著者 : 河合莞爾
東京ティーレックスの絶対エース・矢神大、失踪ー。日本中が大騒ぎになる中、ブルペンキャッチャーの沢本拓は、わずかな手がかりを頼りにハワイへ飛び、ホームレスになっていた矢神を発見する。矢神は記憶障害に陥り、ボールの投げ方を忘れてしまっていた。何とか再起させたいと願う沢本、だが球団は矢神に戦力外を通告する。そんなある日、矢神は自宅の地下で手書きのノートを見つける。そこには自分の投球技術に関する詳細な記録と、奇妙な告白が書かれていた。矢神が昔投げて、人を殺した「消えるボール」は封印する、とー。矢神の豪速球は復活するのか。そして、殺人の告白に隠された驚くべき秘密とは。
クリスマス・イブの夜、残業をしていた飛田旅人のもとに突然動画メッセージが届く。「このままでは死んでしまう。あたしにスズランを届けて」。動画ファイルの作成日付は2826年12月24日。メイと名乗るその少女は何者なのか。なぜスズランが必要なのか。旅人はメイのために、“ある方法”を使って、800年後の未来に旅立つことを決意する。
経営危機に直面した中小電機メーカー「ソルケイア」の社員、曾根の遺体が自宅マンションのテラスで発見された。死因は感電死。曾根は自社の太陽光発電装置の開発中に「水が燃えた」と周囲に漏らしていたという。一方、大手メーカーをリストラされソルケイアに中途入社した平原は、人事課長として「ある3人の社員を退職させてほしい」と花園社長から命を受ける。リストラ候補者となった社員と面談を重ねた平原は、やがて3人と曾根との奇妙な関連性に気づく。果たして曾根の死は単なる事故死なのか、それとも殺人か。そして水は、燃えたのかー。
伊勢屋の婿養子がまた死んだ!婿をとったお嬢さんは滅法器量よし、お店は番頭任せで昼間から二人きり。新婚は、夜することを昼間する、なんざ、それは短命だ…。ところがご隠居さん、次々に死んだお婿さんの死に方を聞くと、何やら考え始めてー。(「短命の理由」)古典落語の裏側に隠れている奇妙なミステリー、ご隠居さんの謎解きが始まる!
死体の足元に落ちた「黒い天使」のトランプー。カジノで借金漬けだった老人の死亡事故を探っていた刑事・諏訪光介は、その日本初のカジノを管轄下に置く聖洲署に異動になる。煌びやかな街の中を謎の自警団が跋扈し、警官は汚賄塗れ。だが、諏訪がその闇に踏み込んだ時、潜んでいた巨大な敵が牙を剥いた!未来を予測する、新警察ミステリー。
蔓延する違法薬物の陰で進む“完全な麻薬”の開発。犯人5名を“射殺”した元刑事と非合法捜査を厭わぬ女麻薬取締官が潜入捜査で炙り出す、“依存”の闇と驚愕のW計画とは?起こりうる近未来の薬物犯罪を描く、黙示録的警察小説!
東京の山間部、廃牧場のサイロで、16年前に失踪した女子大生・咲の死体が発見される。咲は胸を鉄パイプで貫かれ空中を飛んでいるようだった。翌週には、湾岸の高層ホテル屋上で殺人事件が発生。犯人は空を飛んで逃げたかのように姿を消していた。警視庁捜査第一課の鏑木班は、二つの事件に公安部の影を感じながらも、密かに捜査を進める。やがて、咲がかつて在籍していた「タンポポの会」という環境サークルにたどり着くがー。
多摩川の河川敷で臓器を抜き取られた猟奇死体が発見された。警視庁捜査第一課の警部補・鏑木率いる4人の特別捜査班は、現場に残されたトンボのネックレスを手掛かりに群馬県の奥地の村へ向かう。やがて被害者は村出身の青年・遊介と判明。20年前に起きた夫婦殺害、ダム建設反対運動、巨大トンボ伝説など、事件との関連が次々と明らかになり混迷を極めていく。鏑木班は遊介の幼馴染みである泉美と建のふたりに事情を聴くが…。
北米先住民を虐殺した騎兵隊長が「神の木」に登り、神の怒りに触れ串刺しになった。その伝説が今なぜ再び…?連続する串刺し事件、痕跡を残さず消えた犯人。ゴルフ界の王者は、なぜ頂点を極めた直後に突然引退したのかー。捜査に巻き込まれた天才プロゴルファーが、ついに辿りついた切なすぎる真相とは。世界トップクラスのゴルファーたちの誇りと友情が輝きを放つ傑作。
粗忽者で有名な熊五郎の長屋に怒鳴り込んできた、これまた粗忽者の八五郎。「熊、おめえ浅草の浅草寺で死んでるぞ。この粗忽者め、死んだのに気がつかねえで帰ってきやがったな?」-いかにも落語ならではの粗忽噺『粗忽長屋』。しかし、浅草寺で行き倒れていた「熊五郎に瓜二つの死体」の正体はいったい?(表題作)。名作落語をもう一捻り、楽しさ溢れる推理落語開演!
東京の山間部、タンポポの咲き誇る廃牧場のサイロで、空中で刺殺されたとしか思えない異様な死体が発見された。被害者は16年前に行方不明になった女子大生・日向咲。捜査第一課の警部補・鏑木鉄生は、部下・姫野広海の口から「空を飛ぶ娘」という昔話の存在を知る。翌週、今度は都心の高層ホテル屋上で殺人事件が発生。だが犯人は空を飛んで逃げたかのように姿を消していた。やがて二つの事件の接点として、咲が大学時代に所属していた「タンポポの会」というサークルが浮上するー。