著者 : 池央耿
架空戦争に敗れたジェヴレンの社会は倦怠の極にあった。いくつもの新興宗教が生まれ、人々はジェヴェックスというコンピュータによって作られる架空世界が与えてくれる快楽に酔いしれていた。そんな社会に秩序をもたらすため、おなじみのメンバー-ハント博士、ダンチェッカー教授たちが惑星ジェヴレンに乗り込むこととなった。
ジェヴレンに乗り込んだハント博士らは、ある日突然全人格が他者のものとすり変わってしまう人物が、ジェヴレン社会に頻出していることを知った。アヤトラと名づけられた彼らは、人格変換のために狂ってしまうこともあったが、たいていは新興宗教の活動家となっている。その人格変換の正体を探るうち、ハントは新しい人格がストレスのせいで異常をきたした精神のもたらすものではなく、まったく別の宇宙から、コンピュータ・ネットワークを通じて送り込まれてきていることを発見した。われわれの想像を超えた新しい宇宙がどこかに存在している。その宇宙の正体とは何か?新しい宇宙からの侵略を、ハントたちは止めることができるのだろうか?
スペイン本土から独立の気運が高まる地中海の島メノルカ。この地で観光業を営む英国人スティールの前に二人の男が現われた。一人は過激な独立運動家と関係をもつ謎の男エヴァンズ。そしてもう一人は彼を追う英国海軍士官ジョーンズ。彼らはそれぞれある特別な目的のためにこの島を訪れたのだ。やがで奇しき運命の絆が二人を結びあわせ、地中海楽園は一転、戦いの渦中に。巨匠が独立に揺れる島を舞台に放つ冒険巨篇。
モスクワ駐在のCIA工作担当官フランクリンの若い妻アンは、夫の本国勤務を渇望している。そんな折り英国外務事務次官の息子ブリンクマンが、MI-6の新米工作員として当地に赴任してきた。フランクリンの再度の単身帰国に疑惑を抱いた野心家ブリンクマンは、アンに接近しCIAの情報=ソ連党中央委員の政治亡命=と彼女の心まで手にしたが…。CIA対MI-6の大作戦。
アシモフ自身がでくわした奇怪な人間消失事件を元にした「待てど暮らせど」や、カーに挑戦せんと意気込んで書かれたシリーズ初登場の密室もの「秘伝」など、ご存じブラック・ウィドワーズの面々の侃侃諤諤、喧喧囂囂、甲論乙駁の推理合戦と、名給士ヘンリーの快刀乱麻を断つ解決ぶりが鮮やかな好評連作ミステリ、第5弾登場。
戦火のアフガニスタン。白旗を掲げ、ヒンズークシの渓谷を登るソ連軍のジープ。車上には、寒村の教師として赴任している妻ポーラを迎えにきたヤクーシェフ大佐がいた。だが、母国と夫に不信の念を抱き、今は反政府ゲリラの首領ハーンに思いを寄せる彼女は同行を拒絶。警告を残し、大佐は去った…。-武装ヘリの機銃掃射、山々に谺する砲声。村は潰滅し、ソ連兵の凌辱を受ける女たちのなかにポーラがいた…。
“聖戦の時は満ちたり!敵を殱滅せよ!”地下抵抗組織〈百合〉を率いる謎の女。神託を下す彼女の身には、預言者マホメッドの子が宿っているという…。-ハーンを指導者とする反政府ゲリラの勇猛果敢な抵抗、思想教育に送り込まれたロシア人女性ポーラの数奇な運命、その夫ヤクーシェフ大佐の野望、紛争を取材するイギリス人カメラマンの心の葛藤…。ソ連軍侵攻直後のアフガニスタンを舞台に展開する感動のスペクタル巨編。
二重スパイ・ハートマンは、もう引退したかった。病床の妻は死に、息子は独立した。金のための嫌な仕事をする必要はない。そろそろ老いも感じる。しかし、あまりに卓越したその経歴のため、二大国の情報部は決して彼を自由にしてくれなかった。だが、ついにチャンスが訪れた。彼の身代りになってくれそうな男を見つけたのだ。人並みの幸せを夢みたスパイが立てた完壁な作戦とは?
20世紀末のある日、ニューメキシコ砂漠の天文台が、奇妙な電波信号をキャッチした。それは厖大な素数系列で、発信源は26光年彼方のヴェガ系惑星と判明した。地球外知的生物からの電波探査機関〈アーガス〉の責任者エリーが、待ち望んだ瞬間だった。世界の専門家が協力しついに信号は映像化されたが、スクリーンに現われたのは、あまりにも意外な…。著名な天文学者の処女小説。
ヴェガ系惑星から届いた〈メッセージ〉解読のため、世界中の知識が総動員された。やがてそれはある機械の設計図であることが分った。再び全世界の協力の下で作り上げられたその〈マシーン〉に乗って、エリーたち5人の地球人代表が、ヴェガに向けて旅立つことになったー。宇宙の先進文明との接触を主題にして、最新の科学情報を基盤に、著者の卓抜な空想が展開する雄大な叙事詩。
荒削りな美しさを湛えた英国コーンワル海岸に、黒い波が打ち寄せた。大型タンカーが座礁し、大量の原油を流出させたのだ。海辺に住む元航海士ローダンは汚染対策に奔走するが、その矢先、妻カレンが思いあまって原油に放火、自らも炎に呑まれてしまった。ローダンは、座礁後に逃亡したタンカーの機関士を事故の責任者と断定、妻の復讐を誓う。だが機関士の足どりを追ってホルムズ海峡へ飛んだ彼を待ち受けていたのは、西側世界を震撼させる未曾有の陰謀だった!亡き妻の面影を胸に、孤独な戦いを挑む男の姿を描く巨匠渾身の力作海洋冒険小説。
地底深くに眠る黄金の鉱脈、それは欲望と野心に燃える男たちをとらえてはなさない魔力を秘めているかのようだった。新鉱山所長となったロッドも策謀に巻き込まれ、破断層への掘削を部下に命じた。だがその地層こそは多量の地下水を貯えた禁断の地層だった。大自然の脅威にさらされた南アフリカの金鉱山を舞台に、男たちの闘いを活写した冒険巨編。