著者 : 田口俊樹
風光明媚な歴史の町バースに住むルンギ一家は、親子三代にわたって探偵事務所を営む“探偵家族”。戦後、裸一貫から事務所をおこした親爺さん、優しいママ、放蕩息子の長男サルヴァトーレ、妻のジーナと事務所を切り回す次男アンジェロ、経理担当の長女ロゼッタ、そしてやんちゃ盛りの二人の孫だって立派なメンバーだ。そんな彼らのもとへ、ある日近所の主婦がやってきて台所の洗剤がいつもの場所とずれているので調べてくれという。雲をつかむような依頼は、やがて思いもよらぬ展開を…。
シカゴの静かな郊外で16歳の少年サイモンは、国家の保安を脅かす最も危険な存在になろうとしていた。自閉症で、恐ろしいほどの数学的才能を持つ彼は、自ら知らずに国家安全保障局(NSA)の開発した究極の暗号『キウィ』を解読してしまったのだ。それは解読不可能といわれる、超ど級難度の暗号だった。NSAに命を狙われるサイモンを守るのはFBI捜査官のアート・ジェファーソンのみ。彼らを抹殺すべく次々と放たれるテロリスト、そしてネット上の罠。際限なき逃亡を続けるなかで、サイモンはしだいに愛と勇気に目覚めていく-。映画化決定。サイバースリラーの決定版。
息子は医者です。物騒な市の汚ない市営病院の、戦場みたいな救急治療科に勤めています。早くよそへ移ればいいのに。その息子が恋をしました。相手は同じ職場の掃除婦で、しかも子持ちの黒人でした。確かに息子も黒人です。でも、この女とは住む世界が違います。いったい息子は何を考えて…。緊迫する医療現場で献身的に戦う人々が、ひたむきに織りなす愛と勇気、情熱の人間模様。
泥棒稼業の隠れ蓑のつもので始めた古本屋がすっかり軌道に乗り、今では本屋の主人としてまっとうな暮らしを送っているバーニイ。気づいてみればもうかれこれ一年近くも夜のお勤めとはご無沙汰だ。ところが、店の新しい大家が法外な家賃をふっかけてきたものだから、バーニイは家賃の値上げ分を捻出するためにやむにやまれず泥棒稼業に逆戻りすることになった。首尾よくウェスト・サイドのとある高級アパートメントに忍び込んだまではよかったが、浴室で素っ裸の男の死体を発見。そのうえ、まったく身に覚えのない高価な野球カード・コレクションを盗んだ疑いまでかけられてしまったのだからたまらない。かくなるうえは野球カードを取り戻して身の潔白を証明するしかない!ある時は鮮やかな手並みの泥棒紳士。またある時は華麗な推理の名探偵-マンハッタンの小粋な快盗バーニイ・ローデンバーが十年ぶりに帰ってきた、最高の話題作。
夫の最高裁判事を殺害した容疑で突如、起訴された美貌の検事補アビー。彼女の弁護に立つのは、連戦連勝の辣腕弁護士レイノルズ。そして検察側の証人として出廷するのはかつてアビーに訴追され、死刑判決を受けた卑劣な殺人犯ディームズ。アビーに圧倒的に不利な状況のなか、レイノルズに秘策はあるのか。やがて激しい法廷戦の末、驚愕の真実が-裏あり、謎あり、仕掛けあり、読み始めたら止まらない『黒い薔薇』につづくノンストップ・サスペンス。
199×年。世界があのキューバ危機以来の第三次世界大戦勃発の恐怖に直面した。ロシアの国粋主義者と旧ソ連軍の不満分子が手を組み、シベリアの核ミサイル基地を占拠し、アメリカと日本を攻撃するという脅しをかけてきたのだ。米海軍精鋭の原子力潜水艦『アラバマ』に出動の命令が下った。艦長はF・ラムジー大佐(ジーン・ハックマン)、そして新任の副艦長がR・ハンター少佐(デンゼル・ワシントン)。潜行12日目、敵潜水艦と遭遇した『アラバマ』にペンタゴンから命令が送信されてくる。だが、敵の魚雷が船体をかすめて爆発、『アラバマ』の通信設備が作動しなくなってしまった。敵ミサイル基地への攻撃をすべきか、否か。〔即時攻撃〕を主張するラムジー艦長、〔命令の再確認〕を強く求める副艦長のハンター。『アラバマ』の艦内は二派に分裂し、男たちの息づまる戦いが始まった。
こいつは時価五十万ドル、いやそれ以上かー私たちは忍び込んだコルキャノン邸で、世界に五枚しかないという超希少コインを手に入れた。たった一時間の仕事としては上出来だ。と喜んだのも一晩限り、翌朝コルキャノンの妻が撲殺死体で発見され、なんと私に殺人容疑が。その上、第二の殺人が起こり、問題のコインが消えるにおよんで、私は犯人捜しに乗り出すことに。
しまった、ついに正体を見抜かれたー。古本屋の主人におさまった私のもとにやってきた古書蒐集家は、私が泥棒だということを知っている様子だった。なにしろ世界に1冊しかないキプリングの詩集をなにがなんでも手に入れろというのだから。高額の報酬に釣られて安請け合いはしたものの、盗んだばかりの本を何者かに奪われ、おまけに殺人事件にまで巻き込まれるはめに。ネロ・ウルフ賞受賞の泥棒バーニイ・シリーズ第3作。
もう何年もまえのことだ。警察を辞め、妻子も捨てて、酒場に入りびたっていた私は、飲み友だちの依頼を引き受けることになった。妻殺しの嫌疑をかけられているので、真犯人を探し出してくれというのだが…。アル中探偵マット・スカダーの回想を通して、大都会の感傷を謳い上げたアメリカ探偵作家クラブ賞受賞の表題作をはじめ、当代随一のストーリーテラーが絶妙な筆さばきでつづる逸品20篇を収録した待望の傑作集第三弾。
この絶望的な胸の痛みをどうしたらわかってもらえるのだろう。何不自由ない生活を送っていながらも、どこか満たされないのだ。そんなある日、宅配業を営む友人が殺され、運んでいた書類が盗まれるという事件が起きた。書類にはいったいどんな秘密が隠されているのか?好奇心に駆られ調査を始めたわたしの前にやがて歴史上有名な冤罪裁判の存在が浮かび上がった。冒険への郷愁やまぬ中年男ドク・アダムズの新たな活躍。