著者 : 火坂雅志
京都東山、三十三間堂。後白河法皇が創建した名刹も、応仁の大乱後まもない頃なので朽ち果てるにまかせていた。その堂の前で、一人の娘が凌辱されまいと、二人の無頼者を相手にけなげに闘っていたが、力尽きて犯されてしまった。娘の死の寸前、来あわせた堀辺牙王丸は「姉の由布美に」と彼女から錦の袋を手渡された。牙王丸は、諸国流浪の旅に出ている古式拳法・骨法の達人である。洛北の大雲寺に監禁されている由布美を助けた牙王丸は、錦袋の中身の謎を解くため、勇躍、琉球に向う…。長編アクション&エロス。
応仁の乱が巻きおこした暴風雨は、京の都ばかりでなく、東国の地にも鋭い破壊の爪痕を残していた。もののふの故郷・鎌倉は無政府化し、博奕や麻薬や売春を取りしきる“バサラ者”が跋扈している。鎌倉入りした堀辺牙王丸は、バサラ者たちに凌辱されている娘たちを助けた腕を、堀越公方に買われ「坏仁崋」の探索を頼まれた。「坏仁崋」は、源頼朝の権力奪取と深い秘密の関係があったらしい。それは一体、何であるのか?牙王丸と闇の組織との血みどろの闘いが始まる…。新鋭のスーパー時代伝奇アクション&エロス。
「暗花十二拳」の謎にいどんだ「明月五拳」の使い手西行法師は、和歌地獄を脱出し、みちのく平泉で強敵闇王を倒した。だが西行はなおも北上、出羽三山から津軽をめざす。そこは闇の神社が星型に配され、黒帝と呼ばれる奥州の真の支配者を復活させようとしていた。息もつかせぬ死闘が迫力の歴史アクション第2弾。
文明9年、10年に及んだ応仁の大乱は終わったが、京の都は暴虐と掠奪の嵐が吹き荒れていた…。京に入る洛北の峠に、凄みをたたえた30まえの男が立った。名は堀辺牙王丸。諸国流浪の旅に出ていた拳法の達人である。牙王丸は、その峠近くで奇怪な集団に凌辱されていた京の大店の娘を助けた。大店の食客となった牙王丸は、主の中興宗雪から京に跳梁跋扈する奇怪な集団(鬼界衆)を殲滅してくれと頼まれるが、この集団を率いる黒幕の狙いは想像を絶するものだった…。大型新人が渾身の力で描く時代伝奇アクション。