著者 : 海猫沢めろん
瀬戸内海の島にひとり暮らす青年・水無月睦のもとに、ある夏、幼馴染みの黒坂聖が訪ねてきた。陸は、湧き上がる凶暴な感情を抑えきれず聖と交わる。後ろめたいはずのその行為が忘れられない陸は、帰京した聖を追って、彼の住むタトゥースタジオに辿り着く。そこで聖の驚くべき秘密を知り…。「運命は変えられなくても、俺はおまえのそばにいたい」男たちの嫉妬と葛藤、欲望を透明に描き出した4編の恋愛小説
あのとき、目をそらしていたら。でも、もはや手遅れ。あなたはもとの世界には二度と戻れない。恐怖へ誘うのは、親切な顔をした隣人、奇妙な思い出を語り出す友人、おぞましい秘密を隠した恋人、身の毛もよだつ告白を始める旅の道連れ、そして、自分自身…。背筋が凍りつく怪談から、不思議と魅惑に満ちた奇譚まで。作家たちそれぞれの個性が妖しく溶け合った、戦慄のアンソロジー。
レザーフェイスと呼ばれる男は、駅前で切り絵をする女の子に出会った。プレゼントは渡せないし、メールは送れない。奥手すぎる男の淡く儚い恋の行方はー(「初恋」)。世の中にはうまく馴染めないけれど、君に出会うことだけは出来た。異色の経歴を持つ作家だからこそ描けた、不器用で切ない5編の恋模様。
超ポジティブな男が日本を革命する!少数精鋭、短期決戦をモットーとするホストクラブの店長、白鳥神威。いつも通り歌舞伎町から帰った彼を待ち受けていたのは、見知らぬ赤ちゃんだった!育てることを決意した神威は、IT社長・三國孔明と一緒に、クラウドファンディングで赤ちゃんを育てることを思いつく。ITで日本の子育てを救えるのか!?
かつてのクラスメート・黒坂聖が、ある夏、突然、島に帰ってきた。しかし彼は、妖しげな美しさをたたえる女性となっていた…。ノートに記された“決められた運命”を変える夏がはじまる。あの聖が帰ってきた。その瞬間、島に暮らす水無月陸の中にかつての苦い思い出がよみがえり、複雑な欲望が芽生える。あふれ出る激情に駆られ、陸は聖を…(「水の影踏み」)。島を出た聖を追いかけ、東京へむかう陸。たどりついた先で陸が目にした聖の“日常”とは。手に入れたいのは彼なのか、それとも…(「夏の刺青」)ほか、男たちの狂おしくも透明な嫉妬と葛藤を描く、青春小説の新たな金字塔。
「空想の中でしか、私は生きられないから」-中学時代の八雲にまつわるエピソード「真夜中の図書館」(『心霊探偵八雲』のスピンオフ)、物語が禁止された国に生まれた子どもたちの冒険「青と赤の物語」、ノベロイド研究にのめり込み、「物語AI」におもしろい小説を書かせようと奮闘する高校生の青春模様「ワールズエンド×ブックエンド」など、「小説」が愛おしくなる8編を収録。旬の作家によるバラエティ豊かなアンソロジー。
仕事を失い、酒に酔った夜。20歳のリンコは河原で野宿する謎の美青年リュウセイに出会う。楽してお金が欲しいというリンコに、彼が紹介した奇妙な仕事、それはこれまでの労働の概念を変えるものだった。自称ヒキオタニートのリュウセイに振り回されっぱなしのリンコだったが、彼には驚くべき秘密がー。漫画喫茶、アパレルショップ、IT業界など、時給800円で頑張る人々を描く連作短編集。