したところ、ファビアンヌは 地味で真面目そうだからという理由で採用された。 雇い主は一流企業を率いる、精悍な美男子ヴェレ・トラダイン。 亡き弟の妻の子を引き取っており、子守りを探していたのだ。 ファビアンヌは胸をときめかせるが、男性といるところを見られ、 それ以来、ヴェレに蔑まれるようになった。 密かに落ち込むファビアンヌは、やがて気がついてしまう。 冷たいヴェレが、死んだ弟の妻にだけはにこやかだ。 彼は義理の妹を愛しているのではないかと……。
シオーナは不安げな面持ちで、義兄ジェイクの前に座った。 16歳のときに母が再婚してから、憧れ続けた義兄だったが、 その蜜月は、もう一人の義兄の死で終わってしまった。 弟を誘惑し、シオーナが破滅へ導いたと信じ込んだジェイクに、 誤解と嘘でねじ曲げられた真実は、決して届かないーー 蔑みに歪んだ瞳で、苦々しげにジェイクは切り出した。 「誘惑する小悪魔め。だが、それも終わりだ。僕は結婚する」 とりつく島もない突然の縁談に、シオーナは一瞬息をのみ…… 捨てきれないジェイクへの想いが砕け散るのをただ感じていた。
乙女の心を奪っておきながら、 愛にこたえない狼男爵。 兄の友人、ウォーリック男爵レイナーとの出会いは鮮烈だったーー 彼が宮廷の一室に立つと、室内が静まり返った。 人波が割れ、狼のように野性的でいて優雅な彼が目の前に現れた瞬間、 エリザベスは生まれて初めて男性に心を奪われたのだった。 翌日、兄に会いに来たレイナーと再会したエリザベスは、 遠くに住む彼にもう二度と会えないと思うと胸が苦しくなり、 彼をもっと知りたいと切望するあまり、口づけを交わしてしまった。 すると、それを兄に見咎められ、二人は結婚を余儀なくされる。 しぶしぶ求婚するレイナーの冷たい表情に、エリザベスは青ざめた。 花嫁になるのなら、望まれて迎えられたかったのに……。 宮廷で初めて会ったとき、恋に舞いあがるエリザベスとは違って、レイナーはちらりと一瞥するだけで彼女に興味を持ちませんでした。そんな女性も愛も信じない彼との結婚生活は、夢に思い描いていたのとは異なる、夫婦なのによそよそしくされるつらい日々で……。
イタリア人実業家リカルドの秘書アンジーは転職を考えていた。何年も彼の手足となって働き、ときには恋の後始末さえしてきた。──日ごとにつのるリカルドへの想いはひた隠して。彼にとって私はただの地味な秘書。このままでは惨めすぎるわ。ところがオフィスのパーティが催される日、突然リカルドから美しい赤いドレスをプレゼントされて、アンジーは驚く。ドレスに着替えたアンジーはまるで別人のように魅力的に変身し、リカルドのエスコートで夢のような一夜を過ごした。そして翌朝、夢は儚く消えた。彼に冷たくあしらわれたばかりか、トスカーナ