著者 : 江上剛
■平穏な「ゴルフ・シティ」に殺意が芽生えた。執念の刑事・冨田場波(とみたばなみ)警部の事件簿全4話。 埼玉県郊外の流星市(架空)は、豊かな自然を活用した「ゴルフ・シティ」。 ゴルフが市民スポーツとして浸透し、良識ある住民たちがのどかな生活を送っている。 主人公・冨田場波は家庭では「冴えないおじさん」だが、現場に行けば鋭い推理と巧みな話術で犯人を追いつめるベテラン警部。 当番の日にこっそりと、家族で昼食を楽しんでいたその最中、名門「春山ゴルフクラブ」の18番ホールで水死体が発見されたとの一報が入る。 平穏な街と清々しいゴルファーたち。そのベールを剥がすと、見えてきたのは嫉妬・確執・軋轢の渦だった…(第1話 理事長) 市営ゴルフ場の17番ホールのOBゾーンにある雑木林で、プレー中だったとみられる男の刺殺体が発見。背後から心臓に向けて鋭い刃物で刺されたことが直接の死因のようだが、それとは別に左手首をざっくりと切りつけられている。この2つの傷が意味するのは…(第2話 OB) ほか2編。 「喜劇」、「ショートショート」、「人情劇」などさまざまな手法を駆使して「人間の『善』と『悪』」を描き出した、「小説 ゴルフ人間図鑑」の待望のシリーズ第2弾。 今作は、部下思いの人情に厚い警部を主人公に、さらに切れ味鋭く人間ドラマを描き出す。
2011年の東日本大震災で津波による被害を受け、福島で二百年以上続く、日本酒「福の壽」を造る矢吹酒造所も何もかもすべてが流された。地震後の原発事故により、町に住むことさえできなくなった八代目の蔵元・光は、酒蔵の再建を断念していた。そんななか、津波に襲われたときに一人の少女を救えなかったことを今でも悔やむ光が、テレビ番組の取材を受ける。その映像をきっかけに次々と若き協力者が現れ、光は再び酒造りに挑む!
ゴルフは人間の「善」と「悪」を暴く。 芝生の上の人間劇八話。 ここに描かれているのはあなたかもしれないーー。 ・スーパーマーケット企業の社長・榊原は昔から勝利への執念が強く、勝つためならグリーン上での不正も当たり前かのように犯す。秘書室長・望月は榊原を諫める役割を任じられるが、実は榊原は高校時代の同級生で距離感の取り方が難しい。望月は榊原の悪癖を咎められるのか…?(第一話 榊原社長のパット) ・テレビ局会長には二つの悩みがある。一つ目は頻繁に社長交代して後継者の芽を摘んでしまうこと。もう一つの悩みはゴルフで「卵を産んで」しまうこと。OBを誤魔化すために別のボールでプレーを再開してしまうのだ…(第二話 篠田会長のOB) ・部長のいやがらせに耐えかねた修一は部署のゴルフコンペで一矢報いる復讐を計画。その秘策とは?(第三話 肥料部桂木のシャンク) 豊富な社会経験を活かしてビジネスマンの群像を活写し続けてきた著者による、ゴルフを通して人間の本性を露わにする短編集。職場での人間関係やプレッシャー、組織の価値観と自分の信念の乖離、招かれざる理不尽、そんな束縛や重圧を抱えながら日々を乗り越えているすべての人々に、ゴルフを通して「ヒント」と「エール」を届ける。 笑いあり、涙あり、学びありの現代人必読の一冊。
権力の座を望む長女、その姉を恐れる次女、父親が気がかりな三女。日本一の家具店を一代で築いた“家具王”宝田壮一だが、寄る年波には勝てず、また後継者選びにも悩んでいた。三姉妹も役員だが、それぞれの強い思いが不協和音となり、家族間に暗い影を落とす。一族を取り囲む社員たちに加えて投資ファンドの策謀が絡み、影は濃く、深くなるばかり。宝田家具には“破滅”への道しかないのか!?家族の“絆”は、幻想にすぎなかった。『リア王』を下敷きに、古くて新しい家族の悲劇を描いた意欲作。
憎まれて世を渡れ! 華々しい経歴の一方で、悪評も多かった稀代の実業家の生涯に迫る歴史小説。 日本の電力事業の基礎は、この男が築いた! 明治元年、貧しい家庭に生まれた桃介は、大いなる野望を抱いて慶應義塾に入学。福澤諭吉にその才能を認められ、娘婿となることと引き換えにアメリカ留学を果たす。帰国後、結核や妻との不和に苦しむも、相場で財を成した桃介に対し、世間からの評判は厳しかった。自身が何を為すべきか悩んだ桃介は、急流木曽川を舞台に水力発電に挑む。そこから関西電力・中部電力の礎を築いて、ついには「電力王」と呼ばれるまでに至った男の仕事観と波瀾の人生を描いた渾身の長編小説。 目次 プロローグ 第一章 美少女 第二章 名門 第三章 アメリカ生活 第四章 新入社員 第五章 失意の時 第六章 裏切りは世の常 第七章 勤め人の生き方 第八章 電力は面白い 第九章 木曽川開発 第十章 桃介流に愉快に生きる エピローグ 参考文献
花浦久兵衛は父の弥兵衛が明治維新後に設立した花浦財閥の総帥を受け継いだ。一九四五年の敗戦後、GHQ主導による財閥解体の危機に直面し、苦悩する久兵衛。やがてGHQ参謀第二部のキャノン中佐率いる一団が花浦邸を接収し、傍若無人に振る舞い、屋敷は滅茶苦茶にされてしまう…。花浦財閥存亡の危機に、久兵衛が下した決断とは?疲弊した現代日本を逆照射する歴史経済巨編!
個人のツイートに始まる金融壊滅を描く、予言的金融サスペンス巨編!中学生が弱小地銀の支店に並ぶ人に聞いて「銀行が危ない」と、ひと言ツイートしただけで、取り付け騒ぎに発展する。折しも新型ウイルス感染症の蔓延で経済状況が逼迫する中、地銀発の銀行連鎖破綻を予測していた金融庁の局長は、実態調査のために部下を現地に送り込む。彼らがそこで目にしたものはー?
娘の無念を晴らしたいー伊地知耕介に連絡をしてきたのは元上司。彼の娘は28年前に惨殺され、犯人は不明のまま。その事件の真相を獄中の死刑囚が語り始めたという。一方、伊地知はカメラアイの能力を持つ部下の悠希と「地銀の雄」さざなみ銀行の不正融資疑惑を追う。ふたつの事件が交錯するとき、伊地知は拳銃に手をかける。江上剛史上最もキケンな、ハードボイルド金融エンターテインメント!
大日朝日銀行広報グループにかかった一本の電話。暴力団がからんだ不正融資の告発だった。電話を受けた峰岸貴之は、反社会的取引解消の特別任務を命ぜられた。合併再編によって生まれたメガバンクの派閥争いに振り回されながら、峰岸が「巨悪」に挑む!実際に広報部員として不祥事に対応した著者が、正義感溢れる中堅バンカーの奮闘を描いた意欲作!
戦争から東京に戻った藤田俊雄は異父兄とともに、スーパーマーケットを開業、店舗網を広げ成長を遂げる。どん欲に売り上げを追う仲村力也、消費にも文化を、と訴える大館誠一ら、ライバルたちと競い合いながら、戦後の日本の流通業界を大きく変えていく。作家・江上剛氏がカリスマ経営者の姿を描く。
スーパーマーケットチェーン、フジタヨーシュウ堂に転職。有能な働きで頭角を現したビジネスマン、大木将史。米国出張で偶然出会ったコンビニエンスストアを日本で展開し日本の消費者の暮らしを大きく変えた彼を待ち受けるものとはー。作家・江上剛氏が描くカリスマの運命とは。
【文学/日本文学小説】転籍人事にかちんときた実力副社長、リストラを完遂した途端に自分の首を切られた人事部長、合併銀行の派閥を背景にした熾烈な社長レースなど、「非情人事」を拝命した企業人の複雑な思いと行動を、鮮やかな筆致で描いた短編集。
試験的にAIロボットを導入した第七明和銀行。高田通り支店の庶務行員・多加賀主水は、AIに負けじと雑用をこなしていた。ところがある日、主水は友人の木村刑事に放火の疑いをかけられ、署に連行される。聞けば“高田町稲荷の遣い”を騙り、町内の嫌われ者の自宅に「天誅」と称して放火する輩が出没しているらしい。潔白を訴える主水は、町を脅かす巨悪と対峙する!テレビドラマ化された痛快銀行小説シリーズ第4弾。
すごい経営者がいた! 日本オリジナルの合成繊維の事業化、そして国交回復前の中国へーー。 敗戦後の日本人の誇りを取り戻させた大原總一郎の激動の人生を描いたノンフィクションノベル。 松下幸之助に「美しい経済人」と評された稀代の経営者・大原總一郎ーー。 数々の分野でシェアNo.1を誇る企業=現在のクラレを創り上げた男の生涯は、波乱に満ちたものだった。 国産第一号の合成繊維「ビニロン」の事業化や、国交回復前の中国へのプラント輸出……。激動の昭和史を背景に、“百年先が見えた経営者”と言われた男の生涯を描く感動の企業小説。 『天あり、命あり』を改題。
絶対的権力者の専横、目先の利益を追う者たち…すべてを破壊せねば、再生はできないーこの男なくして、「住友」は語れない。危機に瀕した住友を救った“住友中興の祖”伊庭貞剛の、知られざる生涯に迫る感動のノンフィクション・ノベル。
本業消滅!? 未曾有の危機に立ちあがった男たちがいた! 富士フイルムの“V字回復”をモデルにした感動のノンフィクション小説。 日本写真フイルムは未曾有の危機に陥っていた。デジタルカメラの台頭により、本業であるフィルムの需要が急激に消滅しつつあったのだ。この「本業消失」という非常事態に際し、立ちあがった者たちがいたーー。これまでフィルムで培った技術を生かして未経験の化粧品開発に挑み、数々の困難を乗り越え、大ヒットブランドを生むまでの社員たちの苦闘を描く感動のノンフィクション小説。富士フイルム・古森重隆会長との特別対談を収録。 『断固として進め』を改題。
大手銀行の執行役員にまでのぼりつめた大谷俊哉。東京で勝ち馬に乗った人生を歩んできたものの、仕事への“情熱”など、とうに失われている。妻はもとより、十数年来の愛人・麗子との関係もマンネリ化。そんな中、兵庫県丹波にある実家の母が死んだ。地元で暮らす妹は嫁いだ身を理由に、墓を守るのは長男の役目だと言って譲らない。妻は田舎の墓に入りたくないと言い出す。ああ、俺にはお前しかいない…「一緒に墓に入ってくれ」。麗子に勢いで言ってしまった。そして、順風満帆だったエリート人生が狂い始める…。「墓じまい」をテーマに描く、大人の人生ドラマー。
「私は悪い人間です」そう書き遺し、第七明和銀行高田通り支店の若手行員樋口が死んだ。警察は自殺として処理するが、庶民行員の多加賀主水は、新田秘書室長より「死の真相を追え」と指令を受ける。吉川頭取たっての調査依頼だった。生前の樋口の交友関係を辿ると、悪徳政治家や貧困女子、不倫相手らが浮かび上がるが…。樋口の無念を晴らすべく、主水が悪に天誅を下す!