小説むすび | 著者 : 浅井晶子

著者 : 浅井晶子

行く、行った、行ってしまった行く、行った、行ってしまった

ドイツの実力派による〈トーマス・マン〉賞受賞作  大学を定年退官した古典文献学の教授リヒャルトは、アレクサンダー広場でアフリカ難民がハンガーストライキ中とのニュースを知る。彼らが英語で書いたプラカード(「我々は目に見える存在になる」)について、リヒャルトは思いを巡らす。  その後、オラニエン広場では別の難民たちがすでに1年前からテントを張って生活していることを知る。難民たちはベルリン州政府と合意を結んで広場から立ち退くが、彼らの一部は、長らく空き家だった郊外の元高齢者施設に移ってくる。  難民たちに関心を持ったリヒャルトは、施設を飛び込みで訪ね、彼らの話を聞く。リビアでの内戦勃発後、軍に捕えられ、強制的にボートで地中海へと追いやられた男。命からがら辿り着いたイタリアでわけもわからず難民登録されたが、仕事も金もなくドイツへと流れてきた男。  リヒャルトは足繁く施設を訪ね、彼らと徐々に親しくなっていく。ドイツ語の授業の教師役も引き受け、難民たちとの交流は、次第に日常生活の一部となっていくが……東ドイツの記憶と現代の難民問題を重ね合わせ、それぞれの生を繊細に描き出す。ドイツの実力派による〈トーマス・マン賞〉受賞作。

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謎めく敵意。食い違う過去。彼女は何を知っている? オーストリアの田舎に暮らす、カンボジア移民のキム。その誕生日の祝いの席に突然現れた女性は、少年の頃にポル・ポト政権下のカンボジアを共に逃れた妹のような存在であり、同時にキムが最も会いたくない人物だった……。 かつての過酷な日々に、いったい何が起こったのか? 『国語教師』でドイツ推理作家協会賞を受賞した著者による、最新文芸長編。 【著者プロフィール】 ユーディト・W・タシュラー 1970年、オーストリアのリンツに生まれ、同ミュールフィアテルに育つ。 外国での滞在やさまざまな職を経て大学に進学、ドイツ語圏文学と歴史を専攻する。 2011年『Sommer wie Winter(夏も冬も)』で小説家デビューし、現在は専業作家として家族とともにインスブルック在住。2014年に『国語教師』がフリードリヒ・グラウザー賞(ドイツ推理作家協会賞)を受賞した。 その後も精力的に執筆を続けており、本書は邦訳2作目にあたる。 【訳者プロフィール】 浅井晶子(あさい・しょうこ) 1973年大阪府生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程単位認定退学。2003年マックス・ダウテンダイ翻訳賞受賞。 主な訳書にパスカル・メルシエ『リスボンへの夜行列車』、イリヤ・トロヤノフ『世界収集家』(以上早川書房)、トーマス・マン『トニオ・クレーガー』(光文社古典新訳文庫)、エマヌエル・ベルクマン『トリック』、ローベルト・ゼーターラー『ある一生』(以上新潮クレスト・ブックス)、ユーディト・W・タシュラー『国語教師』(集英社)ほか多数。

国語教師国語教師

< ドイツ推理作家協会賞受賞作 > 女は国語教師。男は有名作家。 再会したふたりが紡ぐ〈物語〉は、あの忌まわしい過去に辿り着くーー 16年ぶりに偶然再会した元恋人たちは、かつてのように物語を創作して披露し合う。 作家のクサヴァーは、自らの祖父をモデルにした一代記を語った。 国語教師のマティルダは、若い男を軟禁する女の話を語った。 しかしこの戯れが、あの暗い過去の事件へとふたりをいざなってゆく……。 物語に魅了された彼らの人生を問う、フリードリヒ・グラウザー賞(ドイツ推理作家協会賞)受賞作。 【著者略歴】 ユーディト ・ W ・ タシュラー 1970年、オーストリアのリンツに生まれ、同ミュールフィアテルで育つ。外国での滞在やいくつかの職を経て大学に進学、ドイツ語圏文学と歴史を専攻する。家族とともにインスブルック在住。国語教師として働く。2011年『 Sommer wie Winter (夏も冬も)』で小説家デビュー。現在は専業作家。2013年に発表された『国語教師』(原書タイトル Die Deutschlehrerin )は2014年度のフリードリヒ・グラウザー賞(ドイツ推理作家協会賞)長編賞を受賞した。 【訳者略歴】 浅井晶子( あさい ・ しょうこ ) 1973年大阪府生まれ。京都大学大学院博士課程単位認定退学。2003年マックス・ダウテンダイ翻訳賞受賞。主な訳書にパスカル・メルシエ『リスボンへの夜行列車』、イリヤ・トロヤノフ『世界収集家』(以上早川書房)、カロリン・エムケ『憎しみに抗って』(みすず書房)、トーマス・マン『トニオ・クレーガー』(光文社古典新訳文庫)、エマヌエル・ベルクマン『トリック』(新潮クレスト・ブックス)ほか多数。

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