著者 : 瀧澤美恵子
芥川賞全集 第十五巻芥川賞全集 第十五巻
芥川賞が百一回目を迎えた時、奇しくも時代は昭和から平成へ移り変わった。第百一回から百五回までの六作品と選評・自筆年譜を収録 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 昭和十年に始まった芥川賞が百一回を迎えたのは、日本近代文学の流れによりそうかのように、奇しくも時代が昭和から平成へと移ったときだった。 百回までを収録して好評を博した第一期・第二期十四巻に続き、文藝春秋八十周年記念出版として第三期五巻を刊行する。 第一回配本の第十五巻は新時代の文学の出発点を示す百一回から百五回の六作品、瀧澤美恵子「ネコババのいる町で」、大岡玲「表層生活」、辻原登「村の名前」、小川洋子「妊娠カレンダー」、辺見庸「自動起床装置」、荻野アンナ「背負い水」。既刊同様、選評、受賞者のことば、自筆年譜を併載。(文藝春秋)
ネコババのいる町でネコババのいる町で
わずか三歳で、ロスアンジェルスから一人で日本に送られた恵里子。実の母に捨てられたショックで一時的な失語症に陥ってしまうが、ある日、隣の「ネコババ」の家で突然言葉を取り戻す。生みの親よりも「本当の家族」となった祖母と叔母に育てられた多感な少女が観た人間模様を描く芥川賞受賞の表題作ほか二篇。
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