著者 : 生田紗代
ぬかるみに注意ぬかるみに注意
些細な日常を通じて曖昧で不安定な20代女性の内面を描く表題作ほか、クラスでちょっと気になる同級生との触れ合いが印象的な『カノジョの飴』、とある姉弟の他愛ないやりとりが光る休日の一幕『浮いたり沈んだり』、友達との奇妙な三角関係と兄の結婚、ふたつの出来事に心揺れる主人公を描いた『魔女の仕事』の計4編を収録。
コイノカオリコイノカオリ
どんな恋にも、その時だけの特別な“カオリ”があるーゆるくつけたお気に入りの香水、彼の汗やタバコの残り香、ふたりでつくった料理からあがる湯気ー柔らかく心を浸す恋の匂いをテーマに、今、一番鮮烈な“恋の描き手”たちが集う。漂う6つのフレイバーが呼びおこすのは、過ぎ去ったあの日のこと?それともー?6人のラブストーリーテラーが供する、せつなさのスペシャリテ。
オアシスオアシス
ため息をひとつつく。哀愁ってやつだー私が“出会った”青い自転車が盗まれた。呆然自失の中、私の自転車を探す日々が始まる。父は単身赴任、母は家事放棄の“粗大ゴミ”。私と姉と母、女三人の日常は、どこか不穏ながらも、永遠に続くかに見えたのだが…。第40回文藝賞受賞作。
まぼろしまぼろし
「こんなはずじゃなかった」が母の口癖だった。記憶の中の母は、怒ってばかりだった。そして、私が高校三年のときに父と母は別れた。それから母とはもう、八年近く会っていない。なのに、なぜ今になって戻りたいなんてー。逃れることのできない母娘の確執を描く表題作他、会社を辞めて実家に戻った私が高校生の妹と過ごすあてどない時を描く「十八階ビジョン」を収録。
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