著者 : 河村真紀子
青春時代にテレビのリアリティ番組に夢中になったメラニー。彼女は今や、サミーとキミーという兄妹の母となり、YouTubeで彼らの動画を公開し、何百万人もの視聴者を獲得している。サミーとキミーはキッズインフルエンサーとして有名になり、たくさんのスポンサーがついていた。しかしある日、かくれんぼの最中に六歳のキミーの姿が消えた。誘拐が疑われ脅迫状も届く。金目当てか?成功者への嫉妬か?怨恨か?小児性愛者か?パリ司法警察局が捜査を開始し、メラニーと同世代の警察官で捜査記録官のクララも事件を精査しはじめる。クララもかつては、親に隠れてリアリティ番組を見ていた少女だった。ネット社会で翻弄される人たち…。そしてSNSネイティブの子供たちの未来を知る人はまだいない…。SNS全盛の現代、子供たちを、そして人々を待ち受ける闇をミステリ的筆致で描いた恐ろしくも予言的な問題作。母親は言う。「我が家では、子供が王様なんです」と。
バカンスで1カ月間バリ島に滞在した主人公は、帰国が1週間後にせまったある日、年老いた治療師のもとを訪れる。ところが突然「あなたは不幸な人ですね」と言われ…。老治療師と主人公の対話によって、人がいかに“思い込み”に支配されているかが明らかになっていく。思い通りの人生を生きるために大切なこととは?フランスのベストセラー、待望の文庫化。
わたしは21歳まで男性に触れられたことがなかった。処女だった。一生ずっと、喜びも痛みも経験できない気がしていた。身体が疼いていた。でも、わたしは醜い。わたしの醜さは、まさに悲劇だ。ある時、わたしはモデル募集の奇妙な新聞広告を見つけた。醜さは「特徴」なんだろうか?でも、もし採用されれば、生まれて初めてだれかの強い視線を浴びられる。心を決めて、わたしは受話器を手に取った。こうして、わたしは40歳前後のカメラマン、ジョアキム・ケレルマンと出会った。彼の背は低く、肌は疲れ、髪は薄くなり始めている。それでも、わたしは彼を愛するように…。
わたしはパリ郊外のパラダイス団地でママと二人暮らし。パパは家族を捨てて故郷のモロッコで再婚した。ママは清掃員の仕事をしてるけど、フランス語がうまくないし、バカな上司のせいでほんと苦労してるんだ。よく泣いてる。わたしも高校に友だちはいないし、おしゃれなんてするお金もない。でもでも、落ち込んでたってしかたない。きっといいことがあるんだと信じていたら、わたしの前にひとりのニキビづら男子が現われた。最初はアホで無神経でイヤなやつだと思ったんだけどな…フランス暴動で話題となった郊外に住む移民たちの生活をポジティブに、ユーモアたっぷりに描く珠玉のデビュー作。
純粋さゆえの破壊的な生を鮮烈に描く、“第二のサガン”、十七歳のデビュー作。わたしの名はシャルレーヌ、十九歳。夜になると静寂と孤独が支配するこの独房での生活も、まもなく二年になる。幼いころからわたしは、いつも何かを恐れていた。学校でも周囲にうまくなじめず孤独だった。生きるのがつらく、喉の奥に何か詰まっているみたいで、息をするのも苦しかった。そんなある日、サラが目の前に現われた。はじめて自分を理解してくれる存在に出会い、わたしは幸せだった。だが、やがて何かが狂いだす。失われた友情を取り戻そうとすればするほど、サラの冷酷さはエスカレートした。そして、長くつらい日々の末、わたしはある決心を固めるが…。傷ついてもなお突き進まずにはいられぬ思春期を描き、全仏を騒然とさせた衝撃作。