著者 : 火坂雅志
弘安四年(一二八四)、十四万人あまりの大軍をもって日本に襲来した蒙古軍。神風によって全滅したかに見えた彼らだが、その残党は京都を制圧すると、またたくまに鎌倉幕府を滅ぼし、日本の完全征服を成し遂げてしまった。五十数年後、京都に首都をおく蒙古政権を樹立したイルタイ汗によって蹂躪される日本を救うべく立ち上がった勇将・楠木正成は、後醍醐天皇を奉じて敢然と最強の騎馬軍団に挑む。
聖徳太子の『未来記』に記された現界と夢界の秘密を巡って、神異僧・明恵は、鎌倉幕府や高千穂御先衆と壮絶な戦いを繰り広げてきた。一方、壇ノ浦にその幼い命を散らしたはずの安徳帝が存命していることを知った、平家の侍大将・悪七兵衛景清は、散逸した三種の神器のひとつ、天叢雲の剣を奪取すべく、女木島などの名だたる海賊衆の支援をうけて、謎の商人・大黒大夫のもとへとのりこんだ。最古の呪術者の王統を継ぐ安徳帝の目的とは!?いよいよ佳境を迎える超歴史伝奇大河ロマン第四弾登場。
“人界は牢獄なり、ひとはこれ獄囚なり”聖徳太子の『未来記』の謎を追う神異僧・明恵は、淫道外法を操る尼将軍・北条政子と激しい戦いを繰り広げた。はからずも、高天原の秘密に迫る明恵は、闇の祭主・本霊日別が率いる高千穂御先衆につけねらわれることとなった。津軽の石塔山で、またしても太子の墓所を発見した明恵は、夢界の謎を探るため夢渡りを行ったが、それが原因で廃人同様になってしまっていた…。一方、平家の侍大将・悪七兵衛景清は、壇ノ浦に沈んだはずの三種の神器を追う。
淫道外法を操る尼将軍・北条政子、平家の侍大将・悪七兵衛景清、京都神護寺の神異僧・明恵は、高天原の秘密を巡って、富士山頂で激烈な戦いを展開した。辺津の鏡によって現出した七色の光の空間と黒縄の異形の化物は一体何だったのか。聖徳太子の『未来記』に記された謎を追い求める明恵は、佐渡へ渡り、もうひとつの太子の秘本『幻義疏』のありかをつきとめる。一方、『闇の祭主』の異名を持つ本霊日別が率いる御先衆は、秘密に迫る明恵に刺客を放った。いよいよ混迷を極める超歴史伝奇大河ロマン第2弾。
平家一門が檀ノ浦の海に滅んでから、はや十五年の歳月が過ぎ去っていた。京都神護寺の僧侶・明恵は、手を触れずに物を動かす力や、空中浮揚といった神異の力を操ることができた。ある日、琵琶湖の竹生島で夢見の術の修業をしていた明恵は、伊吹山方面に邪悪な影を感じとった。聖徳太子がはるか未来のことを書き記したという、南都秘宝中の秘宝『太子未来記』が奪い去られた事件と関わりがありそうだ。淫道外法により『未来記』の封印を解かんとする、北条政子のもくろみとは。鬼道妖変、超歴史大河ロマン第一弾登場。
大坂夏の陣が終結して一年後の元和二年-。かつて伊賀一と忍びの技をたたえられた滝野右近のもとに、さる大名の使者が訪ねて来た。使者は右近の腕を見込み、徳川家康が所持している名物茶器初霜肩衝を奪って欲しいと頼む。そのころ、茶器は家康の亡骸とともに柩におさめられ、久能山の仮殿に安置されていた。徳川家に忠誠を尽くす服部一族との死闘の末、右近はついに家康の柩をさぐり当てる。だが、棺の蓋をあけた右近がそこに見たものは…。
戦雲渦巻く尾張。今川義元との決戦を前に、諜者による情報収集を図る信長軍に、木曽川中流域を差配する“川並衆”副首領前野将右衛門がいた。首領蜂須賀小六と共に、劣勢明らかな信長に賭けたのである。敵領内への潜伏と探索、正体不明のくノ一との暗闘。さらに家康への接近。やがて今川勢が桶狭間に…。綿密な史料検証と大胆な発想で、信長を動かし、寡勢を以って今川に勝利した知勇の男前野将右衛門の戦いを描く時代快作。
豊前船島、すなわち巌流島で佐々木小次郎を打ち倒して1年半が経つ。宮本武蔵は、高野山を目指し紀ノ川沿いの道を登っていた。山には「御前」と呼ぶ良覚上人がいて、武蔵は心の空虚さについて問答をしにきたのだ。そして剣2刀を上人に預けて丸腰になった武蔵は、柔の始祖といわれる竹内道場の門を叩く。そこで武蔵は高野山の武装僧侶団に襲われる。武蔵が良覚上人を殺し、山の「宝」を盗んだという理由であった。風雲急を告げ、大坂冬の陣がまさに始まろうとしている折、武蔵の身辺も慌ただしくなって、決断を迫られる。書下し長篇時代アクション。
天正9年、織田信長は伊賀の国に大軍を送り、黒田の悪党の子孫である伊賀忍者とその家族を大量虐殺した。世にいう天正伊賀の乱である。難を逃れた伊賀忍者のひとり、舞十蔵は妹・千鳥が織田軍たちに凌辱された挙句に惨殺されたことを知って、信長への復讐をかたく心に誓う。失意の逃亡生活のなかで、堺の鉄砲鍛冶・かげろうノ道庵を訪ねた十蔵は、道庵が完成させた三連発銃を入手する。やがて、信長狙撃のチャンスがおとずれた。書き下ろし長編時代伝奇アクション第2弾。
桓武天皇が平安京を守るために造りあげた「鬼界封じ」が、何者かによって破壊された。京の都は悪鬼にあふれ、犠牲者は日ごとに増えるばかり。悪霊退散に絶大な力を持つ黄金の独鈷杵も奪われ、京は、正に地獄と化したようであった。この危機に、「明月五拳」の達人、拳法家西行法師が挑む。著者会心の歴史伝奇巨編。
慶長3年、豊臣秀吉は伏見城で死の床についた。枕許に、五大老・五奉行を呼び寄せ、秀頼への忠誠を誓わせたが、家康はそれを公然と破り、派閥工作を開始した。危機を感じた石田三成は翌年4月、秀頼と淀殿を大坂城に移し、伏見城に残った家康との間に一触即発の緊張が高まった。そんな折り、薩摩の漢方医・入来玄蔵は師・林了敬を訪ねて上京するが、謎の集団に襲われる。奴らは了敬が開発した“麻沸湯”の秘密を手中にしたかったのだ。この薬が「関ヶ原」決戦での、恐るべき兵団創設の鍵になるとは…。
蒙古襲来に神風は吹かず!鎌倉幕府は滅び、モンゴル軍が日本を蹂躪する。その蒙古政権に、敢然と反旗をひるがえした男がいた-その男の名は、楠木正成。後醍醐天皇を奉ずる正成に応じ、全国のばさら、かぶき者たちが蒙古を討つべく立ちあがる。モンゴルの騎馬軍団と、彼ら悪党の山岳ゲリラ戦が、京洛の地に激突する空前の歴史ifとダイナミックアクション!完寇に、もし神風が吹かなかったら?大胆な設定をもとに、気鋭火坂雅志が歴史のifに挑む!
後醍醐天皇による建武の新政がはじまった頃の伊賀国南部の黒田荘。忍びの技を身につけた“黒田の悪党”のひとりで、腕ききの忍者・野吹銃蔵は信州伊那谷から仕事を終えて半年ぶりに郷里の土を踏んだ。だが、わが家から最愛の妻・小麦と息子・平太の姿が消えていた。都の公家・西園寺家の使いだとかたる男たちが二人を連れ去ったと知られる。行方を追って京へ上って野吹は後醍醐帝の近臣・千種忠顕邸に忍び入り、千種が妻子をさらった張本人と知る。権力の手先の悪竦な妨害にめげず、野吹は妻の求出に成功はしたが…。-南北朝の糜爛した裏面史を気鋭が壮大なスケールで描く。
天下統一を成し遂げた豊臣秀吉の晩年の頃、ひとりの剣客がいた。名は、朧愁之介。年の頃は27、8で長身痩躯。彫りの深い顔には、冷徹な色と妖しい色気が漂っている。伏見の船宿の二階に居候しているが、腕は滅法強い。必殺剣は、長刀・備前長船景光をひっさげての「影の灯火」だ。愁之介には出生の秘密があった。千利休の妾腹の子なのだ。ある事件を追っているうちに、父利休の死の謎に突きあたる。真相を暴かんと単身敵地に斬り込むが、その結果、石田三成の陰謀と千利休の思いもよらぬ出自が浮かびあがる。
慶応4年2月、日本海の波涛を蹴り立てて一艘の船が北上していた。源義経が埋蔵したという黄金を求め、蝦夷を目指すその船の長こそ、三月前、京都近江屋で暗殺されたはずの坂本竜馬であった。刺客が中岡慎太郎とともに斬殺したのはまったくの別人だったのだが、西郷隆盛、T.グラバーの協力のもと、竜馬は人違いを利用して、来るべき新政府の財源作りを担うこととなったのだ。行手に待ち受ける巨大な罠と黄金。従うはナイフ投げの名手で混血の美女お夕紀。かくて蝦夷への冒険行が開始された…。果たして竜馬の運命は?黄金はどこに?注目の気鋭が大胆な構想で描く冒険サスペンス・ロマンここに誕生。
京都東山、三十三間堂。後白河法皇が創建した名刹も、応仁の大乱後まもない頃なので朽ち果てるにまかせていた。その堂の前で、一人の娘が凌辱されまいと、二人の無頼者を相手にけなげに闘っていたが、力尽きて犯されてしまった。娘の死の寸前、来あわせた堀辺牙王丸は「姉の由布美に」と彼女から錦の袋を手渡された。牙王丸は、諸国流浪の旅に出ている古式拳法・骨法の達人である。洛北の大雲寺に監禁されている由布美を助けた牙王丸は、錦袋の中身の謎を解くため、勇躍、琉球に向う…。長編アクション&エロス。
応仁の乱が巻きおこした暴風雨は、京の都ばかりでなく、東国の地にも鋭い破壊の爪痕を残していた。もののふの故郷・鎌倉は無政府化し、博奕や麻薬や売春を取りしきる“バサラ者”が跋扈している。鎌倉入りした堀辺牙王丸は、バサラ者たちに凌辱されている娘たちを助けた腕を、堀越公方に買われ「坏仁崋」の探索を頼まれた。「坏仁崋」は、源頼朝の権力奪取と深い秘密の関係があったらしい。それは一体、何であるのか?牙王丸と闇の組織との血みどろの闘いが始まる…。新鋭のスーパー時代伝奇アクション&エロス。