著者 : 深緑野分
奇想と探究の物語作家、デビュー10周年記念作品集! 「緑の子どもたち」 植物で覆われたその家には、使う言葉の異なる4人の子どもたちがいる。言葉が通じず、わかりあえず、でも同じ家で生きざるを得ない彼らに、ある事件が起きてーー。 「空へ昇る」 大地に突如として小さな穴が開き、そこから無数の土塊が天へ昇ってゆく“土塊昇天現象”。その現象をめぐる哲学者・物理学者・天文学者たちの戦いの記録と到達。 ミステリ、児童文学、幻想ホラー、掌編小説 etc. 書き下ろし『この本を盗む者は』スピンオフ短編を含む、珠玉の全11編。 海 髪を編む 空へ昇る 耳に残るは 贈り物 プール 御倉館に収蔵された12のマイクロノベル イースター・エッグに惑う春 カドクラさん 本泥棒を呪う者は 緑の子どもたち
戦後ハリウッドの映画界でもがき、爪痕を残そうと奮闘した特殊造形師・マチルダ。 脚光を浴びながら、自身の才能を信じ切れず葛藤する、現代ロンドンのCGクリエイター・ヴィヴィアン。 CGの嵐が吹き荒れるなか、映画に魅せられた2人の魂が、時を越えて共鳴する。 特殊効果の“魔法”によって、“夢”を生み出すことに人生を賭した2人の女性クリエイター。その愛と真実の物語。
変な予感がするんだ。 扉の向こうで、何か恐ろしいものが、僕を待っている気がしてーー。 目を覚ましたら、なぜか無人の遊園地にいた。園内には僕をいじめた奴の死体が転がっている。ここは死後の世界なのだろうか? そこへナイフを持ったピエロが現れ……(「潮風吹いて、ゴンドラ揺れる」)。 僕らはこの見張り塔から敵を撃つ。戦争が終わるまで。しかし、人員は減らされ、任務は過酷なものになっていく。そしてある日、味方の民間人への狙撃命令が下され……(「見張り塔」) など全7編を収録。 現代日本、近未来、異世界ーー様々な舞台で描かれる圧倒的絶望。 この物語に、救いの「カミサマ」はいるのか。 見たくない、しかし目をそらせない、人間の本性をあぶり出すダークな短編集。 【プロフィール】 深緑野分(ふかみどり・のわき) 1983年神奈川県生まれ。2010年、「オーブランの少女」が第7回ミステリーズ!新人賞佳作に入選。13年、入選作を表題作とした短編集でデビュー。15年刊行の長編『戦場のコックたち』で第154回直木賞候補、16年本屋大賞ノミネート、第18回大藪春彦賞候補。18年刊行の『ベルリンは晴れているか』で第9回Twitter文学賞国内編第1位、19年本屋大賞ノミネート、第160回直木賞候補、第21回大藪春彦賞候補。19年刊行の『この本を盗む者は』で、21年本屋大賞ノミネート、「キノベス!2021」第3位となった。
さぁ、出かけよう! 「物語」という旅へ。 様変わりした生活、奪われる自由ーー。 でも大丈夫、私たちには「小説」がある。 国境、日常、現実を飛び越え、行き先は無限大! 宮内悠介、藤井太洋、小川哲、深緑野分、森晶麿、石川宗生ーー。 最旬の作家たちが想像の翼を広げて誘う、魅惑のノベル・ジャーニー! 宮内悠介 「国境の子」 対馬から韓国まではわずか一時間。でも「ぼく」にはそれが遠かった。 藤井太洋 「月の高さ」 旅公演スタッフとして遠征中、あの日見た月が胸に去来する。 小川 哲 「ちょっとした奇跡」 自転が止まった地球。カティサーク号は、昼を追いかけ移動を続ける。 深緑野分 「水星号は移動する」 移動式の宿・水星。今日はどんなお客様と出会うのだろう? 森 晶麿 「グレーテルの帰還」 あの夏、最後の家族旅行での惨劇が、私の運命を大きく変えたーー。 石川宗生 「シャカシャカ」 地表が突然シャッフルをはじめた!? 姉弟の生き残りをかけた旅が始まる。 宮内悠介 「国境の子」 藤井太洋 「月の高さ」 小川 哲 「ちょっとした奇跡」 深緑野分 「水星号は移動する」 森 晶麿 「グレーテルの帰還」 石川宗生 「シャカシャカ」
2021年本屋大賞ノミネート作品 「キノベス!2021」第3位 「ああ、読まなければよかった! これだから本は嫌いなのに!」 書物の蒐集家を曾祖父に持つ高校生の深冬。父は巨大な書庫「御倉館」の管理人を務めるが、深冬は本が好きではない。ある日、御倉館から蔵書が盗まれ、父の代わりに館を訪れていた深冬は残されたメッセージを目にする。 “この本を盗む者は、魔術的現実主義の旗に追われる” 本の呪いが発動し、街は侵食されるように物語の世界に姿を変えていく。泥棒を捕まえない限り世界が元に戻らないと知った深冬は、探偵が銃を手に陰謀に挑む話や、銀色の巨大な獣を巡る話など、様々な本の世界を冒険していく。やがて彼女自身にも変化が訪れてーー。 「呪われて、読む。そして書くーー私たちは!」 森見登美彦氏 推薦! ※電子書籍版には特典として、カバーイラストコンペ応募作品のイラストギャラリーを収録しています。 第一話 魔術的現実主義の旗に追われる 第二話 固ゆで玉子に閉じ込められる 第三話 幻想と蒸気の靄に包まれる 第四話 寂しい街に取り残される 第五話 真実を知る羽目になる
中学時代に好きだった少年の三回忌で彼の日記を譲り受けたあさぎ。それを機に、少年が死なずに済んだ可能性を探り始めるが、協力者の級友とともに宗教団体を巡る陰謀に巻きこまれてゆく。度重なる窮地に立たされた二人が下す決断と、その先に待つ未来。十代のまっすぐな想いをのせて描く、鮮やかなノンストップミステリー!
1944年6月6日、ノルマンディーが僕らの初陣だった。コックでも銃は持つが、主な武器はナイフとフライパンだーー料理人だった祖母の影響でコック兵となったティム。冷静沈着なリーダーのエド、陽気で気の置けないディエゴ、口の悪い衛生兵スパークなど、個性豊かな仲間たちとともに、過酷な戦場の片隅に小さな「謎」をみつけることを心の慰めとしていたが……『ベルリンは晴れているか』で話題の気鋭による初長編が待望の文庫化。直木賞・本屋大賞候補作。 *第2位『このミステリーがすごい!2016年版』国内編ベスト10 *第2位「ミステリが読みたい!2016年版」国内篇 *第3位〈週刊文春〉2015年ミステリーベスト10/国内部門 *第154回直木賞候補
高校生のあさぎは、2年前に急逝した友人の基が遺した日記を譲り受ける。ある記述をきっかけに、彼が死なずに済んだ可能性を探ることにしたあさぎ。基の死は、ずっと心のしこりとなっていたのだ。クラスの男子・八女とともに、基の死の直前の行動を再現してみるが、そんなふたりを追う影があった…。一方、町では終末思想に影響された新興宗教団体の信者が、立て続けに謎の死を遂げるなど、不穏な動きを見せる。教団とあさぎたちの目的は、しだいに思いも寄らぬ形で交わってゆく。特別な意味をもつ夏、高校生のふたりが呑みこまれてゆく歪な世界。そこで、彼らは「分岐点」に立たされることにー。
比類なく美しい庭園オーブランの女管理人が殺害された。犯人は狂気に冒された謎の老婆で、犯行動機もわからぬうちに、今度は管理人の妹が命を絶った。彼女の日記を手にした作家の「私」は、オーブランに秘められたおそろしい過去を知る……楽園崩壊に隠された驚愕の真相とは。第7回ミステリーズ!新人賞の佳作となった表題作の他、異なる場所、異なる時代を舞台に“少女”という謎を描き上げた瞠目のデビュー短編集。
一晩で忽然と消えた600箱の粉末卵の謎、不要となったパラシュートをかき集める兵士の目的、聖夜の雪原をさまよう幽霊兵士の正体…誇り高き料理人だった祖母の影響で、コック兵となった19歳のティム。彼がかけがえのない仲間とともに過ごす、戦いと調理と謎解きの日々を連作形式で描く。第7回ミステリーズ!新人賞佳作入選作を収録した『オーブランの少女』で読書人を驚嘆させた実力派が放つ、渾身の初長編。