小説むすび | 著者 : 渡辺佐智江

著者 : 渡辺佐智江

グールド魚類画帖[新装版]グールド魚類画帖[新装版]

英連邦作家賞受賞作品 「ブッカー賞」を受賞した『奥のほそ道』が日本でも大好評を得た、タスマニア出身の鬼才による、「英連邦作家賞」受賞作品。 時代は十九世紀、本書の主人公「ウィリアム・ビューロウ・グールド」はイギリスの救貧院で育ち、アメリカに渡ってから画家オーデュポンから絵を学ぶ。しかし偽造などの罪で、英植民地タスマニアのサラ島に流刑となる。 科学者として認められたい島の外科医ランプリエールは、グールドの画才に目をつけ、生物調査として、彼に魚類画を描かせる。ある日、外科医は無残な死を遂げる。 グールドは殺害の罪に問われ、海水が満ちてくる残虐な獄につながられる。絞首刑の日を待つグールド……その衝撃的な最期とは? 歴史、伝記、メタフィクション、マジックリアリズム、ポストコロニアルなどの趣向を凝らした、変幻自在の万華鏡。奇怪な夢想と驚きに満ちた世界が展開される。 「大傑作」(『タイムズ』)、「『白鯨』の魚版」(『ニューヨーク・タイムズ』)など、世界で絶賛の嵐を巻き起こした、作家の代表作。 色刷り魚類画十二点収録。

少女、女、ほか少女、女、ほか

今日はアマの演劇がナショナル・シアターで上演される初日。黒人として女性として日々受ける差別に立ち向かってきたアマが、50代になってついに栄光をつかんだのだ。記念すべき今宵、家族や友人たちが集う。演劇界を共に生き抜いてきた戦友、母の希望とは異なるがしっかりした自分の意見を持つ娘をはじめ、不遇をかこつ者、努力して社会的成功を手にしたエリートなど、時代も背景も多様な12人のキャラクターが、人生を振り返っていく。子ども時代のレイプ、小さな町での差別、子どもを抱え必死に働いてきたこと、エリートとなった娘との不仲、実の両親を知らないことなど、みな人知れず心に傷を抱えている。大切なのは共にいること。人生、捨てたもんじゃない。笑って泣かせ心揺さぶる真実の物語。英国黒人女性たちが、乗り越えてきた苦難をウィットに富んだ斬新な文体で語り、共感を呼んだ傑作長篇。作家はナイジェリア人の父とイギリス人の母のもとロンドンで生まれ、本書が7作目の小説。 「強くてしなやか、ユーモアがあって、優しくて皮肉屋 そして臆することなく真実を教えてくれる最高の女友達のようなこの小説を、好きにならないわけがない!」西加奈子(作家)

アフター・クロードアフター・クロード

「捨ててやった、クロードを。あのフランス人のドブネズミ」 あらゆるものに牙を剥き、すべての人間を敵に回す わきまえない女ハリエットの地獄めぐりがいま始まる…… 伝説の作家アイリス・オーウェンスの最高傑作にして 40年の時を超えて現代を撃つ、孤高の問題作! 〈この凄い小説の破天荒な語りを日本語にできるのは 渡辺佐智江さんしかいないと思い、薦めたらたちまち意気投合、 二人でオーウェンス・ファンクラブを結成した。 ぜひあなたも本書を読んで仲間入りを!〉若島正 真夏のニューヨーク、ハリエットは同居するクロードと仲違いしてアパートを追い出される危機に陥る。身を守るために悪戦苦闘する彼女を待ち受けていたさらなる地獄とは……速射砲のように放たれる、宗教・人種・セックス・フェミニズム等々のあらゆる問題を無差別攻撃した過激なセリフ、知的で過剰なユーモアにあふれた筆致で描かれる一人の女の残酷物語。『ロリータ』の版元オリンピア・プレスでポルノ作家として活躍し、スーザン・ソンタグをして「彼女は最先端(ヒップスター)」と言わしめた伝説の作家の鮮烈な第一長篇がついに邦訳!(1973年作)

愛なんてセックスの書き間違い愛なんてセックスの書き間違い

アメリカSF界のレジェンド、カリスマSF作家 ハーラン・エリスンはSF以外の小説も凄い! 犯罪小説を中心に非SFジャンルの初期傑作を精選、 日本オリジナル編集・全篇本邦初訳でおくる 暴力とセックスと愛とジャズと狂気と孤独と快楽にあふれた エリスン・ワンダーランド! 「父さんのこと、殺す」痩せた少年の緑色の瞳は飢えたようだった……孤独な男と孤独な少年の出会いを痛切に描く「第四戒なし」、成功した作家が体験するサイケデリックな彷徨譚「パンキーとイェール大出の男たち」、閉ざされた空間に幽閉される恐怖を華麗な筆致で綴る「盲鳥よ、盲鳥よ、近寄ってくるな!」、〈ジルチ〉がある小説を書け!と命じられた新人作家の苦悩とは? 爆笑のポルノ小説「ジルチの女」、ギャング団潜入取材を元に書かれた「人殺しになった少年」、グルーヴィな筆致が炸裂するエリスン流ジャズ小説「クールに行こう」など、カリスマSF作家エリスンによる犯罪小説・ポルノ小説・ジャズ小説・ハードボイルドといった非SFジャンルの初期傑作を精選した日本オリジナル短篇集(全11篇、すべて本邦初訳)。 第四戒なし 孤独痛 ガキの遊びじゃない ラジオDJジャッキー ジェニーはおまえのものでもおれのものでもない クールに行こう ジルチの女 人殺しになった少年 盲鳥よ、盲鳥、近寄ってくるな! パンキーとイェール大出の男たち 教訓を呪い、知識を称える 解説 若島正

奥のほそ道奥のほそ道

ブッカー賞受賞作品  1943年、タスマニア出身のドリゴは、オーストラリア軍の軍医として太平洋戦争に従軍するが、日本軍の捕虜となり、タイとビルマを結ぶ「泰緬鉄道」(「死の鉄路」)建設の過酷な重労働につく。そこへ一通の手紙が届き、すべてが変わってしまう……。  本書は、ドリゴの戦前・戦中・戦後の生涯を中心に、俳句を吟じ斬首する日本人将校たち、泥の海を這う骨と皮ばかりのオーストラリア人捕虜たち、戦争で人生の歯車を狂わされた者たち……かれらの生き様を鮮烈に描き、2014年度ブッカー賞を受賞した長篇だ。  作家は、「泰緬鉄道」から生還した父親の捕虜経験を題材にして、12年の歳月をかけて書き上げたという。東西の詩人の言葉を刻みながら、人間性の複雑さ、戦争や世界の多層性を織り上げていく。時と場所を交差させ、登場人物の心情を丹念にたどり、読者の胸に強く迫ってくる。  「戦争小説の最高傑作。コーマック・マッカーシーの『ザ・ロード』以来、こんなに心揺さぶられた作品はない」(『ワシントン・ポスト』)と、世界の主要メディアも「傑作のなかの傑作」と激賞している。

音楽と沈黙 1音楽と沈黙 1

ウィットブレッド賞受賞! 伝説の王クレスチャン4世の苦悩、 そして官能に溺れる王妃キアステンが夢見る人生ーー 17世紀デンマークを舞台にした波瀾万丈の歴史ロマン大作、ついに登場! 「ランプに明かりが灯る」--1629年、美貌のイギリス人リュート奏者ピーター・クレアがデンマーク王クレスチャン4世の宮廷楽団に招かれ、コペンハーゲンのローセンボー城に到着する。王はリュート奏者に親友ブロアの面影を重ねて寵愛する。一方、王の妻キアステンは王への不満をつのらせ愛人との官能の日々を送っている。やがてピーターはキアステンの侍女エミリアと恋に落ちる。しかし二人には数多の試練が待っていた……デンマーク、イングランド、アイルランドと各地をまたがる複数の物語が、絡み合う旋律となって壮大な音楽が奏でられる。極上の歴史小説にして恋愛小説、優美な音楽小説にして青春小説でもある英国ベストセラー、ついに翻訳刊行! 〈17世紀のデンマーク。当時の国王クレスチャン4世は、謁見室の真下にある暗いワイン貯蔵室に宮廷楽団を待機させていた。来客たちは、見えない楽団によって奏でられる音楽が湧き上がってくるのにびっくり仰天したという。これは史実である。コペンハーゲンに行き王宮を見学した英国小説家ローズ・トレメインは、その史実を知って小説家としての興味をかきたてられ、想像をたくましくした。そこの地下室にいた演奏家はどんな思いだったのだろうと。そこから生まれたのが、ベストセラーにもなった、波瀾万丈の物語『音楽と沈黙』である。登場人物たちはみな歴史小説の枠から少しはみ出して、わたしたちにも共通する現代的な悩みを抱えた人間ばかりであり、そのぶつかり合いが、異なる楽器による演奏のような、語る声と声の交唱にもなって、物語をフィナーレへと運んでいく。それはまるで宝塚歌劇を観ているようだ、と言えば褒めすぎになるだろうか〉 若島正(英文学者・翻訳家)

音楽と沈黙 2音楽と沈黙 2

映画化決定! 美貌のリュート奏者ピーターと侍女エミリアの運命の恋ーー ページをめくる手がとまらない驚異のベストセラー小説、ついに翻訳! 不貞が発覚しコペンハーゲンから追放となった王の妻キアステンは侍女のエミリアとともに母エレンの城に移り住み、無謀ともいうべき策略を思いめぐらす。「勇気を出すのよ」という亡き母の言葉を胸に抱きながら、弟マークスとの日々を懸命に生きるエミリア。彼女の継母マウダリーナはティルスン家の男たちを支配し、一家を破滅に導いていた。一方、ピーターはかつての恋人オフィンガル伯爵夫人と再会し、夫人に誘惑されながらもエミリアへの思いを募らせる。そして失意のクレスチャン王のもとに現れる新しい存在とは? 運命に翻弄される人々の心に果たして静寂の春は訪れるのかーー濃密な物語性と精緻な語りで、最後の最後まで驚きの展開がつづく歴史ロマン大作!  批評家・各紙絶賛!……〈トレメインは同時代最高の歴史小説家である。匂いたつ官能性と洗練されたウィットで過ぎし時代を鮮やかに再現する……巧みに練られたプロット……エロスと芸術が織りなす忘れがたいタペストリー(A・N・ウィルソン)〉〈『音楽と沈黙』の核となる部分は、罪と欲望の描写である。生き生きした登場人物たちは、自分自身の行為と夢を相手に格闘する……作者は時代の精神に分け入ることによって、歴史に寄り添いつつ深く洞察するという、見事な離れ業をやってのけた……これは最高水準の作品である(スコットランド・オン・サンデー紙)〉〈詩情豊かで、色香漂う、絵画的なすばらしい作品……読者は、過ぎし日の宮廷の豪奢な松明の光で照らしだされた華麗な光景とドラマを満喫できる(サンデー・タイムズ紙)〉〈トレメインは多彩な語り口を自由自在にあやつりながら、時を行きつ戻りつし、ディテール、香り、音、色を自分のキャンバスに見事詰め込んだ……巧みで魅力的で優雅な筆致(オブザーバー紙)〉〈濃密で秀逸な作品(ガーディアン紙)〉〈堂々たる小説……何度も読み返す価値のある見事な作品(タイムズ紙)〉

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