著者 : 泉京鹿
文学好きな房思キと劉怡婷は、台湾・高雄の高級マンションに暮らす幼なじみ。美しい房思キは、13歳のとき、下の階に住む憧れの妻子ある五十代の国語教師に作文を見てあげると誘われ、部屋に行くと強姦される。異常な愛を強いられる関係から抜け出せなくなった房思キの心身はしだいに壊れていく…。房思キの日記を見つけた劉怡婷は、5年に及ぶ苦しみの日々の全貌を知り、ある決意をする。
大地の骨が折れるように暑い七月の黄昏。伏牛山脈のある村で謎の病「夢遊」が伝染しはじめる。昼の世界の秩序は崩壊し、隠された欲望をむき出しにする人々。父母が営む葬儀用品店を手伝う一四歳の少年・李念念は、夢遊をのがれて夜の闇を直視する。遺体を火葬する際に出る屍体の油、葬儀用の花輪や金箔の冥紙、果てしない略奪と殺戮、そして念念の隣家に住む著名作家の閻連科…。夢遊の闇を取りはらう太陽は果たして生き返るのか。現代中国の矛盾を正面から描き、本国では発禁処分の続く作家が到達した奇怪なる最高傑作。閻連科文学の極北、第6回紅楼夢賞受賞。
台湾・高雄の高級マンションに住む13歳の文学好きな美少女・房思〓(ファンスーチー)は下の階に住む憧れの50代の国語教師に作文を見せに行き強姦され、その関係から抜け出せなくなる…世界の裏側を見てしまった少女のもう一つの愛の物語。台湾社会を震撼させた、実話に基づく傑作長篇。
君の手作りの数学テスト、制服の背中に残る青いペンのあと、夏の夜、見上げた空のリンゴのような月、どの瞬間も、君の事しか思い出せない。愛おしくもカッコ悪い、僕の10年間ー。
「あなたって本当に幼稚」。優等生だし可愛いし、だけどクールな君が、ある日、後ろの席にやってきた。勉強嫌いの俺に、容赦ない指導を繰り出す君。放課後の教室、帰り道、いつの間にか俺の毎日は、その笑顔でいっぱいになっていた。誰もが、切なくて愛しい「あの頃」を思い出す、青春ラブストーリーの翻訳版。
金の便器にまたがり宇宙遊覧を夢みる現代中国の大富豪・李光頭は、かつて公衆便所で覗いた美女の尻の話でタダ飯にありつく田舎町の「尻ガキ」だった。彼には血のつながらぬ偉丈夫な父と、宋鋼という兄がいたが、文化大革命の濁流はささやかな家族の幸せも押し流していく。中国で刊行されるや大ベストセラーとなった傑作長篇小説。
廃品回収業から身を起こした李光頭はのし上がり、女好きが高じてついには「処女膜美人コンテスト」を開催する。一方公営工場を失職した兄・宋鋼は、豊胸クリーム行商人として辺境をさすらう。大絶賛された文革篇に続く開放経済篇は、金と欲望にまみれた現代中国を下品すぎる描写で活写し、顰蹙と議論を巻き起こした大問題作。
中国80后のやるせなくもせつない10代の破片と、静かに崩れていく少女の心を鮮やかに紡いだ、美しくて残酷な幻想的青春小説。ロックバンドのボーカルとしてデビューし、女優としても多数の映画に出演する中国のスーパー・スターの最高傑作、日本解禁。
「母さん、安心して。最後に一杯しかご飯がなかったら、弟に食べさせてあげる」隣人が隣人をおとしいれる文革の時代に、出会ったふたつの家族。男は、やさしい男の子をつれ、女は、つよい男の子をつれていた。ふたつの家族はひとつになり、ふたりは兄弟になったー。
問題児だった弟は、商機をみつけ大富豪に。実直だった兄は、職を失い落ちぶれる。処女膜美人コンテストに豊胸クリーム行商。欲が欲をよぶ開放経済の荒野の果てに、兄と弟がみたものは。
仮想空間に紡ぎ出されたリアルな愛と孤独の感覚が大都会に棲む若者たちの心を震わせる。上海で、北京で、南京で、ネット世代が熱狂して、泣いたこれが現代中国インターネット文学の最高傑作。
クレイジーであればあるほどいい。平凡な人びととありきたりの生活に抵抗する方法、それが「クレイジー」。上海が生んだ世界的大ベストセラー女性作家が描き出す狂気、自由、堕落、色情、優美、欲望…。