著者 : 湯川杏奈
富豪ニコスは敵を欺くべく自らの死を装って1年半を過ごした後、スペインにやってきた。そこで待ち受けていた驚愕の事実は、かつて交際していた女性マリサが彼の息子を産んでいたこと。僕の跡継ぎとなるあの子は絶対誰にも渡すものか!純潔と情熱を捧げた男性ニコスが突然目の前に現れ、マリサは激しい衝撃を受けた。彼が生きていたなんて!安堵と歓喜もつかの間、マリサはニコスの言動から思い知る。彼が必要としているのは私ではなく、私の産んだ子供…。
18歳のエルサはある夜、幼い頃から兄のように慕ってきた、サンティの家のベッドに潜り込んで彼を待った。黒い瞳のハンサムな彼への恋心を抑えきれずに。だが冷たく拒絶され、傷心を抱えて進学先のウィーンへ。5年後、ウィーンで働き始めた彼女の前にサンティが現れる。190センチ近い長身。エルサの腿ほどもある二の腕。今や巨万の富をもつ富豪となった彼は、ある犯罪集団から彼女を守りに来たという。よりによって、なぜサンティが?「僕についてこい。二人になるまで質問はなしだ」
王子ガンナー・フォン・ビョルンランドの類いまれなる容貌は、北欧の神の化身とも称されるほどだが、彼は放蕩者でもあった。女王に仕えるラティカは、そんなガンナーが苦手だった。青い炎のようなまなざしを向けられるだけで、体が熱くなる。だから、彼を落ち着かせるための花嫁探しが始まったとき、ラティカは安堵した。彼が結婚すれば、心を乱されずに済む…。盛大な舞踏会が開かれ、世界中から大勢の美女が集められた。だがその夜、ガンナーはなんとラティカとの婚約を発表する。そして彼女を我が物顔で抱き寄せると、濃厚なキスをしてー。
その日、バイオレットは真昼の誘拐劇の被害者となった。モンテ・ブランコ王国の王子、ハビエル・デラクルスによって。彼の兄マテオ王にカジノで負けたバイオレットの父親が、娘を王に売ったというのだ。パパがそんなことするなんて…!抵抗むなしく、彼女は贅を尽くした異国の王宮に閉じ込められ、王との謁見までの数日間、ハビエルとともに過ごすことになる。国民にも怖れられるほど強面の王子に国を案内され、街を歩き、ダンスを教わるうち、バイオレットは彼に強く惹かれていく。兄王のそばにいても、きっと私はもう、弟しか目に入らない…。
横暴な父親と兄に虐げられてきたシーアは、23歳になり、牢獄のような生家から解放されたが自由になれたわけではなく、強いられた結婚という、新たな鳥籠へ移された。夫は、ギリシアの若き海運王、クリスト・カラス。ハンサムで恐ろしく頭の切れる彼は妻の自由への渇望を見抜き、結婚で得られる相続が完了すれば、離婚に応じると言った。シーアはそのときを夢見てクリストの完璧な妻を演じたが、夜ごと夫の愛の技巧に触れ、いつしか思い知るようになる。囚われているのはもうこの身ではなく、心なのだと。結婚式を終えた直後に逃亡を図るヒロインと、美しい妻を逃しはしないと阻止するヒーロー。大型新人作家による日本デビュー作。
ジャクリーンは、豪華なパーティ会場で肩を落とした。経営難のウエディングドレス専門店への資金援助を、頼みの綱だった父の旧友に断られてしまったのだ。そのときー大企業CEOのギリシア富豪ニコスが現れた。悪魔的なほどセクシーなオーラみなぎる彼から目が離せない。雪のように清らかになんて時代遅れだと恋人にふられたあとも、結婚まで身を慎むという信念は変わっていないのに…。窮状を打ち明けたジャクリーンに、ニコスはパーティのあとで援助の話をすると約束してくれた。喜び勇んで部屋を訪ねると、ドア口のニコスは、腰にバスタオル1枚だけ巻いた姿で…。
助産師である私自身が、子供は持てない運命だったなんて…。妊娠は難しいと知った婚約者は、無情にもアニーのもとを去った。独りスペインのアンダルシアへの傷心旅行に出たアニーだったが、旅の終わりに立ち寄った教会で、運命は大きく変わる。急に産気づいた女性を救って、産科医ラファエルと出会ったのだ。彼とはなぜか最初から心が通い合い、アニーは生涯の思い出にと、彼と一夜だけの愛を交わしたーまさか身ごもるとは思わずに!ところがそれを告げると、ラファエルは冷たくこう言い放った。「本当に僕の子か?イギリスとスペインで弁護士をさがす」そしてアニーを探るつもりか、彼女が働く病院へ転職してきたのだ。
半月後に迫る、妹の結婚式。シアトルで働くアンドレアは焦っていた。5人姉妹の中で自分だけ女らしくないという劣等感があり、同伴する相手もいないことを気に病んで、“恋人”を探しているのだ。それなのに、マッチングサービスはまったく役に立たず、勇気を振り絞ってバーで声をかけたハンサムな男性にも断られる始末。悩みを抱えたまま、ある日アンドレアが仕事で取引先の大企業へ赴き、ゲージという名の重役を待っていると、そこへ現れたのはなんと、先日のバーで彼女の頼みをにべもなく断った“ハンサム”だった!あまりの恥ずかしさにアンドレアが顔を赤らめ逃げようとしたとき、彼の口から驚きの提案がーやっぱり君の恋人役を引き受ける、と。
ニューヨークのバレエ団に所属するソフィアは、海外公演から戻ったばかりの空港で突然プロポーズされた。相手は莫大な富を誇るマクニール家の三兄弟の末っ子キャメロン。事業を相続するためには結婚が必須条件だと祖父に言い渡され、オンラインで花嫁を紹介する業者を大急ぎで利用したという。どういうこと?そんなところに登録した覚えはないのに。動揺するソフィアに、空港で待ち構えていたマスコミが襲いかかる。業者の手違いに気づいて素早く姿を消したキャメロンに代わり、ソフィアを救ってくれたのは三兄弟の長兄クインだった。なんと彼は、自分が本当の婚約者だと声高らかに宣言したのだ!
亡き父が遺した幼い弟を抱え、貧しい生活を送るサスキア。流産を繰り返す親友からの頼みで代理出産を引き受けたのは、生活費や学費を工面するだけでなく、親友の願いを叶えたかったから。それなのに、出産を間近に控えたある日、親友夫妻が不慮の死を遂げた。夫妻はさる国の王と王妃で、お腹の子は王位継承者となるはずだったが、生まれる前に両親が亡くなったので嫡子とは認められないという。そんななか、亡き王の従兄弟イドリスが現れ、サスキアは息をのんだ。7年前、大学生だったわたしを無慈悲にも捨てた元恋人…。イドリスは嫌がるサスキアをよそに、みずからが王となって、生まれてくる子を実子として育てるため、彼女を妻にすると宣言した!
キャシディは妊娠9カ月。子供嫌いな大企業の副社長ドノヴァンに、妊娠を打ち明けられず別れたきりだったが、その日、驚くことに彼が突然訪ねてきた。「結婚してくれ、キャシディ。ぼくたちの赤ん坊の父親になりたい」ああ、わたしだって本当はあなたが恋しくてたまらなかったのよ!でも…義務感からのプロポーズなら受けるわけにはいかないわ。「離れていた間に、きみの大切さが身に染みてわかったんだ」誠実なドノヴァンの言葉に、キャシディも心を開き、彼の変化をいぶかりつつも求婚を受け入れるーまさかそれが、彼がCEOに就任するための便宜結婚とはつゆ知らず。
アナスタシアが昏睡状態から目覚めたとき、そばにはイヴァンがいた。7年前、姿を消した恋人がどうして戻ってきたの?瀕死の傷を負ったアナスタシアを、彼は助けてくれたらしかった。そして、とまどう彼女を豪奢な自宅へと連れていき、離れ離れだった時間などなかったように熱く求めた。それでも、アナスタシアは不安でたまらなかった。以前、イヴァンはつき合って2カ月で突然いなくなったからだ。再会して2カ月後、彼女は体の異変に気づく。赤ちゃんができたと知ったら、イヴァンはどうするかしら?わたしのそばにずっといてくれる?それとも、また冷たく捨てる?