著者 : 浅黄斑
越前大野藩の御耳役・落合勘兵衛は身重の妻を連れ帰郷した。だが勘兵衛は大野に流れる奇妙な風説に驚愕した。無茶の勘兵衛ではなく、無駄の勘兵衛という風説。そして上司の江戸留守居役・松田への誹謗。なにかがおかしい。誰が、どんな意図で…。やがて江戸に戻った勘兵衛は、深更、藩邸に騎馬で上意を伝えに来た使番からの“大名総登城”の触れにおののいて…。
薬師寺小雪は才媛の誉れ高い29歳のピアノ教師。自宅のある神戸のニュータウンで殺人事件が。犯行当時、鳴っていたチャルメラの音色がいつもと違うことに気づいた小雪は…(「哀しきチャルメラ」)。そしてあの大震災。次々と起こる事件に、小雪は持ち前の向こう気の強さと正義感、行動力で立ち向かう。神戸在住の著者が自らの体験も投影させた異色ミステリー。
世界的に有名な新進作曲家・小早川慎介が兵庫県六甲の自宅で死体で発見された。駆けつけた捜査員はすぐに青酸による死であることを察知した。捜査が進むにつれて、被害者と大学が同窓で同じ神戸に住む野沢夫妻の存在が事件に重要な関係を持つこと、被害者が遺した楽譜の中に暗号が隠されていること、またこの事件に関連があると思われる二つの殺人事件が存在したことが判明した。期待の新進気鋭が放つ書き下ろし長編傑作ミステリー。
14年前に失踪した美人モデル、ルビー・リーの白骨死体がシアトル市郊外で発見された。当時、彼女には日本人の婚約者・小渕泰明がおり、同市警捜査官が来日して事情聴収したが手掛りナシ。その小渕も7年前に自殺…。が、同市警は再度、警察庁に捜査協力を要請、兵庫県警の警部補・馬部晋作に白羽の矢が。事件概要を頭に叩き込み、再捜査にのりだした馬部は小渕の自殺に大きな疑問を抱く。他殺では。発奮する馬部の前にシアトルから金髪のグラマー捜査官が来日して-。